MEIKO シナリオ:一章


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MEIKO シナリオ:一章

;<背景:黒,独白モード>
;<BGM:01店内>

――誰もいらない
たいていのコトは一人でできたし、誰にも頼らずに生きてきた
他人の助けなんて…同情なんていらない

    『さみしいですか?』

どんなに分かりあおうとしても
わかりあえたと思えても
他人は所詮、他人…そう思ってる

    『かなしいですか?』

だから、ずっとひとりだったし…
これからも、ひとりでいい
寂しさなんて

    『ひとりは…』

寂しさなんて感じない 



   『ひとりは、さみしいですよね』;<画面中央に配置>



A Fairy Tale in the Small Bar;<画面中央に配置>
序章『―Prelude―』;<画面中央に配置>


;<背景:黒><ウィンドウモード>

この世はわりと不思議なことであふれているらしい。

しばしば目撃される幽霊やオバQなど怪奇現象のたぐい。
ときどき届く『ひさしぶりーミキだよー』と件名のついた見知らぬ人からのメール。
働いても働いても貯まらないお金。

そして、目の前のテーブルクロスに広がる…茶色いシミ。
まるでミステリーサークルのように幾何学的な模様を描いている。

…ま、こういうことは超常現象じゃなくて、あっさりした答えや理由があるもんで…
例えば、怪奇現象は枯れ尾花だったり寝ぼけたオジサンの見間違えだったり、
メールは出会い系や広告だったりする。
……お金に関してはあまり考えたくないので考えないようにしよう。うん。

というわけで、このシミもきっとUFOが作ったものとかじゃないはずで…

かすかに香るしょうゆのニオイ。

…俺じゃない。今日、しょうゆ使ってないし。
たぶん目玉焼きにしょうゆをかけて食べるひとが犯人だろうなぁ…
あの人か…。

こぼした時に拭けよな…ったく………とは言えない自分が悲しい。

ま、掃除嫌いじゃないし………楽しいからいいか。

;<背景:店内>

さて、と…開店準備は、ほとんど終わってるし…
あとは、このシミを何とかして、着替えて
それから…えっと、そう看板を………

とりあえず、このシミを…なんか洗剤とか薬品とか…

えと…シミ・ソバカスには…メンソレータ

ガスっ
;<画面振動?>

【主人公】
「ぐはっ!?」

背後からの衝撃!!

――刺された!?
背中、肝臓のあたりに先鋭なモノの感触があった…
…急所じゃないか。背中からとはいえそんなところを刺されているとしたら
………死んでしまうんじゃっ…

突然の出来事に混乱する思考!!
…そこまで混乱してないな、俺。うん。

くそっ…せめて最期に犯人の顔だけでも………

ふりかえるとそこには

;<立ち絵:オーナー;店服;怒>

凶器と思しきモノ(ハイヒール付き脚)を折りたたむ犯人の姿が!?
あぁ…うん。あなただと思いましたよ。
…ヒールは痛いんです。ほんとうに。

【主人公】
「っ…つぅ………なにか?」
【オーナー】
「この私が呼んでるにもかかわらず、無視しまくった罰よっ!」
【主人公】
「は?」
【オーナー】
「何回呼んだと思ってるの?
 …おそらく3あるいは4回は呼んだわっ!
 私は無視されるの嫌いって言ってるでしょっ!!呼んだらすぐ返事しなさいっ!!」
【主人公】
「(………返事してもらえないからって…寂しがり屋さんか、あんたは)」
【オーナー】
「…あ?なに?言いたいことがあるならハッキリ言いなさいっ!」
【主人公】
「…いいえっ、その…仕事に集中しててですね」
【オーナー】
「それと何の関係があるのよっ!仕事は仕事でしょうが!!」


…このジャ○アンのような(発言をしている)女性。
この居酒屋『早月』(さつき)のオーナー&店長&厨房全般をやってる…俺の雇い主。

あ、ちなみに俺はウェイター&その他雑用をやってます。………って、誰に語ってるんだ?

