利己的タンパク質検証Wiki その日も、いつもと同じ青い空 検証


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その日も、いつもと同じ青い空………………ラレ作品:ク/ロノ/ス・ジョ/ウンターの伝/説(小説)

※原作は時間遡行装置、ク/ロノ/ス・ジョ/ウンター(以下CJと略す)にまつわる短編オムニバス。
 その内、piroko氏が教えてネットで紹介されたという「鈴/谷/樹/里の軌跡」がネタ元になっている。

参考リンク:不治の病を治す話より
piroko氏
不治の病を治す話(SF・ファンタジー等)
小説、漫画、アニメ、映画などのフィクションで、不治の病に罹った人間を治した
(または治しそうな引きで終わる)話を探しています。
例で言えばブラック・ジャックで未来の技術に託すコールド・スリープなんかがあると思います。
他に思いつくのは、例えば自分自身が医者になってその病を研究するとか…、
未来にタイムスリップして医学を学んでくるとか…
本のタイトルと、どうやって治すのかを教えて頂ければ幸いです。
変な質問ですみません。
回答者
>未来にタイムスリップして医学を学んでくるとか…

梶尾慎治 「クロノ/スジョウ/ンターの/伝説」の最終話。
まさにこのパターンです。泣けます。
映画「この胸いっぱいの愛を」の原作ですが映画にはこのストーリーは含まれていません。

piroko氏
ありがとうございます。
そう!こういうお話を探していました。
上記の本、早速Amazonで注文しまして、明日届くようです。楽しみです♪
ありがとうございました。

補足で失礼します。
上記で紹介して頂いた本を読みました。
「鈴谷/樹里の軌/跡」、号泣しました…!こういうお話が読みたかったんです。
ご紹介、本当にありがとうございました。
お陰様で久しぶりにいい作品に出逢えることが出来ました。

※この作品は単行本・文庫版で何度かリニューアルして発行され、収録作品が若干異なっている。
検証では2003年発行の文庫本を底本とした。
原作は文庫本で100ページほど、栄養本はA5サイズで72ページ(表紙込)の短編。


概要

主人公・鈴/谷/樹/里(以下、女)には子供の頃憧れを抱いた青年(以下、男)がいた。
不治の病を抱える彼と当時はなすすべもなく別れるが
それから19年後、特効薬の開発とタイムマシン・CJの存在で男を救う条件が揃った。
だがCJで過去に止まれる期間は三日間。その後は現在よりはるか未来へ弾き飛ばされてしまう。
二度と現在の時間軸に戻れない代償を覚悟の上で、男を救うため女は過去へ飛ぶ。
ストーリー上時間軸は過去(1980)→現在(1999)→過去(1980)→未来(2035)と展開

栄養本で女=吉良、男=明日欄に置き換えるとほぼ同じ

(1)過去~不治の病に冒された青年

◎原作
1980年・女は11歳の時小児性結核で入院。同じ病院の入院患者だった男(27,8歳)と出会い、
本好きの自分に様々な童話を話して聞かせてくれた彼を慕うようになる。
やがてネタが尽きると、男は制作中だという自作の童話「足/す/く/み/谷の巫/女」を披露する。
彼は退院後この作品を完成させ、プロの童話作家になることを夢見ていた。

ある日、美しい女性が男のもとを訪ね、深刻な話をしているのを立ち聞きしてしまう。
女性に嫉妬に近い感情をおぼえるが、彼女は男の元婚約者で別れ話をしていたのだった。
難しい病気な上、将来が不安定な夢を追いかけているからしょうがないと、男は自嘲的に話す。
また男は「君を見ているとた/ん/ぽ/ぽ/娘を思い出すよ」と語りだす。
それは女と同じ名前(ジュリー)を持つ主人公の少女が、タイムトラベルするSF小説だった。
だが語りの途中で容態が急変し、女は看護婦を呼ぶ。

