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SS「ハッピーチョコレート」

 俺の名はオナミ。銀河を股に駆ける宇宙海賊だ。今日も愛用のハンドガン片手に、相棒のシンジをつれて、宇宙船オナミドリを軽快に走らせているところだ。

 おっとこんなことを言ってる間に、宿敵の宇宙刑事キラが警察支給の白黒宇宙船に乗って登場だ。こいつは長年俺のことを追いかけているくせに、一回も捕まえられないボンクラだ。正直宿敵なんて名乗るのもおこがましい。銭形警部だって何回かルパンを逮捕してるっていうのに。「脱獄のチャンスは一度」を百万回読み直したらいい。そして逮捕するシーンから始まるから、逮捕の方法は書いてないってことに絶望すればいい。いい気味だ。

「おい、オナミ。えらくご機嫌そうだがな、お前みたいな犯罪者には太陽の見える航路なんか通る資格はないんだよ。そんなことしていいのは護送船に乗った時だぜ。それとも今すぐ乗り換えたいか?」

「そりゃ誤解だぜ、旦那。俺なんてただの運送屋だって何回も言ってるじゃありやせんか。それに納税義務だってちゃんと果たしてやすぜ。正規航路通る権利は十分ってもんだ」

 俺の言葉を聞いてキラが木星産の宇宙豚みたいな顔で笑った。こいつがこの顔をする時は要注意だ。この前火星の酒場で隣の席になったのに、こっちにまったく気づかずに火星人の女を口説いてた時もこの顔をしていた。要するになんかを狙ってる顔だってことだ。

「オナミよぉ。お前、今口答えしたなぁ。警察に口答えするってどういうことか知ってるか?公務執行妨害って言うんだぜ。わかってるのかぁ?」

 笑っていた通信モニタの中の目が急にギラリと歪み、冥王星産の烏賊のものになった。

「逮捕だ」

 キラが言い終わると、突然レーダーに警察船の反応が現れた。キラの腰巾着共だ。張ってやがったってことだ。

「旦那ぁ。こんだけ税金が高かったら、御上に文句の一つや二つ言ってみたくなるのが善良な市民ってやつですぜ。こんなことで捕まってたらそれもできなくなっちまう。だから今日はこれでお暇させていただきやすよ」

 喋りながらブースターのスイッチを前回まで開き、舵を思い切り左に切る。

「シンジ!全速回避一秒後だ!準備しろ!」

「かしこまりだ!」

 一気に船体がキラの警察船にギリギリまで近づく。操縦席にふんぞり返っているキラが目視できるほどの近さだ。そこでおもむろに舵を反対に目一杯切る。出番を待ちかねた噴射口からの振動が心地よく尻を突き上げる。

「全速前進!」

 宇宙空間まで揺るがさんほどの轟音が船内に響き渡り、警察船の反応がレーダーの中心からぐんぐん離れていく。ノイズ混じりのモニタが、

「オナ・・・・・・!こんな・・・・・・して・・・・・・です・・・・・・もうなよ!」

と叫き散らした。

「旦那!言いたいことがあったら、もっと良い通信機使ってくだせえ。こっちで用意できる通信機じゃ声が聞こえねぇ」

 シンジがゲラゲラ笑った。二人で爆笑しながら、彼方に光る青い星、地球を目指して俺たちは飛んだ。



「という風な感じなんですけど、どうでしょう?」

 下から覗うようにして見ると、大阪部長は眉をしかめて難しい顔をしていた。

「ええ話やぁ。だけどなぁ、なんか足りへんねんなぁ。なんやろなぁ」

 アドバイスを貰いに来た人間に、いきなり足りない物を訊かれても困る。周囲の部員たちを見回してみても、まだ読んでもいない人たちが答えを知っているはずがない。苦笑いやら頭にクエスチョンマークを出すやらでまるでヒントにならない。

「そうやなぁ、オナミさんはこの後の続きとかって考えてるん?そこにヒントが有るかもしらんでぇ」

「え、この後ですか。主人公と宿敵が女の子を巡って戦うとか。ちょっとベタすぎですね」

 正直ここまでしか話は考えてなくて、この後の話にアドバイスを活かそうと思っていたので、口から出任せだ。

「うーん」

 やばい!やはり無理があったのか、部長が更に頭を抱え込んで悩んでしまった。と思って、名誉挽回する案をひねり出すために持てる頭脳の全てをフル回転させて考えていると、輝く目が透き通った部長がそこにいた。