【主人公】
「………あの、蹴り入れられるほどのミスですか?」
【オーナー】
「もっちろんっ!むしろ、か弱い私の蹴りで済むなんて、軽い方よっ!!」

…かよわい?誰が?どこの誰が?
厨房の壁の一角がヒールの跡でボコボコにされているのを俺は知ってる。

お願いします…みなさん、酔ってもこの人にセクハラしないでください…。
セクハラされるたびに、壁の補修をしなきゃならない俺の仕事を増やさないでください…。

【オーナー】
「だいたいねぇ、普段から言ってるでしょっ?
 背中に目つけるくらいの気持ちで仕事に望みなさいって」
【主人公】
「そりゃ、ウェイターのときでしょう…」
【オーナー】
「今だって仕事中でしょ?注意力が足んないのよ!」
【主人公】
「…注意力って、あんたな」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「…ふふっ……あらぁ…反省がないのかしら?しかたないわねぇ…」

サディスティックな笑みを浮かべながら、回し蹴り(必殺ワザ)の姿勢に入るオーナー。
…ヤバイ…これは…殺られるっ……

;<暗転>

【主人公】
「スイマセン見てませんでしたごめんなさい
 これからこんなことが無いように精一杯努力します」

謝罪しつつ頭を下げる。平伏。降伏。降参。
これまでの経験上、とりあえず謝っておけ…というのが最良の対応である。
この人と争いになって、得をすることはなく…それはもう、いろんな意味で。

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「…よろしい。“とりあえず謝っとけばいいじゃん”みたいな感じだけど
 まぁ、いいわ。時間無いし」

;<立ち絵戻す>

…見透かされている。あっさりと。

【オーナー】
「でね、ちょっと買出しに行って来て欲しいんだ~。開店まで時間あるし」
【主人公】
「…なんですか、そのネコかぶっちゃいました~みたいな声」

;<立ち絵:オーナー;店服;不機嫌>

【オーナー】
「あ?なんか言ったか?」
【主人公】
「…か、開店準備がまだ」

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「でも料理ができなかったら、準備しても仕方ないわよねぇ?
 だってタマゴが無いのよー?
 それなのに今日のおススメはプレーンオムレツなのよっ!?」
【主人公】
「(…この無計画女)」
【オーナー】
「従業員、なにか言ったかな?」
【主人公】
「…今日のおススメを変更とか?」
【オーナー】
「やよ。だって、今日オムレツの気分だし」
【主人公】
「………」
【オーナー】
「なにか問題でも?」
【主人公】
「いえ、何も。ぜんぜん。全く。…30分ほどで戻ります」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「お願いねー」

;<暗転>
;<BGM:fadeout>

………

;<独白モード>
;<背景:商店街みたいな?MEIKOが近づいてくる効果を入れてもおもしろいかも>
;<BGM:04おそと>

スーパーで卵を購入。
いやぁ…今日がお一人様2パックな日ではなくてよかったよかった。

オーナーの突発的なワガママにつき合わされるのに慣れてきている昨今。
…自分でもどうかと思うけど。ま、楽しいしな。………楽しいのか、俺。

にしても…あの店の経営はどうなっているのか。
無計画、無秩序に、そして費用対効果おかまいなく
生産されていく料理、料理、料理。

雰囲気は洋風のこじんまりしたバー。
でも出される料理は居酒屋か定食屋風。
そして、ワインやカクテルとともに日本酒、焼酎が消費されていく。

ちぐはぐな店だ。
そんなに客の入る店じゃない。はっきりいって狭い。
しかも来る客はほとんど固定メンバー…。
酒も珍しいものがあるわけでなく料理も普通。しかも料金は割安。

ううむ…いったいどこから金が降ってきているのか…。
ま、毎月給料が払われてるし…どうでもいいか。

って、そろそろ、時間がやばいかな…ていうか今何時か

;<画面振動?>
;<ウィンドウモード>
;<立ち絵、MEIKO;私服;慌てる>

――な!?