翌日になっても男は姿を見せなかったので、女は彼の病室を探しに行く。
そこで医師たちの「チャ/ナ症候群の末期なんです」という言葉を耳にする。
入室しようとするが、中にいた若い女医(主人公は看護婦だと思っている)に阻まれ望みは叶わなかった。
翌日、女医は男が亡くなったことを告げ「た/ん/ぽ/ぽ/娘」の文庫本を女に渡す。
突然の別れに女はただ泣き続けた。


◎栄養本
年代は明記していないが現代?(後の文に「インターネットもそう普及していない」時代とある)
吉良は10歳。事故で骨折し入院中、病院の屋上で明日欄(20歳)と出会った。
二人はよき話し相手となり、吉良は学校の友達のこと、
明日は勉強ばかりしていた自分の少年時代などについて話す。
明日は玩具技師になるのが夢で、跳んで喋るボール型のペットロボを作ったことがあるが
商品化までには至らなかった。
吉良に欲しいおもちゃはないかと尋ね、鳥ぃ(描写は種ドラマCDのような感じ)を作ることを約束する。

ある日、ピンク髪の美しい女性が明日を訪ねて来、それを目撃した吉良は嫉妬に近い感情をおぼえる。
だが明日は彼女を「親が決めた元婚約者で、最後まで互いに恋愛感情はなかった」という。
寂しげな表情の明日は吉良の額にキスをし、鳥ぃを必ず作ると繰り返す。
それが二人が交わした最後の会話だった。

その後、明日は屋上に姿を見せなくなる。
看護士に聞いてみると、「エレン・ドル症候群」という難病で面会謝絶状態だという。
その日の夜、胸騒ぎを覚えた吉良は明日欄の病室を探し出すが
部屋の前で青年医師に制止され、彼が死んだことを告げられる。
青年医師は一目だけでも明日に会いたいという願いを頑なに拒否、吉良はその場に泣き崩れた。




共通点
  • 幼い主人公は難病を患っている青年に出会い憧れを抱く
  • 男=明日欄の夢:童話作家=玩具技師
  • 約束のアイテム:「足/す/く/み/谷の/巫/女」=鳥ぃ
 もう一つキーアイテムとして原作には「た/ん/ぽ/ぽ/娘」があるが、栄養本はこれに相当するものはなし。
  • 男は病気が原因で婚約者と別れる、嫉妬をおぼえる主人公
  • ネタバレになるが病室の前で女=吉良を制止した医師は、未来の自分の姿


(2)現在~特効薬の発見

◎原作
19年後の1999年、30歳の女はかつて男と出会った病院に勤務する医師になっていた。
男の命を奪った病気について調べているうちに、結果として医学の道へ進むことになったのだった。
化粧っけもなく女らしさを放棄した外見にも拘らず、
美しく成長していた女は異性からよく交際を申し込まれる。
だがある種トラウマなほど男を思い続けていたため付き合いは続かなかった。

その日、女はチャ/ナ症候群の少女を患者に抱えていた。
いまだ有効な治療法がなく、少女の容態は悪化するばかりだった。
そこへ病院に出入りしている製薬会社のプロパーが、ある研究所のレポートを持ってくる。
女が赴任した頃頼んでいた、チャ/ナ症候群の治療薬に関するものだった。
さらに臨床データと引き換えにアンプルを提供するという。
認可前の薬であることを家族に説明した上で使用すると、劇的な効果を示し患者は快方へ向かう。

女は病気の完治に気分が高揚していたこともあり、
同僚医師から強く勧められていた見合い話を受けることなった。
だがあの時、この薬があれば男を救えたはずだという考えが頭を離れなかった。


◎栄養本
退院した吉良は少年時代の明日を真似てひたすら勉強に打ち込んだ。
最初は明日と同じ玩具技師を目指していたが
手先が不器用な彼には無理だとわかり、いつしか医学の道を志す。
学校をすべて飛び級で卒業し、10年後には20歳の天才医師となっていた。
それまで同性異性問わずよく告白されるが、明日のことが忘れられずにずっと一人身で通した。

