280話

第280話:それはかつての物語


その昔 暗黒に満ちた世界があった
もはやその世界は魔王の懐 希望は無く 絶望のみ
その世界を光に満たさんと 四人の人間が天より舞い降りた

その中の一人が かの勇者ロトである
そして彼は魔王を打ち払うその時に 聖なる武具を手にした

それは人の産物ではない それは人の空想ではない
神の手によって造られし希望の証


光の鎧
勇者の盾
そして 王者の剣


聖なる力により 護られるべくして護られた聖なる武具
伝説の鉱物の力と神の息吹によって造られた聖そのもの

そう それは常人には扱うことなどできはしない
神に選ばれし者すら辿り付く事の無い領域
唯の人がそれを扱おうとも その重みに全てを潰されるのみ

その聖なる光は 天に選ばれし者の為の光
その聖なる輝きは 天に選ばれし者の為の輝き
勇者はそれらを羽の様に軽く天に掲げ 闇を切り払うことだろう

大地の精霊ロトよ
勇者にその名を与え 聖なる光の祝福を与えよ

勇者に 光あれ



「助かった…のか」

マッシュとスコールは、ティファの毒牙から逃れることが出来た。
いきなり襲い掛かってきた彼女に戸惑い、不意打ちに手間取ったものの幸運にも無傷で逃亡できたのだった。

そしてアイラの支給品も、スコールが袋ごとしっかりと持っていた。

「………彼女は、」
「死んだだろうな…くそっ!」

スコールの呟きを遮り、マッシュは怒りに打ち震えた。
仲間を護れなかった自分に腹が立っているのだ。
だが今は冷静になるときだ。あくまでもここは戦場だ。
悔しがるのは後で良い。

「ところでスコール。お前、この剣を使えるか?」
「これは……?」
「説明書みたいな紙にはロトの剣って書いてたんだけどよ。重いんだよ、凄く」
「重い?あんたが持ち上げられない程か?」

マッシュは、相手の持っていたアイラの袋から剣を落とすように出して言った。
スコールもそれを先程からずっと見つめていた。

スコール自身の得意戦術は大型の剣での斬撃。
どうせなら両手剣であって欲しかったが、ナイフや鞭よりはロトの剣のサイズの方が使いやすい事は確かだ。
マッシュがそれに気づいたのかは知らないが。

そして彼はマッシュから説明書と剣を受け取ると、ロトの剣を天高く持ち上げ……!!


られなかった。

「……くっ!」
「どうした?」
「さっきから重過ぎて………全然持ち上がらないんだが」
「お前みたいなのにも無理なのか……」
「信じられないが……な。腹が立つな、全く」



「信じられない、かな?」
「いや、僕は信じるよ。そういう伝説は僕の世界にもあったし」

一方こちらはロラン達。
今度こそ本当に、アリアハンを目指そうと四苦八苦していたのであった。
朝の放送でショックに襲われていたが、今は悲しむ時ではないと皆は知っていた。
だから今はこうして、笑っている。悲しみに押し潰されない様に、笑っている。

「で、そのロトの剣って言うのが伝説の聖剣だというのはわかりました」
「うん。それで、その聖剣さえ手に入ればいいんだけど……」

ロランとすっかり回復したサックスは先頭に立って、こうして話をしながら歩いていた。
単純な防御力や咄嗟の行動等に長けた2人がその役目を志願したのだ。
そして他の皆は後ろで固まって歩いている。いくつもの明るい声が溢れていた。
それを確認すると、ロランは話を続けた。

「あれは他の人間には扱えない。勇者の血が流れていないと、常人にはとても重過ぎて持ち上げられないんだ」
「そりゃ凄い」
「どんな悪人が持とうがただの飾りと化す。あれはそういう剣なんだ」
「じゃあ大丈夫じゃないですか。ロランさん以外には使うことが出来ないんでしょう?」

