日本拳法道連盟 豊前福光派古術連盟 風門館 古術:手習ひのこと

古術:手習ひのこと(2006-10-05)

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古術では、稽古・練習のことを「手習ひ」と言う。私も先代も当然、現代武道や他流の古武術の経験が長いため、使う用語についても全く整理されておらず、稽古と言ったり、練習と言ったりするが、本来は「手習ひ」と呼ぶのが正しい呼称である。

また、組型のことも「手合い」と言い、技のことも「手」と呼ぶのが本来の用語である。考えてみれば、体術についても百姓の護身の芸であれば、相撲の影響を強く受けているのも当たり前のことであるから、用語についても相撲のものを拝借したのではないかと推察される。

その「手習ひ」であるが、これには四段階あり

抜け→岩根→変手→数取り

と進むように体系づけられている。

「抜け」とは、「手合い」を行う際の基本である。これは、仕手・脇ともに力を入れずゆっくりと手の理合をマスターする方法でる。

次に「岩根」に移る。これは、受けが力を入れ、術者に対して抵抗する手習ひである。これによって、真の理合いを学ぶ方法である。

更に「変手」と進む。これは、変化手のことで、今度は相手の変化・抵抗に対して、逆らわずに別の技に変化することを学ぶものである。私は、ブラジリアン柔術が日本に紹介されだしたとき、彼らがポジショニングと言うことを盛んに言っているのにすごく関心があった。なぜなら、古術の「変手稽古」こそ、そのポジショニングに応じて技を変えていくという考え方に近かったからで、私には彼らの言わんとすることがよく理解できた。

最後に「数取り」となる、これは「守・破・離」で言うところの「破」にあたる。つまり、仕手の攻めに対して、素早く次々と変手を繰り出す稽古法である。この際には、体軸の狂いや、技のツナギを無視して、ひたすら手を出す。これによって、スタミナと瞬間的な体捌きや動体視力などを鍛える。型稽古ながら、極めて実戦に近いやり方である。

古術には、いわゆる乱稽古はないので、この数取りと変手が、一種の乱稽古の替わりとなっている。

この4種の稽古、つまり手習ひをぐるぐると循環するように繰り返すことで、「身振り・手振り・魂振り」の三振りを一合させ、「手の理」を悟るというのが、古術の手習ひ(稽古)体系となっている。(館長)