FFDQバトルロワイアル3rd資料編@wiki 247話


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第247話:夜明け前に


「…死んだ!?」
「ああ、壊れたっつった方が正しいかも知れねえがな」
当惑の表情を浮かべる青年――自分とほぼ同じ年頃に見える――に、
なんとも言えない居心地の悪さを覚えながら、サイファー。
「あのでけえ魔法の事は覚えてるだろ?
 この猫はなにをどうしたか知らねえが、
 そこのボロボロになってる縫い包みの中にお前とリノアを突っ込んで庇って、自分はあの通りさ。」
言いながらズタボロになったケット・シーと、その傍らのデブモーグリをあごで指す。

「そうか…」
後ろで結った金の髪を風になびかせながら、青年は遠い目でケット・シーを見やった。
そして、そのすぐ近くで倒れている、黄色い着ぐるみを着た女性に目が止まる。
「…この人は?」
「そいつがさっきの魔法を使ったんだ。
 あ、脈取ったって無駄だぞ。俺が殺したから」
そっと、死体に手を伸ばす彼に釘をさすように、サイファー。
すると、青年は少し敵意と軽蔑のこもった目でサイファーを見やり、「お前が?」と訊いてきた。
「しょうがねえだろ。気が狂っててどうしようもなかったんだ。
 …安心しな。俺がゲームに乗ってたからとか、そういうんじゃねえからよ」
「…そうか…」

さっきよりも少し重そうな言葉。目には悲しさか憤りか、やりきれなさそうな光りが宿っている。
気が狂っていてどうしようもなく…恐らく、サイファーのこの一言が影を落としたのだろう。
何とかして救えなかっただろうか、と、そんな想いを背で語っていた。
だが、戦場にも等しいこのゲームでそんなことを考えるのは、世間知らずの甘ちゃんがすることだ。

世間知らずの甘ちゃん…そこまで思考が伸びて、彼は未だ気を失っているリノアの事を思い出した。

「そういや、リノアは大丈夫か?」
言って、サイファーは地面に横たわった少女に手を伸ばす。
「さっきから気になってるんだけど、なんであんたリノアの名前を知ってるんだ?」
「ああ、なんてったってこいつは俺の元カノだからな」
「………」
少し物悲しそうな青年を和ませようと冗談のつもりで言ったが、どうも意味はなさそうだ。
それから暫く体を揺すっていると、リノアがうっすらと目を開き始めた。

最初、彼女は目の前にいる男が誰なのかわからなかったようだ。
だが、暫くして目が冴え、意識がはっきりしてくると、昔からよく知った顔だと言う事に気づいた。
「サイファー!」
叫んで、首に抱きつかれる。
サイファーは少し狼狽しながら、「お、おい、なんだよいきなり」と言ってリノアを引き離す。
「あ、ゴメン。ここに来て初めて顔知ってる人に会えたから、つい嬉しくて」
そりゃ俺もだ、と笑いながら肩を叩くと、彼女は「そういえば」と口を開いた。
「ねえ、あの白い服着た、なんだかキミの悪い奴はどうなったの?」
「クジャならあの魔法に吹き飛ばされたのかなんなのか知らないが、何処にも見当たらない」
ジタンが頭を抑えながら立ちあがる。その蒼い瞳はやはりどこか暗い。
「傷を負ったはずだし、生きてたとしても襲っては来ないだろうな」
よかった、と薄い笑みを浮かべて、リノアはある事に気づいた。
一人、というよりも、一匹足りない。
トラビア弁に良く似た話し方をし、なんだか歩くだけで愉快そうな感じの喋る猫が。
「ねえ…あのネコちゃんは…?」
「ああ、そいつか…」
少し面倒そうな、気まずそうな顔をしながらサイファーが答える。
「…死んだよ。お前ら2人をあの光から庇ってな」

それからサイファーは、ジタンにした説明とほぼ同じような事を、リノアに話した。
巨大なホーリーから2人を護るようにしてケット・シーが壊れた事や、そのホーリーを使った者を自分が殺したことをだ。
一通り話し終えると、リノアは「そうなの…」と言ったきり、黙り込んだ。
彼女だけではない。
その場にいた3人の心にそれぞれ重い何かがのしかかり、暗い沈黙が辺りを包んだ。

ジタン………ケット・シーや、サイファーが仕方なく殺したと言う名も知らない女性を守れなかった悔やみ。
ケット・シーには逆に守られて死なれてしまったし、女性の方も狂う前になんとかしてやれなかったのか。
リノア………彼女は戦いと、それに人が死ぬ事に幼い頃から傭兵として育った外の仲間達と違って強い抵抗を覚える。
今も同じだ。機械とは言え、自分達の代わりに死んでしまったケット・シーを思うと、どうしても胸が締めつけられる。
サイファー…少年時代からエリート教育を受けた戦士、Seedとして育てられ、幾多の戦場を経験した彼にとって、
今さら誰とも知らない誰かが命を落とした所で、別にどうとも思わない。
ただ…戦友とも呼べる誰かが死んだときのこの重い雰囲気…嫌だ。苦手だ。いつまでたっても慣れない。