「そうや。わかったわ。オナミさん!足りんものがわかったでぇ。ボインや!ボインボインの女が足りへんのやで。」

 変貌を遂げた部長のテンションについて行けず、ぼんやりと見ていると、彼女は立ち上がって、

「やっぱりハードボイルドなSFには、ボインのお姉ちゃんがかかせへんでぇ。これはやっぱり決定事項やなぁ。メガネちゃん、ちょっと描いてみてもらってええかなぁ」

一人突っ走りだした。ところが俺の横でニコニコと成り行きを見守っていたメガネさんは、目の前にあった紙と鉛筆を手繰り寄せると驚異的なスピードで女性像を描き始めた。まるでアドちゃんだ。しかも紙に向かうと目が腐っている。小説の中にイメージした冥王星の烏賊の目そ
のままだった。

 部長の指示のもとメガネさんの描画は小一時間続き、とうとうボインのお姉ちゃんの挿絵が前もって完成した。俺そんなの書くなんて言ってないのに。

「うん。ええできや。オナミさん、これをイメージして続き書いてみたらええよ。きっと更にええ話になるでぇ」

 嬉しそうに言う部長の薦めを無下にすることができなくて、俺は差し出される絵を曖昧に受け取ってしまった。

「ど、どうも。頑張ります」

 よくわからないが部長は御満悦だ。そういう顔をされて悪い気分はしない。まぁ、言ったからには頑張ってみようかなくらいの気分にはなった。

「私バイトなんで帰りますね。オナミ君頑張ってね」

 メガネさんが立ち上がり、部室を出ようとしていた。あ、メガネさんが帰るなら俺も。と思った瞬間部長が、

「そうや、頑張るオナミさんにもう一個良い物あげるわぁ。きっと小説の役に立つでぇ」

と声をかけてきた。メガネさんが他の部員との挨拶も済ませて出て行ってしまう。嗚呼、俺の天使。

「どうも。何ですかその良い物って?」

「良い物は良い物やでぇ。そんな怒らんとお姉さんについてきぃ」

 天然風の笑顔の部長は、俺の憮然とした表情を見透かしていた。



 サークル棟の共有部屋。というと聞こえは良いけれども、要するに倉庫。部室を出る時に廊下を見回しても、既にメガネさんの姿は見えず、部長の後を追いかけるしかなくなってとぼとぼとそこまでついてきた。

「相変わらず汚いなぁ。掃除する気にもなれへんわぁ」

 各部活の雑多な品々が散らばった部屋の一番奥で、段ボール箱を漁りながら言う部長に、俺は苦笑いして同意した。確かにこれだけ散らかっていると掃除する気にはなれない。

「あったわ。これやこれや」

 部長は未開封の板チョコの包みを一つ持っていた。

「なんですか?」

「なにて。いいものや」

「チョコレートですよね。凄く美味しいやつですか?」

 美味しいチョコレートを貰うのは嬉しいが、それが小説とどのような関係があるのかまったくわからない。疑問がもろに顔に出ていたのだろう、部長は包みを開け二欠片チョコレートを割り、片方を差し出した。

「まぁ、食べてみぃ。何でも願いの叶うチョコレートやでぇ」

「はぁ」

 胡散臭さが加味された。

 手渡されたチョコは確かに美味かった。しかしだからといってただそれだけ。何のことはない。別にチョコ食ったくらいで何か変わったらノーベル賞ものだ。あったとしても鼻血が出るくらいだ。

「オナミさんは疑り深いなぁ。でもすぐわかるよぉ。ちょっとまっときぃ」

 部長も残った一欠片を口に入れた。そして残りを包み直し、俺の上着のポケットにねじ込んだ。

「残りはあげるわ。おやつにしたらええよ」

 ん?

「どうや?」

 いつの間にか近くに寄ってきていた部長が、俺の顔を見上げて訊いてくる。

 あれ?

