266話

第266話:マティウスという男


ゴゴとマティウス、この2人に出会って暫く経った。
この私アグリアスは生かされ、今はこの2人と行動を共にしている。
そしてレーベ南の森に扉が現れたと聞き、急いで東に向かっているのだ。

「しかし……何故私を助けたんだ?」

ふと、私は気になったことを尋ねてみた。
すると相手…ゴゴは何か迷っているようだった。表情はわからないが。

「俺は物真似師ゴゴ…物真似をして生きてきた……」
「いや、それはさっき聞いた」
「私はこのマティウスの物真似をしているだけ…詳しいことはこの男に尋ねるが良い」

流された。
とりあえずそれくらいのことは悟ることができた。

「ゴゴの代わりに答えるが…」

するとマティウスが話し出した。
これはありがたい。掴み所の無いゴゴよりは良い答えがもらえるかもしれない。

「貴様が実に興味深かったのだ。どこが興味深かった等、詳細は言うつもりは無いがな」
「……は?」
「故にこやつが代わりに助けに入った、それだけだ」

成程、私は興味だけで生かされたのか。
興味を持たれなかったら私は死んでいたのか。

………自分がそこまで強運だとは思わなかった。

と、ここまで考えを張り巡らせて気が付いたことがある。

それはこの至急品袋だ。すっかり忘れていた。
確かもう1つ何かが入っているはずだ。
私は2人に一旦足を止めて貰い、袋の中を確認した。
そして取り出したものを見て、ゴゴとマティウスが興味深そうに呟いた。

「おお……なんとも美しい…」
「では私もそう思う真似をしようか…」

中に入っていたのは、すらりとしたスマートな服。
説明書には「男性用スーツ上下セット(タークス印)」と書かれてあった。

「しかしその無駄を省いたスタイル……美しいすらりとしたフォルム…実に興味深い……」

マティウスは何故か感動している。興味深いとまで言った。
しかも仮面まで外してまじまじと見つめている。こんな一面もあったのか。
男性用なら私は着る事ができないし……ここまでするのならプレゼントにでもしよう。

「おお、真か。有難い……また機会があれば着用してみるとしよう………」

マティウスがこの服を着た姿を想像して、私は少し吹き出してしまった。
まぁその様子を本人に見られてしまい、すぐに笑みを堪えたが。

そしてまた淡々と東に向かった。



「ところで、だ」

しばらくしてマティウスが話しかけてきた。
私が短く返事をすると、彼は言った。

「我々はこれからゴゴと共に、次の世界でも一応は魔女討伐の為に行動するが……貴様はどうする?」
「そうだな…こちらはラムザも探したいし、いつかそちらとも道を違うかもしれないな……」
「いっそここで別れるか、それとも次の世界でも行動を共にするか……どちらにするのだ?」
「成程………」

さて困った。
確かに私と彼らは違う。互いの目的を達成しようとして双方が邪魔になる可能性は多い。
しかし今の私の実力では…奴にもかなわなかったのだ、恐らくこのままでは私は……。

「まぁ…我々はどちらでも良いのだが。貴様を迷惑とも思わぬしな」

マティウスが、こう続けた。
あちらに迷惑が掛からないのなら、共に行動をとってもいいかもしれない。


……ここで別れるか、共に行動するか。


迷った私は、一つ提案をすることにした。


「少し時間をくれ…扉が見つかるまでで良い」
「その間に答えを決めると…?」
「すまないな」
「いや、悪くはあるまい。思い切り迷うが良い」

そしてマティウスはくすりと笑みを零した。
このような状況でここまでの余裕……今私と話しているこの男は、なんて大きいのだ。


私は言葉に甘え、思い切り迷うことにした。

【マティウス 所持品:ブラッドソード 男性用スーツ(タークスの制服)
 第一行動方針:アルティミシアを止める 第二行動方針:アグリアスの観察
 最終行動方針:何故自分が蘇ったのかをアルティミシアに尋ねる
 備考:非交戦的だが都合の悪い相手は殺す】
【ゴゴ 所持品:ミラクルシューズ ソードブレーカー
 第一行動方針:マティウスの物真似をする】
【アグリアス 所持品:クロスクレイモア、ビームウィップ
 第一行動方針:答えを決める 最終行動方針:生き延びる(意味合いが異なっているかもしれません)】

【現在位置:レーベ南西の山岳地帯→レーベ南の森に移動中】

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最終更新:2008年01月31日 17:51
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