FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 551話


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第551話:三日目の始まり


…………。
…………東の空が白みはじめている。
過ぎ去った夜、経過した時間はセフィロスに一つの狙いと回復を与えて明け果てた。
ゆっくりと、長いこと瞑想を続けていた座から立ち上がる。
新しい朝、再生と再始動の朝を迎えて全身の細胞も歓喜にさざめいているようだ。
求めるものは力、探すものは黒マテリアと何らかの枷。
自らの絶対を信じ、セフィロスがついに再び動き出す。
それは新たな惨劇の始まり。



「約束は守るよーに!」
ベレー様の帽子と眼帯の少女、リルムに絵筆をつきつけられ、
無駄につぶらな瞳をした一匹のカッパがぶんぶんと首を縦に振る。
「それじゃあ……3……2……1……カッパー!」
変化の光が緑色の身体を包み込み、やがて淡く消えていく。
かわりに、元の姿を取り戻したウィーグラフが立っていた。

「おはよ、誘拐犯ッ!」
「ウィーグラフッ!」
リルムの傍らには青い帽子の青年、ラムザが立ち、
手にした剣でカッパーの呪縛から解き放たれたウィーグラフを威嚇していた。
ウィーグラフに先んじて目覚めていたラムザは、当然先にリルムとは為す機会を得ていた。
この場所から南西に森を隔てた山中でキャンプしているメンバーの名前を出して説明することで
二人の間に基本的な信頼関係は成立している。
反応を待つ二人に対してウィーグラフは険のある表情で睨むことで答えていたが
突然、その表情が激した感情と悔しさに歪んだ。
「私はッ、私はまたも敗れたというのかッ、ラムザ=ベオルブッ!!」
力いっぱいに作った握り拳をわなわなと震わせていた。
激しい心のうちを示すように顔が、紅潮している。

「~~~ッッ、ばかりか、情けまでかけて私を蔑む気かッ、
 あの時と同じように一息に殺せッ!
 これでは、あまりにッ、……あまりに……」
「負けじゃないよ、引き分けだったよ」
「何だとッ!?」
「おーごえ出さなくても聞こえてる! 似顔絵……じゃなくてまたカッパにするぞ!
 相討ちだった、って言ってるの!
 二人仲良く気絶してて、あたしがその気だったら両方ジ・エンドだったね」
「……ってことだそうだ、ウィーグラフ。
 お前の行動……僕を殺しに来るんじゃないかってのは予想はしてた。
 外れるのが一番だったけど……」
「それで? 手を組もうとでも言うつもりか、ラムザ?
 笑止、片腹いたい………」
「カッパー」
「!!!―――ッ???」
険悪気な雰囲気を変化の光が照らし、場には二人とカッパが残される。
ウィーグラフだったカッパはかーかーと間が抜けた鳴き声で抗議を続けるが、
もちろんリルムにもラムザにも何を言ってるのかわからない。
「帽子兄ちゃん、カッパになって翻訳してくれる?」
「いや、それは……」
なお反抗的なカッパに二人がため息をついたその時。
時を告げるべく、地面が揺れ始めた。


テリー。ユフィ。
探していた名前、選び取らなかった名前。
それぞれが、命を落としていた。
「……無様、だな」
感情を表に出さないまま、ラムザは小さく呟く。
守る、などと立派な決意をしたところで死者の数では明らかに達成などできていない。
目の前のカッパ…もといウィーグラフの憎悪や屈曲もわからないではないといったところだ。
それでも、
それでもわずか数分前と比べて明らかにその輝きを曇らせた少女を目の当たりにして、
残された最善へ向かう勇気が挫かれようはずも無い。
「……今のところは、ね」
負け惜しみでいい。
小さな呟きにもう一つ別の呟きを付け加えたところでラムザは
ふと、つぶらな中に真剣味を帯びた少女を見るもう一つの視線に気がついた。
その主とも、最終的な和解は出来なくとも現実に対する同盟という形なら手を組めるはずだ。
もう少し落ち着いたら、今度はそういう方向から話してみよう。
どれだけ無様でも、どれだけ劣勢でもラムザは自分の戦いは終わっていないことを確認する。
出来ないなんて、考えない。