「効いてきたやろ?」

 部長の腕が腰に回ろうとしていた。逃げなければまずい!非常にまずいことが起ころうとしている!本能的に腰を引いてその場を逃げ出そうとする俺だったが、既に足が頭についてこずいうことを聞かない。逆に色々な意味で空気の読めていない上半身だけが後ろに動き、真後ろに置いてあるアンプに蹴つまづいて転んでしまった。

 今度は見下ろしてくる部長が長すぎる舌を出し、その上に乗ったもう四分の一ほどの大きさに溶けたチョコレートを見せつける。

「オナミさん。なんでも経験やで」

 もう目の前は真っ赤だ。部長の舌の色だ。部長の口からチョコレートが流れ込んできて、口の中が馬鹿みたいに熱い。あんなに小さくなってたのに、いつまでたっても流れ込んでくる。でも美味しい。止められない。

「ほら、オナミさん。人から物もろたらお礼せんと」

「お礼?」

「そうお礼」

 何のことかよくわからなかったが、ああこの人は残りのチョコレートあげたんだから、私にも寄越せと言っているのだと思い、もう口の中にはないはずのチョコレートを部長に流し込んだ。すると不思議なことに俺の舌の上から甘いチョコレートがいくらでも湧き出てきて、もう
お礼には不自由しなくなった。

「美味しいやろ?」

「美味しいです」

 微笑みあって、またチョコレートを交換する。

 俺の脚の上にあひる座りをした部長がシャツの中に手を入れてくる。

「オナミさん。やっぱりええ匂いするわぁ。男の子の匂いやぁ」

 部長は俺の体を撫で回しながら、首筋や脇腹付近に顔を寄せて深呼吸を繰り返していた。ああそうだ、俺は部長に匂いをあげてるんだから、このお礼貰っていいんだっけ。そう考えた俺も部長の服の下に手を入れて、鼻先をうろうろしている髪の匂いを嗅いだ。

「部長も凄く良い匂いですよ」

 二人で互いの体を撫で回し合い、匂いを交換する。口の周りはもうベトベトだ。

 そうしているうちに俺は一つのことに気づいた。部長の方が着ている物が一つ多い。俺は服の下に手を入れられると全くの素肌で、胸も背中も触られているのに、部長の胸は卑怯にも守られていた。しかも背中にホックがないので、それを外すこともできない。

 絶対的な不公平に悲嘆暮れている俺に気づいたのか、

「ああ、これじゃあ駄目やんなぁ。でもこうすればええよ」

部長はそう言うと、手を自分の服に突っ込んで俺の手を取って胸の前に導いた。胸の谷間の中心で指先が強く握られると、そこで何かが外れる感覚がして、遮蔽物が取り除かれた。

「これも経験やなぁ。ボインボインじゃないけど、参考にしてやぁ」

 部長に言われるまでもなく、俺は後学のために胸を触りまくった。柔らかい。凄い。はは、面白れぇ。女の乳首ってこんな大きくなるんだ。硬いし。摘むと部長の脚が震えて腰を締め付けるようにしてくる。部長はもう俺の胸に手をついて、下唇を噛んで赤い顔で俯いてしまって
なすがままだ。ますます面白い。

 そうこうしていると、部長の腰が前後に微妙に動き出した。さっきまで下を向いていたのに、今は天井を仰いで大きく口を開けて絶え絶えに喘いでいる。

「どうしたんですか?」

「なぁ、オナミさん。もうこれちょうだい。うちこれ欲しゅうて我慢できへんわぁ」

「え?何が欲しいんですか?」

 俺は部長にあげられるものに心当たりがなかった。

「これぇ。オナミさんのおちんちんちょうだいよ。なぁ、ええやろぉ」

 部長は切羽詰まった顔で言うと、俺の返事も待たずにベルトを外してズボンを下げた。わ、俺ガチガチや。

「オナミさん凄いなぁ。もう波動砲とか撃てそうやんかぁ」

 目の焦点の合っていない部長が大きく口を開けていた。チュッパチャプスの気持ちがちょっとわかる。

 最初はゆっくり、徐々に早く。最後はヘドバン並みに。部長がガンガンに頭を振るので、今度は俺が大口を開けて喘ぐ番になった。うまく息ができない。でも気持ちいい。なんかもう目がチカチカしてきた。

 部長が口を離す頃には飛び散った唾液で腹の辺りまで濡れていた。俺はちょっと虚脱気味だったが、きちんとお礼しなきゃ部長に失礼だと気を取り直して上体を起こした。その拍子に部長は押されて後ろに反るような体勢になった。スカートが捲りれて、部長の脚の付け根が露わになっている。布が濡れて張り付いている部分までしっかり見えた。

 俺はプリミティブな衝動に突き動かされ、そこに顔を近づけた。パンツに手をかけると、部長は腰を浮かせて協力してくれて簡単に脱がすことができた。布と肌の間に粘液の橋ができて、ちょっと酸っぱい匂いが鼻に届く。もう色々刺激的すぎてよくわからん。