【??】
「…!」
【主人公】
「わっ!」

;<暗転>

…歩きながら考え事なんてするもんじゃないな。うん。
思いっきり人にぶつかってしまった。…女の子か?
とりあえず謝らんと…

【主人公】
「…すいません」
【??】
「………」
【主人公】
「大丈夫ですか?」
【??】
「………」
【主人公】
「ケガとか」
【??】
「………」

言葉がない…。悲しくなるくらいの無言。
人にぶつかっといて挨拶もなしですか…これだから今どきの若者は…。
いや、俺もかなり若者だけど。ていうか、ぶつかったの俺だけど。
…とりあえず、立ち上がる。

;<背景戻す>
;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【主人公】
「えっとな」
【??】
「…(ぺこっ)」

;<MEIKO去る>

感じ悪い。終始、無言で走り去っていった。ちょっと不快感。
…コミュニケーション能力って、やっぱり大事だよな。
俺がいうのもなんだけど。

………もしかして不審者と思われたとか?通報?自白?冤罪?
ま、まさかねぇ?

…あ、やば、開店時間過ぎてるし。
やっぱり考え事しながら歩くのはよくないな。うん。


;<暗転>
;<BGM:fadeout>

………

;<背景:店の中>
;<立ち絵:オーナー;店服;不機嫌>
;<BGM:01店内>

【オーナー】
「遅い!おそいっ!おっそぉーいっ!!」
【主人公】
「すいませんっ!ご心配をおかけしましたっ!」

;<立ち絵:オーナー;店服;不機嫌(恥ずい?)>

【オーナー】
「………ゃ…その…べ、別に心配してたわけじゃない、けどさ」
【主人公】
「は?」
【オーナー】
「な、なんでもないっ!」
【主人公】
「はぁ」

急いで店に戻ると、予想通りオーナーは不機嫌そうだった。
ちなみにオーナーは、他人に待たされるのが大嫌いな人だったりする。

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「…ま、いいんだけどね。お客入ってないし」

つまり、現在この店の人口は2人ということだ。
ということは人口密度は、面積でわるから………複素数ってなんだっけ?
ちなみに俺は、数学が大嫌いな人だったりする。

この時間、普段なら2、3人の客が入ってるもんだけど。
ついに廃れたか、居酒屋『早月』。

【主人公】
「そろそろ、店たたんだ方がいいんじゃないですか?」

;<立ち絵:オーナー;店服;不機嫌>

【オーナー】
「む…。き、きっと今日はみんな、お給料日前なのよっ!!」
【主人公】
「…そうですか」

ちなみに今日は15日。
客がみんな給料日前かというには微妙なとこじゃないだろうか。

…店の空気が動く。少しひんやりした風が店内に入ってくる。
ドアを見ると馴染みの客が一人。

【佐々木】
「お、やっぱ開いてんじゃねーか」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「あ、佐々木さんっ!!いらっしゃーい!!」
【佐々木】
「なんでぇ、今日はやけに元気がいいなぁ」
【オーナー】
「ううんっ!なんでもないのっ!!佐々木さんっ芋焼酎お湯割りよねっ?」
【佐々木】
「あ、ああ」
【オーナー】
「まーかしてっ!!」

;<立ち絵:オーナー去る>

【佐々木】
「………おい」
【主人公】
「はい?」
【佐々木】
「なんかあったのか?」
【主人公】
「佐々木さんが来たから嬉しいんですよ」
【佐々木】
「そ、そうか?そ、そんなこといわれても、俺にゃカカァとガキが…」

佐々木さん…恐妻家。年齢不詳。今年小学校に入学するお子さんがいるらしい。
俺が働き始めるより前から、この店に通っている常連客である。
ビールのプリン体が気になり始めるお年頃らしい。どんなだ?