ある日、明日の命を奪ったエレン・ドル症候群の情報を求めていつものように
ネット検索していると論文が見つかった。
ある抗がん剤が患者に劇的な効果を示したというのだ。
吉良は早速秘書の明倫にチケットを手配させ、論文の著者がいる研究所を訪ねることにした。

研究所で薬に関する情報を提供してもらうと
患者は癌を併発していたので亡くなったが、エレン・ドル症候群は完治していたという。
吉良は自分も同じの病気の患者を抱えていると嘘をつきアンプルを譲ってもらった。
続いて患者が入院していた病院へ行き、担当医師から使用方法と副作用を聞き出す。
収穫を得て吉良はシャトルで帰途に着く。




共通点
  • 主人公は医師になる
  • 主人公はもてるが一人の男をずっと心で思い続けている(恋愛物にありがち)
  • 探し求めていた治療方法の発見

原作でプロパーは過去と現在をつなぐ重要な存在だが、栄養本に相当する人物はなく
吉良が独力で治療薬と情報を手に入れている。
女の勤務場所は過去に自分が入院していた病院だが、吉良は全く違う病院。

私見。
大筋は同じだが、細部は色々手を入れて変えてある感じ
この後の展開ではっきりしますが原作は様々な要素で過去と現在が幾重にもリンクしている(さすがプロの技)
栄養本では個々の要素のつながりが薄く、ぶつ切りな印象です。
病気と治療薬は細部でもかなり類似点がみられる。詳しい比較は↓


(3)病気と特効薬比較

◎原作
病名はチャ/ナ症候群
レトロウイルスによる特殊な肝炎。
飲料水に混じって体内に侵入する、ある意味風土病
抗生物質で病状を緩和するのが精一杯で、根本的な治療法はなく患者は徐々に衰弱

治療薬はシュワルナゼリン-200
フェイズ3(人体への投与で効果が認められた)をクリアし
海外では抗癌剤の補助薬品としてすでに製品化されているが、厚生省の認可は受けていない

「エーリッヒ腹水癌、乳癌などに効果が認められるケースがある」
「―─特筆すべきは、一部地域で風土病とされているチャナ症候群に
驚異的効果を発揮することであろう──」

「抗癌性としては今いちだし、チャナ症候群って病気も少ない。
需要としてどうかってことなんスよ。
ただ、鈴谷先生が関心を持っていらした病気だから……」

副作用として高熱、難聴になった例がある
使用方法は筋肉注射を16時間ごとに3回


◎栄養本
病名はエレン・ドル症候群、発見した女性医師の名前から
100万人に一人といわれる発症率の伴性遺伝病
発熱・関節炎・咽頭病など炎症性疾患
抗生物質による治療が主で、画期的な方法はなかった

治療薬はβ-レイチルマイシン
フェイズ2(少数の患者を対象とした探索的試験)までクリアしたが
抗癌剤として開発したが効果が不十分で、商品化までには至らなかった

―─エレン・ドル症候群の患者に投与したところ、画期的な効果が見られたため、
今後この疾患に関して特効薬となる可能性がある。
しかしながら同症候群の患者は非常に稀であるため、需要の関係からこの症候群の
薬として当社で商品とするのは難しい…

副作用は一時的な発熱と難聴
使用方法は筋肉注射を一日に一度、計3回




共通点
  • 治療薬は抗癌剤として開発されたが効果は今ひとつ
  • 男が患っていた難病の特効薬になりうる
  • しかし病気自体が珍しいため、商品価値は薄い
  • 使用法、副作用も似ている
  • どちらも架空の病気である(栄養本はあとがきに記述あり)