 一心不乱に舐めると、後から後からあんまり美味しいとは言えない粘液がでてきた。しかしそれを口に入れたとたん、快感と満足感が脳に直接響いてきて自分で止めることができない。最後の方にはもはや舐めると言うよりもすすり込むといった感じで、部長の腰を持ち上げて口を押しつけていた。

 顎がガクガクする。見つめ合う俺も部長も無言で無表情だった。顔が上手く動かない。そして俺は誰に教わったわけでもないのに部長に乗り上げるようにして腰と腰を押し当てた。部長が手を添えて誘導してくれる。お互いの唾液で濡れた部分が吸い付いた。

「あ、ん、はぁ。あ、はぁ」

 ごめん。これ俺の声な。声出ちゃった。部長の中はニュルっと言うか、ズルッと言うか、擬音にし難い感触だった。ドンドンぶつかって、そのうちくっついてしまうのでないかと不安になるくらい腰を振った。体もだんだん前のめりになって顔も近づくので、もう残ってなんかい
ないのにチョコレートを交換した。

 そのうち心に余裕も出てきて、動きながら部長の体を触ることもできるようになってきた。部長も同じようで、また動いている俺の胸を引っ掻いたりしている。俺もそれに倣って指先で部長の乳首を挟んで胸を握りしめた。すると突然部長がカッと目を見開いて、

「っ、あっ、か、はっ」

と声だか、息だかわからない反応をしたかと思うと、脚を背中に絡みつけて俺を物凄い力で引き寄せてきた。同時に部長の中が握りしめるように絞まる。右手とは比べ物にならない。右手で握るって場合は結局自分の手だから最終的に硬い部分があるわけだけれども、部長は密度の高い柔らかい物で包んでそれがぎゅうと絡みついてくる感じだ。
 俺は当然耐えられなくて腰の中身が空っぽになるかと思うほど射精した。ホワイトアウトするどころか、目を開けているのも苦しくて、徹夜明けに朝日を急に見た時のように目を硬くつぶって俯いたまま部長の上に倒れ込んだ。

 部長が俺の頭を撫でながら、耳元で囁いた。

「最後のは二人とも気持ちよかったからおあいこやねぇ」



 次の日の部室。空気が重い。重すぎる。

 部長のせいではない。部長はコートを脱ぎもしないで、フードを深く被ってうたた寝している。顔が隠れているのでスターウォーズとかの予言者みたいだ。

 それもこれもキラのせいだ。メガネさんが学内を案内してくれるというので、売店での買い物ついでに散歩していたら、他の女と腕を組んで歩いているキラと鉢合わせになったのだ。割り込むチャンスだなんて言っている状況じゃない。声をかけるのもはばかられるくらいメガネ
さんは落ち込んでしまった。メガネさんは俺や他の部員に気を使って、部室に戻るまでは気丈に振る舞っていたけれども、椅子に座ってしまうともう駄目だった。泣き出さないのが不思議なくらいだ。

「チョコレート食べますか?」

「ありがとう」

 俺は何とかメガネさんを元気づけたくて、ポケットに入っていたチョコレートを一欠片割ってメガネさんに渡した。だけれどメガネさんは口に入れはしたが、また黙って下を向いてしまった。子供じゃあるまいし、菓子の一つ二つで元気になるはずがない。馬鹿なことをしたもの
だ。

 メガネさんの携帯の着信音が鳴る。メガネさんは緩慢な動きで携帯を手に取ると、急に慌てて部室の外に出た。

「うん。わかった。三号館の屋上だね。うん。行く」

 レオパレスばりの薄い壁で会話なんて筒抜けだ。

 落胆。安心。激怒。様々な感情が俺の前で渦巻いていた。

「馬鹿やなぁ。オナミさん」

 俯いたままの部長が声を出した。真っ暗なフードの奥から吹き出すような声。

「何でも願いの叶うチョコレートやって言ったやろ」

 俺は立ち上がり、残りのチョコレートを一気に囓った。

「それでこそ男の子や。ええことやねぇ」

 体が奥底から突き上げられる感覚がして、視界が血の色に染まり、物が歪んでいく。脳が真夏のチョコレートのように溶ける。とうとう何も見えなくなってしまった時、部長の声が遠くから聞こえてきた。