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「おまたせーっ」
【佐々木】
「お、わりぃね………あぁ、そうだ。開いてんなら看板だしといた方がいいぜ?」
【オーナー】
「へ?」
【佐々木】
「てっきり、休みかと思ったしな………って、熱ぅっ!!」
【オーナー】
「…おい」
【主人公】
「………はい」

;<立ち絵:オーナー;店服;怒り>

【オーナー】
「…看板出して来い、今スグだ」
【主人公】
「はひ…」

目が据わっていた…。
いや、俺のせいじゃないでしょう?ねぇ?

;<暗転>


;<背景:店の外>

看板を出し、照明をつける。
元はといえば、オーナーが開店準備の邪魔を…
などという不満は心の奥底に沈めておく。
…こうやって現代人はストレスを溜めていくんだなぁ。………俺将来はげるかも。

今夜も、まだ冷えるな。ん…?

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

さっき商店街でぶつかった子…。
…まさかさっきぶつかったことを根に持って?…ないない、それはない。
………あ、目が合った。てか、俺がじっと見つめてたんだけど。

【??】
「………」

お互い目をそらさない…威嚇か?………それとも客か?
じっと見つめられると恥ずかしくなる日本人なので、こっちから目をそらす。
危ないところだった…もう少しで恋に落ちるところだった……なんてな。

ま…客なら勝手に入ってくるだろうということで。

ここで「いらっしゃいませー!一名様ごあんなーい!」とか言うほど
俺はノリの良い店員じゃない。うん。

;<背景:店の中>
;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

数分もしないうちに、さっきの子が店に入ってくる。
店内をキョロキョロ見回している。…挙動不審だ。不審者だ。
他店のスパイ…なわけないか、こんな店に。

しかし、こんな店に来るような年齢には見えないけど…
ま、入ってきたからにはお客様だし…。

【主人公】
「いらっしゃいませ」

;<立ち絵:MEIKO;私服;慌てる>

【??】
「………」

声をかけるが、また無視され…てはない…というかハタハタしている。
慌てて何かを探している。いや…お前、ポケット二つしかついてないじゃん?
いや、なんでそんなに慌てるよ?

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

“お水を1はいください”

そう書いたメモ帳を差し出される。…なんだこいつ?メモ魔か?

メモ帳の違うページを見せられる。

“耳はきこえますが、声が出せないんです。すいません”

