「ハァハァ・・・す・・すいませんでした。」
「私は支配者なのよ。言葉を慎みなさい。」
「・・・はい。」
少女は本当に殺す気であると飛竜は判断した。
逆らうことは状況悪化を招くだけである。
「でも、フロッピーって中身を見たわけじゃないんですけど。」
「計画を知ってしまったら、それは同じことよ。」
だったら、あんなにデカデカと書くなよと突っ込みたくなるが、そこは我慢である。
そんなことしようものなら、待っているのは死である。
「あれを落としてしまったことは、私のミスだけど、それを見てしまったのはあなたが悪いのよ。」
何とか逃げれないものかと考える。
どのみち、このままではいずれ少女に殺されるであろう。
飛竜は落ち着いて状況を把握してみた。
頑丈なベルトではあるが、外れないほどではない。
男と女である。
ベルトさえ外れれば、少女がどうあがいたところ勝ち目はない。
とはいえ、少女が見てる前で怪しい動きをすれば即電流だ。
チャンスが来るのを待つべきである。
「あたなのせいで、昼食がまだだったわ。」
そう言うと、少女は椅子に座り、弁当を食べ始めた。
腹が減っているのは飛竜も同じである。
羨ましそうに弁当を見つめる。
      • ん?
まさに今がチャンスじゃないか!
大きく深呼吸をして、気持ちを落ち着かせると、飛竜は力いっぱいベルトを引っ張った。

<バッ!>
見事にベルトは引き千切れた。
「ハッハッハ!このアマ、覚悟しろよ!」
形勢逆転したとわかれば、強気である。
が、思いのほか簡単に切れたため、勢いのついた飛竜は前のめりに倒れてしまった。
「何を覚悟すればいいのかしら?」
見上げると、少女がニッコリと笑っていた。
死んだ。
覚悟するのは自分だと飛竜は思った。
しかし、少女はそのまま動かない。
瞳を閉じて何かを考えだした。
飛竜はこのまま逃げ出してしまおうかと考えていると、少女は瞳を開いた。
「あなた、名前は?」
「へ?」
突然のことに呆然とする。
「質問が聞こえなかったの?」
「い、一年C組の剣飛竜です。」
少女はパソコンに向かって、何かを調べ始めた。
「ふーん、なるほど・・・。」
手を止め、席を立った少女は、飛竜を見つめた。
「あのベルトは普通の人間には切れるはずのない強度なのよ。それを引きちぎる力。
空手では全国制覇をするほどの実力。まさに私が求めていた人材だわ。」
そう言うと、少女は高らかに笑い出した。

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最終更新:2018年04月14日 11:49