この他、原作ではアマゾンの密林に生息する特殊なカビが薬の原料だと説明あり


(4)現在~タイムマシン

◎原作
お見合いの相手は個人病院、N医院の跡取息子。
同僚Y医師の先輩にあたるN医師が経営していたが息子は医学の道に進まなかったため、
女医を嫁にもらって後を継いで欲しいらしい。
詳しい事情を知って後悔する女だが、エンジニアだという相手のN氏も結婚する気はなく、
身内の顔を立てるためにきたのだといった。
二人は世間話に花を咲かせ、話題が自分の仕事に及ぶと
N氏は自社で開発中止になったというタイムマシンの件で口を滑らせる。
さらに女は詳しい性能やデメリット、実際に過去に飛んだ人間がいることを聞き出し、
男の命を救うにはこれしかないと信じた。
(最大二十年前に遡れ、過去に三日間滞在できる)

※CJの原理については他の短編ですでに触れている。
そちらのほうが栄養本に近いので、以下比較のため抜粋

「時間流を遡るという自体行為が、自然の法則に逆らう許されないことなのかもしれない。
だから……何と言えばいいのか……時の神(クロノス)、時の法則を管理する神の……
摂理といったものが、万物の調和を果たすために、過去に遡った存在をその性質に応じて
未来へ押し戻すんじゃないのかな」
和彦は、藤川の言うことにも一理あるような気がした。
過去へ跳ぶ状態というのは、ちょうど、腰にコイル状のバネを装着して
遠くへジャンプするようなものではないかと連想した。
一端を固定したバネが伸び切った状態で着地する。そのバネは徐々に引く力を強めていく。
その力が跳んだ人のとどまる力を超えたときに、後方へ身体を引き戻す。そんなものではないか。

      「吹/原/和/彦の軌跡」より

「天文学でいうワームホールという穴があります。これは、一般性相対理論で、
超高密度物体が時空をくねくねとカーブして、空間の二つの区域をつないだトンネルの
ようなものです。このワームホールの一方の入り口を重力的電気的に引っ張り、
光速近くまで加速した後、速度を加える方向を逆転させ、元に戻します。
すると、アインシュタインの特殊相対性理論により、行って戻った入り口のほうでは、
静止していたもう一方の入り口より時間が経過しないことになる。
だから、静止した入り口から、もう一方の入り口に移れば過去に行けるという
基礎理論が生まれます。それを発展させたのが時間軸圧縮理論です。
それでCJという物質過去射出機が製造され、私がやって来た……」

      「布/川/輝/良の軌跡」より

女は正直に事情を話し、人助けのためにCJを使わせて欲しいと懇願する。
N氏は社外秘と、タイムパラドックスの危険性を盾に頑として拒否するが
終いには「マスコミに公表する」と半ば脅迫めいた手段で説得、
ついにCJ使用の承諾を取り付けた。
N氏は未来へ飛ばされた後、自分のところを訪ねてくれば力になると約束してくれた。
海外へ留学するといって病院をやめ、身辺整理を済ませた後
N氏らと共にCJが保管されている倉庫へ赴き過去へ跳ぶ。


◎栄養本
吉良はアプリリウス帰りのシャトルで新と出会う。
彼は時間遡行を研究しているギル教授の下で学ぶ学生だった。
二人はタイムマシンの話をして意気投合し、新が研究室を見に来るようにとすすめる。
後日、教授の家を訪ねた吉良は実物を目にし、タイムマシンの原理について説明を受けた。

「なら、噛み砕いて説明しよう。この機械は文字通り時間の流れをねじ曲げる機械だよ」
「ねじ曲げる……」
教授は脇にあった机の中から一本の紐を取り出した。
「時間を一本の紐としよう。例えば十年前に戻りたいとする。
その場合、紐の上では遠い筈の現在と十年前の時間をね、こうやって」
教授が紐の二ヶ所をつまんだ。その二つをくっつける。
「結んでしまえばいい。単純に、これだけだ」
「……宇宙空間でワームホールを利用して、ワープするようなものですか?」
吉良の問いに、教授は深く頷いた。
「その通り。君は賢いな。説明が省けて助かる」
「でも、……そんなに無理矢理時間を繋げてしまって、平気なんですか?」
論理はよくわからないが。空間をねじ曲げるなど並大抵のことではない。
吉良がそう言うと、後ろで聞いていた新が頷いた。
「うん、そう。だからリバウンドがあるんだ」
シャトルの中でも新はそう言っていたなと思う。教授もゆっくりと首肯した。
「君が過去に戻ったとして、過去にいられるのは三日程度だろう。
だがその後、君はその時間軸から弾き飛ばされる」
「……弾き……?」
「そうだ。我々はこれをリバウンドと呼ぶ。時間軸はバネのようなものと考えてくれればいい。
反動があるんだ。……例えば君が十年前に戻った場合、君はその三~四倍未来に飛ばされる。
つまり、現在よりも三十年から四十年後に、飛ばされる」