あぁ、なるほど。
だからさっきも無言だったのか。
…ま、声が出ようが出まいが俺には関係ないけどさ。

【主人公】「かしこまりました。そちらの席でしばらくお待ちください」

そう言って立ち去る俺に、壊れたメトロノームみたいに何度も頭を下げる。
変な客だ。

;<暗転>


;<独白モード>
;<背景:黒>

今日も『早月』の客は少ない。ただでさえ少ないテーブルが半分も埋まっていない。
ま、いつも通りか。うん。

オーダーが緩やかになってきたところで、ウェイターの仕事を切り上げて客席の奥に向かう。
こっちが俺のメインの仕事…だと思う。 たぶん。

;<背景:ピアノ?なければ店の中>

狭い店にもかかわらず、こんなモノを置いている。
使い古された…もう何年も調律されていないらしいグランドピアノ。

ホコリまみれにならないように掃除してはいるけど…
どんな音が出るかもわからない。

…どんな音が出てもわからない俺には、お似合いの楽器。

今日も、誰も耳を傾けることのない、喧騒に満ちた最低のステージで
それなりの演奏を酒の値段につりあった客の前でかなでる。

…最低だけど嫌いじゃない。
少なくとも、今の俺には心地いいステージ。

;<BGM:fadeout>

鍵盤を叩く。
;<BGM:08ピアノ曲>
頭の中で響いているのは、ずっと昔の音。


;<暗転>

ずっと昔…そんな風に思えるくらい過去に書いた曲。

曲を書くとき
この感情を込めて曲にしようとか
この感情を聴衆に伝える曲を作ろうとか

そんなことを思ったことはなかった。

ただなんとなく…そのときどきで曲を書いた。

完成した曲は、周りの人間に言わせれば
単調で、深みのない…ただの音の羅列に聞こえるらしい

曰く「お前の曲ってなにもないよね」…とのことだった。

理解されるなんて思ってなかった。

理解して欲しいとも思わなかった。

理解されても仕方がないと思った。


;<ウィンドウモード>
;<背景:店の中>

曲の最中…ふと、さっきの変な客のことが気になって
カウンター席を見る。

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

いた。テーブルの上に水の入ったコップ。
そういえば、水以外の注文がない。困った客だ。
しかし、そんな客さえ追い返せない我らが居酒屋『早月』なのだった…。

ぼんやりとこっちを見ている。な、なんだよ…照れるだろ…。
ピアノをひくウェイターが珍しいのか…
じっと目をそらさずこっちを見て………

;<立ち絵:MEIKO;私服;歌唱>

え――?

歌っている?
声だせないんじゃ…

いや、他の客は…飲んだり、くっちゃべってる。
あの子を気にする人いないし………
口パク?

あたかも聞きなれた曲であるかのように
彼女は詞を紡ぐ。

………おかしい。この曲には詞なんてない。
俺は作曲しかしてない。

この曲を聞くのは初めてのはず…あんな客が来たら忘れるわけないし…
…なのに、なんであんなに自然に迷いもなく“歌える”?

どんな詞を?…彼女の唇を“読む”。

【??】
『…ひとりで過ごした、君がいない………誰でもよかった…そばに…』

――なんで、こんな歌詞になる?
わからない。どうして“わかる”?
あのときの俺の…どうして?

【??】
『…言葉なんて、いらなかった………ただ、ぬくもりをくれる誰かに…』

;<暗転>
;<BGM:fadeout>

………

30分ほどの演奏を終えて、またウェイターに戻る。

;<背景:店内,立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「相変わらず下手ね~」
【主人公】
「…ピアノが悪いんです」
【オーナー】
「…そ。はい、仕事。これ運んで。カウンター席のあの子」
【主人公】
「了解」

;<立ち絵消える>

オーナーのいつもどおりの批評。下手。
別に誰かに聞いてほしいわけじゃないけれど…
自分の技量というかそういうのわかってるし。

でも店の中でまともに俺の演奏を聞いてくれる存在は素直に嬉しいと思うわけで。

;<BGM:05MEIKO>

だから…というわけじゃないけど
今日、カウンター席で下手な演奏を聞いて、“歌っていた”あの客は…変わってる。

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【主人公】
「お待たせしました。ジンジャーエールです」
【??】
「…(ぺこり)」
【主人公】
「以上でご注文はおそろいでしょうか?」
【??】
「…(ぺこり)」

酒を飲んでいいのか悪いのか微妙な年齢に見える。
肌はニキビも産毛もなくて白い…服と合わせて全体的にモノトーン
…って俺は何をじろじろ見てるんだと。

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

こっち見てるし…笑ってるし…いや、これは困ってるのか?
えっと…か、軽く会話をしてみよう。うん。さっきの気になるしな。うん。

【主人公】
「あ、あのさ」
【??】
「…?」
【主人公】
「さっきの歌のことなんだけど」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通or疑問>

【??】
『えっ?』
【主人公】
「演奏中に歌ってたろ?」
【??】
『す、すいませんっ!わ、わたしっ!じゃなかった…えっとメモメモ』

;<立ち絵:MEIKO;私服;慌てる>

【主人公】
「いや、メモいらないから」
【??】
『で、でも、わたししゃべれないから、書くものがないと』
【主人公】
「あー…あのさ」
【??】
『えっと…あれ?どこに?…すいません。ちょっと待ってて下さい』
【主人公】
「…会話できてるだろ?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【??】
『………ほんとです』
【主人公】
「………」
【??】
『あれ?どうして?………も、もしかして、わたし声が出て』
【主人公】
「ないけど?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