その言葉を聞いて、ロランは溜息をついた。
相手の言葉に対する呆れでは無い。現状に対しての呆れだ。
しばらく名簿をパラリパラリと捲るロラン。

「実はこの殺し合い、僕のご先祖様である勇者ロトが参加しているらしい」
「え?そうなんですか……」
「パウロも死んだ今、ロトの剣を使えるのは僕とそのロト本人だけだ。あまり考えたくは無いけど……」
「考えたくないけど?」
「彼以外の人間が、その剣を見限ってどこかに捨てるという可能性もある」

そうなってしまっては正直凹む。
ただの鈍らの剣に用はない、そう思う人間は数多くいるはずだ。

「まぁ、そうならない事を祈るだけだけど」
「そうですね……っと、ロランさん!前前!」
「あ……おーい、皆!森を抜けたぞー!」

後ろの仲間達に振り返り、ロランは言った。
するとゼルやフルート達が我先にと平原に姿を出した。勿論辺りを警戒しながらだが。

「やった!ついに抜けたのね!」
「久々な気すらしますなぁ、この照りつける太陽は」
「やっぱこれくらい射してないとなんか変な感じだよなー」
「そうですね~、まぁ私は慣れっこですけど~」
「とにかく、まずはこれで一安心ですね」

各々が喜びを口にする中、サックスとロランは笑みを浮かべた。

「地図によると、ここから東に行けばやっとアリアハンらしい」
「あともう少しですし、この調子でアリアハンに行きましょう!」
「「「「「おー!!」」」」」



「今すぐに移動か。確かに一理あるな」
「ああ、まだ襲撃が終わったとは言い切れないしな」
「それにこの剣の重さでは…話にならないからな」
「……俺にも重過ぎて何がなんだかって感じだったしな」
「そんなものを持たせようとしていたのか……」

そしてまたスコール達。
どうやらマッシュがここからの移動を提案したらしい。
スコールも同意し、彼が示した方角へと移動することにしたのだ。

「ところでスコール、お前その剣はどうするんだ?」
「そうだな……ここで捨てても良いが、何か特別な力が宿っているかもしれない。持っておこう」
「意外と物好きだな、お前も。ま…あいつの形見みたいなもんだし、な……」
「………ふん」

そして2人がかりでようやく剣を片付け、歩き出した。


こうして、仲間を目の前で失った者は動き出した。
こうして、かつての仲間がどこかで散ったことを知った者は動き出した。

次の世界へと行く為に。
いつか魔女を倒す為に。

時も、彼らと共に動き出す。

【マッシュ 所持品:ナイトオブタマネギ(レベル3)、モップ(FF7)、ティナの魔石】
【スコール 所持品:天空の兜、貴族の服、オリハルコン(FF3)
            ちょこザイナ&ちょこソナー、セイブ・ザ・クイーン(FF8)
            アイラの支給品袋(ロトの剣、炎のリング、アポロンのハープ)】
【第一行動方針:マッシュの示した方角に移動 第二行動方針:ゲームを止める】
【現在位置:東山脈中央部の森→移動】
※彼らがどの方角に移動したかは、現段階では不明。

【フルート 所持品:スノーマフラー 裁きの杖 魔法の法衣】
【ロラン 所持品:ガイアの剣 ミンクのコート】
【リルム 所持品:英雄の盾 絵筆 祈りの指輪 ブロンズナイフ 
【ゼル 所持品:レッドキャップ ミラージュベスト】
【サックス 所持品:水鏡の盾 草薙の剣 チョコボの怒り】
【第一行動方針(五人共通):アリアハンへ向かう
 第二行動方針(五人共通):なるべく仲間を集める
 最終行動方針(五人共通):ゲームから抜ける。アルティミシアを倒す】
【ユウナ(ジョブ:白魔道士) 所持品:銀玉鉄砲(FF7)、やまびこの帽子
【プサン 所持品:不明
 第一行動方針:フルート一行についていく 第二行動方針:ドラゴンオーブを探す
 基本行動方針:仲間を探しつつ、困ってる人や心正しい人は率先して助ける 最終行動方針:ゲーム脱出】
【現在位置:アリアハン西の平原(アリアハン西砂漠から東にある平原)】

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最終更新:2008年01月31日 23:49
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