人間での実証例は教授が自ら試した一度だけだという。
それでも吉良は初恋の人を助けたいと事情を打ち明け、10年前に送って欲しいと頼む。
新は過去から戻ったら自分の家を訪ねるようにといい、教授も渋々承諾した。
発展途上国の子供達を助けたいと嘘をついて病院を辞め、身辺整理を済ませた吉良は過去へ。




共通点
  • 過去へ戻った反動で未来へ飛ばされるタイムマシン←この作品で最大のポイント
  • 過去から戻ったらうちへ来いと言う協力者
  • 身辺整理の仕方
 原作の女は母が失踪、父と不仲。弟にだけ事情を話した。吉良は事故で両親をなくしている
 両者ともに家族の縁が薄く身軽な点でタイムトラベルに有利な環境にある

※N氏はCJに関わる技術者として、別の短編にも登場している。


(5)過去~再会

◎原作
過去に到着した女は白衣を着て病院の裏口から侵入し、男の病室へ。
「あなたを助けに来ました」と突然現れた女医に驚く男だが、
これ以上悪くなることはないと思い彼女の治療に賭けてみることにした。

口裏を合わせ、自分は男の親戚でアメリカの研究所からN医院の紹介で来たと
当時担当医だった19年後の同僚・Y医師に説明し、治療の許可を取り付けた。
こうして一回目の注射は無事終了し、副作用で男は熱を出す。

また女は病院に出入りし始めたばかりの製薬会社プロパーと出会う。
彼は売り込みが上手くいかず困っていた。
もし彼がこのまま営業に失敗したら、タイムパラドックスが起こり
19年後自分は特効薬を入手できなくなるのでは?と危惧し、
Y医師の先輩が経営するN医院に紹介状を書いてもらうようアドバイスする。


◎栄養本
過去に着いた吉良は明日の病室へ。
茂・クラインの紹介で海外の研究所から特効薬を持って来たと明日に説明する。
一度目の注射が終わると明日は吉良に「傍にいて欲しい」といい、
この病院で出来た幼い友人と交わした約束について語った。
その時、回診の医師が病室にやって来て明日は吉良にベッドの下に隠れるよう指示した。

やがて薬の副作用で明日は一時的な難聴と発熱に見舞われた。
耳が聞こえない状態の明日の手を握って吉良は愛の告白をし、
完全に意思は疎通しないながらも二人はキスを交わす。




栄養本は原作の同僚医師やプロパーの存在を削っているため
吉良は明日以外、過去の人間とは接点がない。


(6)過去~告白

◎原作
女は、一人の少女が男の病室に入ろうとしているのを目撃。
それが過去の自分だと気付き、タイムパラドックスを防ぐために押し止める→(1)にあるシーン
その後熱が下がり快方に向かっている男と話した。
「先生はとてもなつかしい感じがする。とても素直になれて、落ち着く。退院したらお礼がしたい」
男の言葉に女はいっそ事実を話してしまいたい衝動に駆られる。

二度目の注射が終わり、女は体調がよくなった男と話す。
ふとしたことから11歳の自分が話題に上るが
「ジュリを紹介しますよ」との言葉に「あの子に二度と会わないで!」と叫んでしまう。
男は女の意外な反応に驚き、「あなたはいったい何者なんです」と問いただす。
女は覚悟を決め、た/んぽ/ぽ娘の一節を口にして正体を明かし、泣きながらすべてを打ち明けた。
男は自分を救うため医師になって未来から来てくれた女に感動し、老人になるまで
結婚しないで君の帰りを待つという。
女は自分のことはいいから「足/す/く/み/谷/の/巫/女」を完成させると約束してほしいと言った。