【??】
『…そうですよね。バカだなぁ、わたしったら』
【主人公】
「そうみたいだな」

;<立ち絵:MEIKO;私服;不満>

【??】
『………うぅ…フォローとかって』

ちょっと不満そうだった。
最初見たときは無表情&無言で感じ悪かったけど
意外とコロコロ表情が変わるな、こいつ。おもしろい。

話を円滑に進めるためにも種明かしをしておこう。

【主人公】
「唇が読めるんだ。耳、聞こえないから」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通or疑問>

【??】
『…え?
 でも、耳が聞こえないなら、ピアノどうやって』
【主人公】
「聞こえなくなったのが5年くらい前で、それまでは聞こえてたから」

;<立ち絵:MEIKO;私服;謝罪>

【??】
『え…、あ、すいません』
【主人公】
「…なにがすまないのかわからない」
【??】
『あ、そうですね…すいません』
【主人公】
「………」
【??】
『あっ!えっと…そのですね…す、すいま』
【主人公】
「で、歌のことなんだけど」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【??】
『あ、はい』

本題に戻す。このままではいつまで経っても謝り続けそうな気がした。
…この自信なさげな感じというか…腰が低いというか…
オーナーの対極にいるようなやつだな…

【主人公】
「どうやって歌った?
 あの曲、歌詞なんてないし…メロディも作曲したの俺だし
 聞いたのも初めてだろ?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;楽しい>

【??】
『…なんとなく、です』
【主人公】
「なんとなく?
 なんとなくで、初めて聞く曲で、即興で?…無駄にフィットしてたんだけど」
【??】
『はい。こんな歌かなって…。
 せんりつはおだやかだけど…ちょっとさみしいかんじ』
【主人公】
「………さみしい?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;慌てる>

【??】
『はい。…す、すいませんっ!もしかしたら、ぜんぜんイメージが違ったり』
【主人公】
「いや…そうじゃな」

;<立ち絵、オーナー;店服;不機嫌>

【オーナー】
「ほぅ…サボりか、従業員。………オーダーたまってるんだけどなぁ?
 ナンパかぁ…いいわねぇ…青春よねぇ」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【??】
『………』
【主人公】
「いや…そうじゃな」
【オーナー】
「ちょっと、厨房まで来い」

;<暗転>
;<BGM:fadeout>


今日の仕事運は全体的に低いようだった…。


;<背景:店内>
;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>
;<立ち絵:オーナー;店服;普通>
;<BGM:01店内>

【オーナー】
「ふーん…
 つまり、彼女が演奏中に歌ってて、それが気になったから、声をかけてみたと」
【??】
「…(こくこく)」

彼女の協力をえて、どうにかオーナーの説得を試みる。
…厨房に連れて行かれたら最期だ。どうにかここで…

【オーナー】
「それって、ナンパじゃん」
【主人公】
「ち、違いますっ」
【オーナー】
「…暗い道では背後に気をつけたほうがいいわ。
 あなた、今日家に帰る途中、突然こいつが」
【主人公】
「俺は、どんな危険人物ですか…」

;<立ち絵:MEIKO;私服;怖い>

【??】
「…(がくがくぶるぶる)」

そこまでおびえなくても…
俺、わりと傷つきやすいんだけど…
ガラスのように繊細なハート………うあ、発想が昭和じゃん…

【主人公】
「………」
【オーナー】
「あーゴメンゴメン。冗談よ。ウチの従業員に悪い人はいないから」
【主人公】
「(ま…確かに、オーナーは従業員には入らな)」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑顔>

【オーナー】
「なにか言ったかしら?」
【主人公】
「いえ。なにも」

思わず、口に出していたらしい。
反省。口は災いの元。

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

【??】
『あはは…まぁ…わたしは』

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「ん?なに?」
【??】
『あ…』

“わたしはボーカロイドなので、おそわれても大丈夫です”

