157話

第157話:勇賢盗僧父…裏


ジタンとリノアが本を漁っているとき、キーファは一人だけ攻略本を読んでいた。
コラムの欄もそうだが、沢山の参加者も目を通しておきたかったからだ。
色々な名前と特技などの特徴が詳しく書き込んでいるそれは、何故か頼もしく思えた。
沢山の人間の膨大な記録。全てを読むには難しいが、ランクの高いものは頭に入れるべきだろう。

そう必死にページをめくっていると、隣からリノアの声がした。

「これ。なんかこの国の近況の本だって」
「ふーん。それを何で俺に?」
「この攻略本に、もしかしてこれと同じことが載ってたりしないかなって」
「どういう事だ?」

リノアの話はこうだった。

この国がもし、元々「あった」のだとしたら、
この国に住んでいた人物がこのゲームに参加していたら、
その人物と合流することによって有利に立てるのではないか。

そういう事だった。

「成程…な」

キーファは、リノアの持ってきた本を早速開いた。
なかなか豪勢なつくりをしている。だが、意外にも薄い。
「近況」だからな…とキーファは思った。
ぺらりぺらりとめくって行く。そして、あることに気付いたのだった。

「オル…テガ?」

あるページにハッキリと書かれていた。

「勇者オルテガが妻と息子を残して魔王バラモス討伐の旅に出る…。
 数々の街を回り、バラモスに後一歩と近づくも火山の河口に落ち戦死を遂げる」

続きへと紡がれている。

「息子アルス、16歳となり父と同じく魔王バラモスを討伐せんと旅に出る。
 賢者セージと盗賊ローグ、そして僧侶フルートと共にバラモスを討伐するがゾーマの存在を確認。
 ゾーマ討伐を決意し、その際にギアガの大穴の地下にて広い世界を発見。
 最終的にゾーマを討伐するが大穴が閉じ帰郷が不可能となる。だが、ある力により帰郷が可能となる。
 神たる龍にに挑んだ後、勇者オルテガも帰郷。世界に平和が戻った。
 尚、3行目以降についてはアルス一行本人の報告によるものである」

アルス、セージ、ローグ、フルート。
どれもこれも見覚えがある。
もう一度、攻略本を手にした。


「おいおいおい……マジかよ」

つい、驚きを声に出してしまった。
だが無理も無い。
なんと、名前の出た人間の中でAランクが2人。そしてBも2人。
エリートの中でも更に篩を掛けた様な人間。
ページを開いてみる。誤植でなければ化け物揃いだ。そう実感する。
詳細を読む。やはり、その強さを認識するだけで終わってしまった。


  • アルス 強さ:A
 仲間:セージ・ローグ・フルート  性格:正義感溢れる。芯が強いが、むっつりスケベな部分も
 所持特技:デイン系呪文・アストロン・ベホマズン・剣技
 対策法:最強の呪文と類稀なる才能に恵まれた剣術で攻撃してくる。
     魔法はあまり得意ではないので遠距離から攻撃しよう!剣ではまず無理だ!

  • セージ 強さ:A
 仲間:アルス・ローグ・フルート  性格:プライドが高く自信家。斜に構える部分があるが意外に社交的(?)
 所持特技:魔法使いと僧侶が習得できる呪文全て メラ系、ヒャド系、ホイミ系、全てを扱う。
 対策法:無尽蔵の精神力・魔力と恐ろしい量の呪文を使い分ける遠距離の鬼。
     接近戦には自信がないので、肉体的な体力で差をつけよう!呪文で煽っても死ぬだけかもね!

  • ローグ 強さ:B
 仲間:アルス・セージ・フルート  性格:柔軟な思考で状況を打破する。仲間に理想を持ちすぎ。
 所持特技:鷹の目・盗賊の鼻・フローミ・レミラーマ・忍び足
 対策法:状況に応じて素早く対応し、サバイバルな状況では生き残れそうな状態。
     一度に騒ぎを起こして混乱を起こすといいかも!ただし大概は逃げられるかもよ!

  • フルート 強さ:D
 仲間:アルス・セージ・ローグ  性格:天然。おおよそ戦闘には向いていない。
 所持特技:ホイミ系の回復呪文、支援呪文。
 対策法:この状態であれば殺すのは楽だ!しかしストレスを与えない方が良いぞ!
     刺激を与えずになるべく気付かれないように攻撃すると良いかも!一撃で殺さないと。。。

  • オルテガ 強さ:B
 仲間:アルス(子)  性格:勇敢。強大な敵にも一人で立ち向かう勇気を持っている
 所持特技:バギクロス・ベホマ・斧術
 対策法:パワーと体力があるので持久戦ではまず勝ち目はないぞ!
     相手の精神力を削るか、遠距離で即効ケリを付けろ!


「どうしろと…」「スキがねーよ、なさ過ぎる」「おいおい…それができれば世話ないって……」
「え?なんだこりゃ…え?怖……ッ」「おいおいおいおい…勇者だぜ?」

読んだ。突っ込みながら読んだ。
殆どがエリートだ。恐ろしく強いのはわかった。
だが…。

問題はフルートだった。
あの奇妙な伏線を残した遠まわしな書き方。
エリート揃いの中で一人だけランクが低い理由が不明。
一言で言うと「仲間として相応しくないはず」だと思った。

暫く考えながらページをめくっていると、別項を発見した。
その別項には…特集か?と言わんばかりにある人物がピックアップされている。

そう、フルートだった。
キーファはまたそのページを凝視した。
そして、「信じられないことが発覚してしまった」と心底思った。

  • フルート(裏) 強さ:A(ある意味Sかも!?)
 仲間:いないと思っているかも!?  性格:凶暴。好戦的。
 所持特技:僧侶系呪文・武闘家時代に修練した拳技、脚技・会心の一撃
 対策法:おおよそ人類が生み出した中でも凶悪な人間。防御力なんざ無視の肉体の攻撃が唸る!叫ぶ!轟く!
     これもキューソネコカミに頼るしかないかも!使う隙があればの話だけどね!!

なんだこりゃあ!!
はぁ!?誤植じゃないのか!?そうだ、誤植だ間違いない。
キーファはこの本に少し疑問を覚えてしまった。

だが多少間違いがあったとしても、真実というものは埋もれているもので。
キーファは嘘のようなその事実を受け止めきれず、腑に落ちないまま本を閉じることになってしまった。

【ジタン 所持品:英雄の薬、厚手の鎧、般若の面
第一行動方針:仲間と合流+首輪解除手段を探す 第二行動方針:ゲーム脱出】
【リノア 所持品:不明
 第一行動方針:スコールを探す+首輪解除手段を探す 第二行動方針:仲間と合流しゲーム脱出】
【キーファ 所持品:攻略本
 第一行動方針:首輪解除の手段を探す 第二行動方針:フィンと合流しゲーム脱出】
【現在位置:アリアハン城裏の図書館】

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最終更新:2008年02月16日 22:32
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