「…行こうぜ」
暫くして沈黙を破ったのはサイファーだ。
彼は女の手に持っていた短剣を本職の武器だ、
と言うジタンに渡し、妙な輝きを放つ珠をケット・シーが持っていたザックに入れながら続ける。
「死んだ奴の事はほっとけ。いくらウジウジしても取り返しがつかねえよ。
 それより、まだ生きてる奴の事を考えた方がロマンティックってもんだぜ」
自分に言い聞かすように続ける。
「…城の堀ん所によ、俺と一緒に行動してる奴が居るんだ。
 まずはそいつらに会いに行こうぜ。こんなところでウジウジしててもなんにもならねえよ」


その場にいた全員が、暗い悲しみに暮れていた。
なぜこんな幼い子供まで、命を落とさなければならない。
テリーにリュカ、それにトンベリまでもが声を上げて泣いていると、街のほうから足音が聞こえてきた。

「サイファーさん、どうでした?」
「5人いた」
ロザリーの問いに、サイファーがそっけなく返す。
「その内一人はさっきのでけえ魔法に吹っ飛ばされていねえ。
 もう一人はその魔法で死んだ。あとの一人は俺が殺した」
「殺したって…」
「しょうがねえだろ!あの状況でそれ以外どうしろってんだよ!
 人を殺して笑ってるような女をここに連れて来いってか!?冗談じゃねえ!」
つい怒鳴ってしまった。
ロザリーの驚いた表情を見て、はっと我にかえる
「わりいな。言い過ぎた。何カッカしてんだか」
何を苛立っている。どこかムカムカする頭を振り、話を続ける。
「…で、残った二人はゲームに乗って無さそうなんで連れて来た。
 こっちの青い服来てるのがリノア、そっちの猫みたいな奴が…えー…ああそうだ。ジタンだ」
「おいおい、名前くらい覚えてくれよ」
「うるせえな、そんなすぐに覚えられるわけねえだろ」
そう言って軽く笑ってやる。まあ、軽口をたたけるぐらいにはなったか。
しかし、サイファーはすぐにその笑みを消すと、泣き崩れている2人と1匹に目をやった。
「…ここは安全じゃねえぜロザリー。今すぐにでも戻って結界を張り直さねえと」
「ええ…でも、もう少し、彼らにこうさせてあげては…」
「バカ言え。何時間か前の事を忘れたのかよ?またあんな風に襲われたらどうする気だ?」
敢えて容赦をなくしたサイファーの言葉に、相槌を打つ者がいた。


『そうそう、いつ襲われるかもわからない状況でただ蛆虫みたいに泣くなんて考えられないよね…』
それは勿論、紛れもない彼の声。
「どこだ!クジャ!どこにいる!」
ジタンは声を聞いた瞬間に目の色を変え、叫んだ。
『ククク…慌てなくてもいいよジタン。僕は君のすぐ傍だ…』
不気味なほどに冷たく、かつ何故か場違いにシニカルな声と同時に、瓦礫の山と化した地面が細かく揺れ始める。
『クク…ククククク…やっと手に入れたよ。全てを滅ぼす究極の力を…』
「ねえ、この声、さっきとは…」
「ああ、違うぞリノア。こいつはさっきまでのクジャじゃない」
リノアの疑問にジタンが応えると、地面の揺れが一層激しくなる。
『兄に向かって”こいつ”はないだろうジタン…もっとも、君の言う通りさっきまでの僕とは違うけどね…』
その言葉とともに揺れは頂点に達し、堀の横、かつて城壁があった地点の岩山が轟音とともに飛散した。


「危ねえ!」
墓の前でうずくまっている2人と1匹の背中を、サイファーとジタンが咄嗟に掴んで引っ張る。
呆気に取られるような顔を後ろに下がらせた次の瞬間、簡単な墓があった筈の地点が爆発に巻きこまれて吹き飛んだ。
リュカが息を呑むような声を出したが、そんな事に気を配っている暇は無かった。
リノアも先程までの揺れで足が上手く動かないロザリーの腕を引き、
降ってくる石の雨から逃れると、少し離れた所にある姿を見た。

優雅に風になびいていた白い衣はボロボロに破れ、変わりに深紅の鳥の羽根が体を覆っている。
髪は熱を帯びて逆立ち、肌は魔物のように蒼く、美しかった時の面影はない。
そして、ジタンのものとは似ても似つかない、しかし彼がジタンと同じく作られた生命であるという証の紅い尻尾…

