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猛暑の印象が強いインドも実は、その地域によってかなり差があります。たしかに南インドへ行くと、想像どおりの暑さですが、北インドに至ると、思いのほか過ごしやすい気候がつづきます。またその気候の違いは、食文化にも大いに影響します。 |
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●北インドと南インドの気候の違い 日本では作物の栽培期は大きく夏と冬の2つに区分され、一年間の農作が行われています。インドでも、北インドのように夏と冬との区別がはっきりした地方では、夏作と冬作の区別があります。こうした気候は大麦、小麦の麦類、豆類、野菜類を豊かに育て、インドに多いベジタリアンの栄養源となってきました。これに対して、南インドは、夏と冬の温度差がほとんどなく、ベンガル湾に面した都市・マドラスを例にとれば、1年の平均温度が28.6℃、湿度は71%、年間月平均降雨量は110mm程度です。5~6月の夏場には、最高気温40~45℃にもなります。高温多湿の地の例にもれず、南インドもまた米の多作地帯です。細長いパサパサとしたタイプをはじめとして、米の種類もたくさんあります。豆(ダール)も、春雨の原料としても有名なムング豆、平たくて丸いレンズのような形をしているレンズ豆、豆の真ん中あたりにくちばし状の突起があるひよこ豆(ガルバンゾ)などの栽培が盛んです。また、忘れてはならないのがココナッツ。アラビア海側南端のケラーラ州が産出地として有名です。 北インドの料理 カシミール地方のマトン・カレーのように肉を使用した料理が多くあります。味は比較的マイルドです。主食はロティと呼ばれる小麦を挽いて練って焼いたパン。食事のあとは、シナモンやカルダモン入りの甘いチャイ(インドの紅茶)を飲むのが習慣です。 南インドの料理 北インドが比較的マイルドな味に対し、南インドの料理はとにかくスパイシーです。 また、北インドよりスパイスの種類も多く使います。主食は、ナンやチャパティよりも米がポピュラーです。コーヒーの産出地ということもあり、コーヒーも好んで飲まれています。 |