「三号館の屋上はトイレに行くところの外階段を上っていったらええよ。無敵の宇宙海賊オナミはキラ警部になんて負けへんもんなぁ。ボインボインは君のものやで」

 俺は弾けるように部室を飛び出した。部屋の前でシンジが、

「第三艦橋の波動砲。とっくの昔に準備完了だぜ!」

と声を張り上げた。



 目が見えなくても屋上までの道のりが全部手に取るようにわかった。さすが天王星の技術力だ。ジャンク品でもレーダーの精度は軍の物にも劣らない。

 屋上に着くとメガネさんは独りで寂しげにしていた。まだキラの影はそこにない。

「メガネさん!」

「あ、オナミ君。どうしたの?」

 メガネさんの目の前まで走り寄り、

「好きです!」

と叫んだ。他に言うべき言葉が見つからなかった。これしか言葉を持っていなかったのだ。

「え?」

 戸惑うメガネさんを前にして、説き伏せるように言葉を繰り返した。

「好きです。初めて会った時からです。俺は絶対にあなたを裏切ったりしません。キラのようにあなたを苦しめたりしない!」

「オナミ君」

 もはや我慢できずにメガネさんを抱きしめた。メガネさんの瞳が潤んでいるのがわかる。メガネさんの両手がそっと俺の背中に触った。

 唇から甘いチョコレートの匂いがする。俺は目を閉じたメガネさんを更に力を込めて抱きしめると、その唇を貪った。

 お互いの唇を吸いながら、俺たちは体をまさぐり合った。世界は俺たちだけしかいなかった。屋上を吹く風も構わずに服を脱がせ、脱がされた。ブラジャーも経験が役立って簡単に外せた。フロントホック流行ってんのか?

「オナミ君なんか慣れてる」

 俺は曖昧に笑って、誤魔化すようにメガネさんの胸を揉んだ。でかい。びっくり。手に収まらないってなんか意味もなく幸せな気分になる。

 舌を舐め合っていた口を、唾液を舐め広げるようにして首筋へ移し、更に下へ移動していった。

「痕残して」

 乳に吸い付いた俺の頭を撫でながら、メガネさんが言った。俺は胸の谷間に頭を挟み、肌を唇で噛みながら力一杯吸った。あまりに吸う力が強すぎて口の中で血がにじみ、口内に鉄の味が広がった。後頭部を押さえられ、顔が谷間に押しつけられる。口を離すと赤黒い菱形の刻印がそこにあった。俺の印。メガネさんが俺の物である印。

「オナミ君、入れよ」

 メガネさんは俺の股間に手を伸ばしていった。微かに触れるだけでどうにかなってしまいそうだ。気分的にはどうにかなってしまいたかったが、その先にある更なる快楽を期待して気持ちをそこをぐっと抑えて、

「はい」

と答え、メガネさんの太腿を割り、その間に体を割り込ませた。

 メガネさんは尻に滴が垂れるほど濡れていた。その光景を見るだけで歓喜のため息が自然と漏れてしまった。メガネさんの少し恥ずかしそうな顔を見ながら体を徐々に進めていく。体が一点だけ触れあった。

 その瞬間、屋上の鉄の扉が開く音が周囲に響き渡った。振り返ると怒りに震えるキラがいた。

「オナミ。お前、人の女になにしてんだ」

「旦那。メガネさんはもうあんたの女じゃねぇんだよ。残念ながらな。もう俺の女になったんだ。わかったら二人の時間を邪魔しないで帰って貰いたいね」

「横から出てきて何言ってやがる、この犯罪者が」

「へ、負け犬の遠吠えはみっともないからやめときな」

「お前のことは前から気に入らなかったんだよ。逮捕して裁判なんてめんどくせぇ。俺が今ここで死刑にしてやるよ」

 キラが背中からロケット砲を取り出して構えた。火星製の最新モデルだ。下手をするとそれ一個で戦艦とも戦える性能の一品である。だが、それと向かい合っても俺の心はまったく平静だった。力が、精神が全身に漲っているのを感じる。

「そんなもんじゃ俺には勝てねぇよ。いつまで経ってもな」

「うるせぇ。死ねぇ」

 ロケット砲が俺に向かって発射される。弾が炎を吹き上げ、屋上の床面を削り取りながら向かってくるのがゆっくりとわかる。俺はニヤリと笑って、哀れな負け犬に向かって衛星を吹き飛ばす威力の波動砲を撃ち込んだのだった。 

           作・F

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