FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 252話

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第252話:綻び


暗雲渦巻く昏き世界に重く静かに佇むアルティミシア城。
その一際高くそびえる塔の頂上にある玉座の間でアルティミシアは
虚空に浮かぶスクリーンに映し出されている
無数の絶望と悲しみと狂気のライブを楽しんでいた。
「フフフ……争いを望まぬものがどれだけいようと、結託しようとも
マーダーが数名もいればゲームは成り立ってしまう。
愚者たちが無駄に足掻く姿のなんと憐れで滑稽なことか…クククククク」
もう数時間もすれば夜明けだ。
その時の定時放送でまたどれだけの慟哭の声が聞けるのか……
彼女の期待は風船のように膨らんでいく。
生贄の数は日没までの死者と合わせてすでに50名を越えている。
存外に速いペースにアルティミシアは上機嫌だった。
その時、彼女の配下たる巨人ガルガンチュアが玉座の間に現れた。
「アルティミシア様。オタノシミノトコロヲ邪魔シテシマイ申シ訳アリマセン。
ゴ報告シタイコトガ」
「何事か。放送までにはまだ時間があるはずだが?」
アリアハン城外の戦いを観ていたところを邪魔され彼女は少し不機嫌になる。
「ハッ、放送ノタメニ死亡者ノ数を確認シテイタトコロ、参加者ノ人数ガ合イマセン。
ドウヤラ分裂ノ壷ヲ使用シ、増エタ者ガイルヨウデス」
それを聞いてアルティミシアは唇を吊り上げる。
中空に浮かぶ映像の一つが拡大して切り替わり、森を走る少女を映し出した。
「ああ、アリーナとか申す小娘のことであろう。捨て置いて構わぬ。
あれはなかなか有望なマーダーとなるであろうからな。
形的にはアイテムによって造られた自律行動型のアイテムだ。ルールにも抵触はしないだろう?」
「シ、シカシ!」
反論しようとしたガルガンチュアだが、氷のような魔女の視線によって射竦められてしまう。
「私の決定に何か不満があるのか?ならば申してみよ」
その視線によってガルガンチュアの魂は完全に凍りついた。その場に即座に膝を突き臣下の礼をとる。
「モ、申シ訳アリマセン!スベテハアルティミシア様ノ御心ノママニ……」

それを見て、アルティミシアはからかうような表情を浮かべる。
「まぁ問題が起きるようなら爆破すれば良かろう?
あれはご丁寧にも首輪までコピーしてくれたようであるからな」
「……承知…致シマシタ…」
震える声でガルガンチュアは答え、退室した。
そんな配下の様子を気にも留めずアルティミシアは視線を映像へと戻した。
こんなものは問題に入らない。全てが上手くいっているのだ。そう、全てが。
「フ、フフフ…フハハハハハハハハハハ…!」
彼女は気付いていなかった。自らが完璧とする計画に綻びが生じたことを。
その綻びをたった今、見逃してしまったことを。

分裂の壷は中に入れた物を 一 つ だ け 増やすアイテムだった。
そして壷は ア リ ー ナ を 増殖させた。
ならばアリーナが身に着けていた物はどうなったのか。
分裂の壷はアリーナの衣服もアリーナの一部として複製している。
しかし首輪は完全にはコピーされなかったのだ。
首輪の生命反応発信機構、盗聴機構は機械式のからくりによって造られている。
だが爆発の仕組みはデッシュが解析し、推測したように魔術式によって構成されていた。
そして他の装飾品と同じくアリーナの一部として複製された首輪は機械式構造は全て
完璧にコピーされたが、魔術式によるものまでは複製できなかったのだ。
これが首輪単体を壷に入れたというのならその魔術式構造も複製されたかもしれない。
しかしアリーナを複製対象とした壷は首輪の魔術式まで複製対象として認識しなかった。

アルティミシアの視線の先、スクリーンの中、森を疾走する少女。
彼女は気付いていなかった。自らがゲームの強制力から解放されていることを。
自分こそがこのゲームの破壊するための楔となれることを…。