およそ12時間ぶりの放送の後、
内心で決意し直すラムザ、明らかに憔悴して見えるリルムの二人を向こうにおいて
最初に音もなく現れた脅威に気がついたのはカッパ…ウィーグラフだった。
劈くようなカッパの声で警告が響き渡る。
けれどそれは遅すぎた。
先に視認を許して、先に捕捉を許して、先に行動を許して、
何か策を講じるには、相手が悪すぎた。

チャンスはあった。
彼に騙された者、彼を直接に知っている者、そんな人といっしょに行動した時期がある。
だけれども時間がなくて、余裕がなくて、ラムザは不運にも彼の情報を得ていなかった。
だから、向かって来る相手に対して幾つか浮かんだ選択肢からラムザが選び取ったのは
ショートジャンプでの奇襲。
互いに手が読めない初対戦において、『攻撃は最大の防御』に基く最良の選択肢になるはず――普通なら。
けれど。
「! バカなッ!」
巡航速度から攻撃速度へと一気にギアを上げた銀髪の男は、まさに疾風の如く。
速過ぎる。
ジャンプした足元を銀色の疾風が駆け抜けていった後で
驚愕と後悔をないまぜにしてラムザは男がすでに通り過ぎた場所へと着地する。
狙いはリルムとウィーグラフ、けれどラムザにはもう間に合わない。


ラムザが不運だとするならウィーグラフ、否、リルムには幸運があったと言える。
ウィーグラフがセフィロスと交戦して生き残っている数少ない人物であること、
そして、カッパであるために真っ向から交戦する選択肢が存在しなかったこと。
ウィーグラフは前の夕方に戦った銀髪の男を発見、精一杯の警告をしたあとで
ただ回避の一手だけを考えた。
リルムを殺されてしまっては、元に戻る方法がなくなる――
心中でそういう風に言い訳しながら、銀色の疾風が届くよりも早く憔悴の少女へ飛びつく。
そのまま勢いを利してすんでのところで湖へ、水中へと逃れ落ちた。


剣が空を引き裂き、水柱が上がる。
片目の少女と緑の変な生物、一人と一匹を殺せる間合いであったはずだが剣は届かなかった。
いい判断ではある。しかし――
「フリーズ」
冷徹に魔法を唱え、セフィロスは湖面に極低音を呼び出す。
空気中の水蒸気が昇華して局所的に霧へと変貌していき、
小波の湖面はその形を残したままセフィロスのいる岸から始め白く、次に青く変じて凍り付いていく。
「氷葬だな」
村正を朝日に煌かせてくるりとラムザの方へ向き直る。
湖上にけぶる朝霧を背景にしたセフィロス、銀と白の調和、傷付いた衣服と傷の無い肉体のアンバランスは
寒気がするほどに恐ろしく、美しい姿だった。
その瞳に久方ぶりの獲物、ラムザを映しセフィロスは自らの絶対的な強さを信じて哂っていた。

【セフィロス(HP 1/2程度)
 所持品:村正 ふういんマテリア いかづちの杖 奇跡の剣 いばらの冠
 第一行動方針:ラムザとの戦闘
 基本行動方針:黒マテリア、精神を弱体させる物を探す
 最終行動方針:生き残り力を得る】
【ラムザ(ナイト、アビリティ:ジャンプ・飛行移動)(HP3/4、MP3/5)
 所持品:アダマンアーマー、ブレイブブレイド テリーの帽子 英雄の盾 エリクサー×1
 第一行動方針:セフィロスとの戦闘 / リルム・ウィーグラフの救出
 最終行動方針:ゲームから抜ける、もしくは壊す】
【現在位置:湖南岸部の東端】

【リルム(HP1/2、右目失明、魔力消費)
 所持品:絵筆、祈りの指輪、不思議なタンバリン、エリクサー×3
 スコールのカードデッキ(コンプリート済み) 黒マテリア 攻略本 首輪 研究メモ
 プレデターエッジ レーザーウエポン グリンガムの鞭、暗闇の弓矢 
 ブラスターガン 毒針弾 首輪 ブロンズナイフ
 第一行動方針:?】
【ウィーグラフ(HP1/4、カッパ)
 所持品:なし
 第一行動方針:?
 基本行動方針:生き延びる、手段は選ばない/ラムザとその仲間を探し殺す(ラムザが最優先)】
【現在位置:湖南部の水中】

※湖面の一部分が凍結。湖全体が凍ったわけではありません。