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学園もの その1」(2018/04/14 (土) 11:48:27) の最新版変更点

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正午を報せる鐘が鳴り響く。 負けじとセミの鳴き声が響き渡る。 太陽の陽がまぶしく照り付け、ジリジリと地面を焦がす。 季節は夏である。 ここは私立戦隊高校――― 終業式を終え夏休みを迎える少年たちの心は、太陽に負けないくらい晴れやかなのだろう。 あたりはどこもかしこも、賑やかな声で溢れている。 そんな中、一人憂鬱な表情を浮かべる少年の姿があった。 剣飛竜(つるぎひりゅう)である。 そこは校内の賑やかな雰囲気とはかけ離れていた。 扉には「関係者以外立ち入り禁止」と書かれた張り紙が見える。 中はカーテンが締め切ってあり薄暗く、夏だというの寒気さえ漂う。 深いため息をつくと、飛竜は椅子に腰を降ろし、少女を待つことにした。 女の子からのお誘いであったが、淡い期待など抱いている様子はない。 少女に呼び出されるのは初めてではなかった。 飛竜はこれから何が起こるのかを知っているのだ。 そして、自分はそれから逃れることが出来ないことも。 そんな訳で飛竜は憂鬱だった。 飛竜と少女の出会い。 それは、さかのぼること数ヶ月前。 飛竜が戦隊高校に入学して間もない春のことだった。 入学して日は浅いが、友人と呼べる存在はあった。 「翔、部活はもう決めたのか?」 疾風翔(はやてしょう)というのが、友人の名である。 「部活?そんなもんやってる時間があるか!俺は何かと忙しい身の上なんだよ。」 短い付き合いだが、その中で翔のことは理解しているつもりだ。 やはりというか、予想通りの答えであった。 『女の子にもてる事が俺の青春のすべてだ!』 言葉通りこれが翔の真情なのだろう。 女の子と仲良くなりたい。 これにすべてをかけていた。 日々、情報収集を欠かさない。 いったい、どんな情報を集めているのかは謎だが・・・。 実際、言葉だけでなく行動をしているだから、そこは認めるべきであろう。 飛竜としては、そのやる気の十分の一でも勉強やスポーツに向ければと、思わなくもなかった。 「お前はやっぱ空手部か?」 翔が聞き返す。 「ああ、そのつもりだけど・・・何でお前知ってるんだ?」 「中学では全国制覇するほどの実力だったそうじゃん。 知り合いに空手やってる奴がいてね。お前のことはよく聞かされたもんだよ。」 そういうと、翔は別の話題を話始めた。 購買に昼食を買いに行く途中で飛竜は足を止めた。 足元を見ると、フロッピーディスクが落ちていた。 飛竜はそのフロッピーを拾い上げると、あたりを見回した。 落とし主を尋ねようにも、あたりに人影はない。 名前でも書いてないかと調べた飛竜はギョッとした。 <世界征服計画> フロッピーにはデカデカとこう書いてあったのだ。 「何だこれ?後で職員室に届けておいてやるか。」 フロッピーをポケットの中に入れようとした飛竜は、次の瞬間、激しい衝撃とともに意識を失ったのだ・・・。

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