死霊の魂を貪って力に変えた、トランス状態のクジャが不敵に浮いていた。

「…なんだ、こいつ…?」
最初に口を開いたのはサイファーだ。城下町の骸骨を遥かに上回る圧倒的な雰囲気に気圧され、それでも剣を構える。
「さあ、なんだろうね?」
異形の魔物に姿を変えても、軽い口調は以前のままだ。
誰も微動だに出来ない中、クジャはふと、目を見開いて棒立ちしているリュカのほうへと目をやる。
「”お父さん”、お探しの息子さんは見つかったかい?
 さっき間に合わせで作ったようなみっともない墓を見かけたけど、一体誰のためのものだったのかな?」
そう言って、ククッと嘲るように笑う。
そして彼が殺気だった目で睨むのを感じ、狙い通りだとばかりにニヤリと笑った。
―さあ、早く猪のように飛び込んでおいで。僕のための最初の生け贄にしてあげるから―
だが、彼の行動はクジャが思い描いていた物とは少し違った。

――ガァン――

…一瞬の後、クジャは右手を顔の前に掲げていた。
その指の間には、火薬によって熱く熱された、鉛の矢。
「へえ…さっきみたいに怒りに任せて攻撃すると思ったら、飛び道具か」
「あたりまえだ」
デスペナルティに次弾を装填しながら、リュカ。
「そんな犬死にするような真似はしない。絶対にお前を倒す」
静かで冷静で、しかし灼けるような怒りがその瞳に湛えられていた。

つまらなそうに、クジャが指で受け止めていた弾丸を放り投げる。
やがて響くキィン、という音とともに、戦いの火蓋が切って落とされた。

銃声と金属音を合図にしたように、棒のように立ち尽くしていた6人が動き出す。
サイファーも気を取り直すように剣を握ると、怯えた目をしているロザリーとテリーを振りかえる。
「ロザリー、アンタはさっきの所まで戻って結界張りなおしてろ。あとで戻るからよ」
「ええ。さあテリー、あなたも」
頷きながら、恐怖と悲しみがないまぜになった顔を子供にした手を伸ばすと、
ロザリーは武器防具屋へ走り去った。トンベリもその後に続く。
「リノア、お前も…」「私なら大丈夫。ここで戦うわ」
言い終えない内に返される返答に、サイファーは少し面食らった。
「あの頃と同じだなんて思わないで。G・Fも持ってるし、ドローもできるから足手まといにはならないわ」
一年ほど前とは大分違う面持ちを見て、サイファーはハッと笑った。
「知らない間に随分肝っ玉が座ったな。上等だぜ」

眼前には銃撃を繰り返すリュカと短剣で斬りかかるジタン、
そしてそれらを防御魔法で一向に受けつけないクジャの姿。
サイファーは剣から炎を呼び出し、リノアも右手にフレアの炎を宿らせ、放った。

余裕の笑みを決めこんでいたクジャの表情が、面白く無さそうに歪んだ。

【リュカ(HP 3/5程度) 所持品:竹槍 お鍋(蓋付き) ポケットティッシュ×4 デスペナルティ スナイパーCRの残骸
 第一行動方針:なんとしてもクジャを倒す
 基本行動方針:家族、及び仲間になってくれそうな人を探し、守る】
【サイファー(負傷、若干は回復)
 所持品:破邪の剣、破壊の剣 G.F.ケルベロス(召喚不能)  白マテリア  正宗 天使のレオタード
 第一行動方針:クジャを倒す 基本行動方針:ロザリーの手助け 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【ジタン(重傷、右足負傷) 所持品:英雄の薬 厚手の鎧 般若の面 釘バット(FF7)  グラディウス
 第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】
【リノア(重傷) 所持品:賢者の杖 ロトの盾 G.F.パンデモニウム(召喚不能)
 第一行動方針:クジャを倒す 第二行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 最終行動方針:ゲーム脱出】

【クジャ(HP 3/5、トランス状態) 所持品:ブラスターガン 毒針弾 神経弾
 第一行動方針:不明 第二行動方針:皆殺し 最終行動方針:最後まで生き残る】

【現在地:アリアハン城堀の近く】

【ロザリー 所持品:世界結界全集、守りのルビー、力のルビー(ルビーの指輪)、破壊の鏡、もう一つ不明
 第一行動方針:武器防具屋まで逃げる 第二行動方針:ピサロを探す 最終行動方針:ゲームからの脱出】
【テリー(DQM)(若干精神不安定気味) 所持品:突撃ラッパ、シャナクの巻物、樫の杖
 第一行動方針:武器防具屋まで逃げる 第二行動方針:わたぼうを探す 最終行動方針:ゲームから脱出する】
【トンベリ(トンヌラ) 所持品:包丁(FF4) スナイパーアイ
 行動方針:テリー達についていく】

【現在地:アリアハン城下町、武器防具屋へ移動中】