やがてタイムリミットが近づくと時間流が女を引き込み、苦しめる。
だが治療の時間が来るまで意志の力でなんとか耐え続けた。
Y医師が「N医師はあなたのことなど知らないそうだ」といって病室に飛び込んでくるが
最後の注射を終えた瞬間、女は未来へ飛ばされた。


◎栄養本
明日は吉良の存在を病院側へ隠すことに協力してくれた。
なぜ何も訊かずに自分を信じてくれるのだろうと不思議に思う吉良。
やがて二度目の注射が終わり二人は色々な話をした。
明日は今まで恋をしたことがないと言い、吉良は今恋をしているのかと訊く。
吉良は真実を話すことができず、もどかしい思いを抱える。

明日が幼い吉良に約束した鳥ぃの設計図はすでに完成し、後は組み立てるだけになっていた。
吉良は「あの子に10年間は鳥ぃをあげないで」と懇願する。
明日は「お前が好きだから信じるよ。
病室に入ってきた時、一目であの吉良だとわかって恋に落ちた」という。
両思いになったのも束の間、吉良はこの時間軸にあと一日しかいられない事情を説明する。
明日はならばせめて今だけでも、と吉良の身体を求め二人は結ばれた。
(ここで10ページほど濡れ場が続く)

最後の注射を終えると吉良は時間に引き込まれる。
「僕のことは忘れて他の誰かと幸せになると約束して」
「俺はお前を忘れない」二人は最後の言葉を交わし、吉良は未来へ飛ばされた。



共通点
  • タイムパラドックスを防ぐため過去の自分に会わない様にと言う
  • 正体を明かし、約束を交わす

原作で男は引っ掛かりを感じながらも自力で女の正体にたどり着けなかったが、
栄養本では明日は最初から吉良の正体に気付いていた(なんてエスパー・・


(7)未来~時を超えた恋人

◎原作
目が覚めるとそこは2035年のN医院。
老人になったN氏とその妻がいて「道で倒れているのを発見されうちに運ばれた」という。
本棚には男名義で出版された童話本が並び、彼が約束どおり夢をかなえたとわかる。
男はデビュー前にここを訪ねてきてN氏にすべて事情を話していた。
女が過去から戻り意識を取り戻したら連絡する手はずになっていると聞き、
とりあえず男がまだ生きていることに女は安堵する。
やがて男が現れるが、とうに80を過ぎているはずの彼は30代の姿。驚く女に

「どうしてだと思う?
樹里が未来へ跳ばされた後、ぼくの身にも同じ現象が起こったんだ。
でもついたのは2028年だった。
それで樹里から聞いていたN医院を訪ねたんだ。まだ、樹里は帰っていなかった。
Nさんが教えてくれた。
どうも体内に入った未来の薬品が、ぼくの肉体を伴って過去から引き戻されたらしい。
でも、跳ばされた年数はNさんの計算より少し先だ。
それから、約束どおり執筆を再開した。
ラッキーにも処女作で賞をもらって、もう十数冊出版した」

男は女に完成した「足/す/く/み/谷/の/巫/女」を手渡して言う。
「この本を君に一番最初に読んでもらいたかった。これからはずっと一緒にいよう」
二人は抱き合い、ハッピーエンド。


◎栄養本
目が覚めるとギルの研究所。
部屋の中は機械類でいっぱいで、球体のペットロボが跳ね回り吉良に話し掛ける。
そこには新の孫だという少年と車椅子の教授がいて、
「現在」から41年が経過したが、明日はまだ生きていると教えてくれた。
ペットロボは吉良の名を呼んだので、これは明日が作ったものに違いないと確信し
涙を押さえきれずに一人になるため屋上へ行く。

