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。○一○。


 夢を見た。
 全てが閉ざされてゆく夢。
 最後には、孤独という言葉が残った。

 『世界』

 辺りには、何もなかった。それは、数分前の事。
 まるで全てのドアが閉ざされていくかのように、太陽は欠け始めた。太陽も、月も、一日の中で一番美しい時間。夜明け前。最後に見えたのは紫色の海で、瞬きをしたすきに、周りには何もなくなっていた。
 ルイは走っていた。朝3時ごろに目を覚ましたルイは、少し動きやすい服に着替え、海まで散歩に行っていた。まだ夜が明ける前の海岸はとても寒く、部屋着の上にカーディガンをはおっただけの服装のルイには寒すぎるほどだった。携帯電話を見て、そろそろ夜が明ける時間になる事を確認すると、ルイは時々来る自分の特定席に座った。
 満潮の時には海の中に沈む夢見祠の入り口が、ちょうど見えない位置。そこは、月が沈むのと太陽が昇るのがとても良く見える場所だった。海岸から少し離れるので、そこには花がたくさん咲いている。そこはまさに天国とも言えよう場所だった。
 太陽が昇る。月が沈む。同時に1日の始まりを眺めていたルイは、一瞬何が起こったのか分からなかった。これから昇ると見えた太陽が、欠けていく。まるで、向こう側に開いていたドアの扉が、誰かの手によって閉まっていくかのように。月は沈みきり、太陽は半分まで昇った。そして、欠けていった。誰かこの現象に気付くだろう。家の中で朝食の準備をしていた母はまさに気付くまい。早朝から犬の散歩に出かけた妹はもう帰っている時間だ。父はまだ起きていないだろう。
 焦ったルイは、一度家へ戻ろうと太陽を背にした。これまでの太陽が欠ける速度からいえば、ルイの足なら欠けきるまでに家へは着く。その時。

―ぉ………

 誰かの声が聞こえた気がして、ルイは振り返った。

ガシャン

 扉の閉まる、音がした。