【オーナー】
「ぼーかろいど?」

…一般常識のない人だ。
きっとニュースさえ見ないんだろうなぁ。

;<立ち絵:オーナー;店服;不機嫌>

【オーナー】
「あんたさ、わりと考えてることが顔に出やすいほうだって知ってる?」
【主人公】
「…ボーカロイドっていうのは、歌唱用機械人形のことです」
【オーナー】
「………わざと、難しく言ってない?」

“ようするに、歌っておどれるロボットです”

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「ふーん…今、流行のロボットなんだ?………こんなに柔らかいのに?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;恥ずい>

【??】
『ひゃぅっ』

今、スゴイとこをさわってた気が…。普通さわるか?太ももの…
見なかった。俺は何も見てない。うん。

【主人公】
「…ええ。ま、高級品なので一般にはあんまり出回ってないですが」
【オーナー】
「じゃあ、なんでここにいるの?」
【主人公】
「…さあ?」

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

“歌えなくなったので、元いたところにいられなくなって”

【オーナー】
「………ふむん」

“だから、これからどうしようかなって”

【オーナー】
「なるほどね。…行くところが無いってわけね」
【??】
「………(こくり)」
【主人公】
「…オーナー?」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「あなた…ウチで働きなさいっ!!」
【主人公】
「なっ」

;<立ち絵:MEIKO;私服;普通>

【??】
「!」
【オーナー】
「いいじゃないの~。あんただって似たようなもんだし。気の毒な話だし。
 素直でいい子っぽいし。ね?」
【主人公】
「ね…って、あんたなぁ」
【オーナー】
「………いいでしょ?ほっとけないんだからっ!
 …なに?私の判断にケチつけようっていうの?」

オーナーの言いたいことはわかる。こいつも一人ぼっちだから。
だからほっとけない。…このひとも俺も。

【主人公】
「反対はしませんけど…。
 しゃべれないってことはウェイトレスとかできませんよ?」

“いいんですか?”

【オーナー】
「うん。ま、皿洗いくらいできるでしょ」

;<立ち絵:MEIKO;私服;笑い>

“とくいです”

【オーナー】
「じゃ、決定っ!」
【主人公】
「…この店にそんな余裕が」
【オーナー】
「………あ、あるわよぉ。
 ていうか、そんなこと従業員の気にすることじゃないべさ」
【主人公】
「べさ?」

“ありがとうございます。せいいっぱいがんばります”

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「うんうん。いいわねぇ」

;<立ち絵:MEIKO;私服;楽しい>

これって法律的にどうなるんだっけ?
人権?ロボットみたいなもんだし…?
………めんどくさいので考えないことにしよう。
オーナーもきっと考えてない。

【主人公】
「ま、いいですけどね。知りませんよ、俺は」

;<立ち絵:オーナー;店服;普通>

【オーナー】
「なに言ってんの?」
【主人公】
「へ?」
【オーナー】
「あんたが面倒見なさいよ」
【主人公】
「な」
【オーナー】
「まともに会話できるのあんたしかいないんだから」
【主人公】
「…んな、めんどくさ」
【オーナー】
「なんか文句あんのか?」
【主人公】
「…ありませんとも」
【オーナー】
「いいじゃない。きっと楽しいわよ?」
【主人公】
「…はぁ」

;<立ち絵:オーナー;店服;笑い>

【オーナー】
「というわけで…困ったことがあったら、なんでもこいつに言ってね」

;<立ち絵:MEIKO;私服;困り笑>

【主人公】
「………はぁっ」
【??】
『あ、あの』
【主人公】
「………なんだよ?」
【??】
『よろしくお願いしますね』
【主人公】
「…ああ、お前の名前は?」
【??】
『わたしは――

;<暗転>
;<BGM:fadeout>

………

ボーカロイド――MEIKO
出会ったのは、春に手が届きそうな少し寒い夜だった。
ツールボックス

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