屋上に出ると、明日との約束の品だった鳥型ロボットが吉良の指に止まる。
そして後から呼ぶ声に振り向くと、そこには二十歳のままの明日がいた。
驚く吉良に明日は経緯を説明する。

「吉良が跳んだ少し後、……俺も跳んだんだ。あれから十年後に」
「……え?」
吉良は顔を上げた。よく意味がわからない。
吉良が跳んだのはタイムトリップのリバウンドのためだ。
明日欄はあの時代に生きていただけなのに……
「未来の薬が入っただろ、……俺の中に」
「……あ」
「あの薬は過去にはない薬だったからかな。
あの薬が作られた時代に、多分無理矢理跳ばされたんだと、……思う」
だが、それでも明日欄は今二十歳でいることはできない。
あの時代から更に四十一年が経っているのだ。
「それから、探したんだ。吉良が使ったタイムマシンを。
……お前が言った新って言う名前だけを頼りに、彼を何とか探し出して、
問い詰めて、そして俺もギル教授の研究室に行って、……もう一度十年前に跳んだ」

二人は愛を確かめあってキスを交わし、ハッピーエンド。




共通点
  • 気がつくと協力者の家
  • 男が約束のアイテムを完成させる
  • 薬の影響で、男も未来へ引き摺られる
  • 二人は若い姿のままで再会し、ハッピーエンド

原作→男はそのまま未来の世界に居付いて女を待つ
栄養本→明日は飛ばされた先でタイムマシンを探し出し、吉良を追って自分も過去へ飛ぶ
と異なっているが
タイムマシンの反動効果を利用して恋人が追いかけてくるラストは、原作の別の短編(布/川/輝/良の軌跡)と同じである。


(8)あとがきと教えてネット

あとがき抜粋
最近実はタイムトラベル物に凝っています。
もともと生化学が専攻なので、科学的な背景や設定を調べて書くのが好きなこともあり、
SF要素の混じっている話は書きやすいのですが、
恋愛ってやっぱり障害があると燃えますよね。
時間ってその障害の一つとして書きやすいテーマなんです。
このお話も、とある時間旅行小説に影響されて書いたお話です。
プロットを始める前に、青い空にト/リ/ィが羽ばたくラストシーンがぱっと浮かんで、
それを目指して書きました。
ちなみにエレン・ドル症候群はpirokoが作った架空の病気ですので、あしからず。

原作にあたる作品の設定・ストーリー展開を丸々なぞっているにもかかわらず、
「SFやタイムトラベルものは書きやすい」???

また、吉良と明日欄を未来で再会させる方法について
↓教えてネットのこのあたりの質問から、原作と別の方法を模索していた形跡がみられる。
1000年後に恋人と再会するには?
様々な本を読んでいる方にお伺いします。
ある本を読んで、その話をハッピーエンドにするにはどうすればよいか疑問に思いました。

主人公の恋人がタイムトリップして1000年後に飛んでしまうとします。
主人公は諸事情でタイムトリップ出来ません。
でも、恋人に逢いたくてたまりません。
恋人に逢うにはどうすればいいと思いますか?

私が思いつく方法は、
・1000年間コールド・スリープする。
・宇宙にあがって光速に近い速度で移動する。

そのほかにどんな方法があるでしょうか?
奇抜な発想、様々なSF・ファンタジー本での設定など、教えて頂ければ幸いです。

未来へのタイムトラベルの方法
Wikipediaを見ますと、未来へのタイムトラベルの方法として、
光速に近い速度で移動することに  よるウラシマ効果や冷凍睡眠があると思います。
他に、どんな方法がありますでしょうか?
タイムトラベルは立派に物理学の学問として研究されていると思いますので、
お詳しい方でなくても何かご存知の方いらっしゃいましたらお教え下さいませ。

上記の質問が出されたのはpiroko氏が原作本を読了した直後。
結局、他にいい方法を思いつかなかったのか
原作そのままと別の短編のオチを組み合わせたラストに落ち着いたらしい。
(同人創作とは関係なく純粋に興味があったので質問した可能性もあるが)