125話

第125話:理解不能


世に名を知られた賢者とて、理解できぬ事柄はある。
例えば、いま目の前にある光景のように。
「助けてー!」「誰かー!」
「……」
横倒しになったまま、薙ぎ倒された樹木の傍に転がっている大きな壷が喋っている。
どうやら中に誰かが入っているようだが……とりあえずは助けてやるべきだろうか。
そう考えた彼は、支給された杖を振るって壷を叩き割る。
「わぁっ!」「きゃぁっ!」
「……」
破片を浴びながら出てきたのは、やはり人間だった。
それも同じ顔、同じ服、鏡写しのようにそっくりな二人の少女だ。
「あー、助かったー」「このまま出られなかったらどうしようかと思ったわ」
彼女らは手を取り合ってはしゃいでいたが、やがて彼の姿に気付くと、揃って頭を下げた。
「ありがとう」「おかげで助かったわ」
「……ああ、いや、大したことはしていないのだが。
 その、君たちは、双子か何かなのか?」
「ううん」「違うよ」
「分裂の壷で自分を増やしたの」「一人より二人の方が便利だから」
「…………」

――世に名を知られた賢者といえど……理解できぬ事柄も、ある。

【アリーナ(分裂状態) 所持品:なし
 行動方針:不明】
【クリムト 所持品:力の杖、プロテクトリング
 第一行動方針:不明 最終行動方針:ゲーム脱出】
【現在位置(共通):レーべ南東の山岳地帯近くの、南の森】

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最終更新:2008年02月17日 22:58
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