作品別用語集 - トラック沖海戦(天海提督の決断)



■トラック沖海戦(天海提督の決断)


背景

 当時帝國海軍の南方作戦には不可欠な泊地であったトラック環礁を占領しようと米海軍が計5度トラック環礁を強襲した海戦。
 トラックの占領に米海軍が固執し、さらに戦力の逐次投入を行った結果、一時米軍の所有空母数が0になり、その後の大戦の趨勢に大きく関わる結果となった。

第1次トラック沖海戦


背景

 12月23日のマレー沖海戦に於いて帝國海軍は英国東洋艦隊を撃滅したものの、米海軍戦力は全くと言っていいほど減少していなかった。
 帝國海軍主力2個機動艦隊が蘭印作戦に従事している隙を突き、12月24日、空母『ホーネット』、『ワスプ』を基幹とする第8艦隊がトラックを空襲、トラック基地司令荻原雪歩少将は同地に駐留していた第5水雷艦隊、そして後詰めとしてサイパン基地より第4任務部隊を出撃させる。
 12月26日、嵐を突いて接近した第5水雷艦隊は米軍第8艦隊を捕捉、水雷戦に入った。


交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)

+ 日本軍
第5水雷艦隊(艦隊旗艦軽巡『五十鈴』 艦隊司令星井美希少将)
巡洋艦4(軽巡『五十鈴』『名取』『鬼怒』『長良』
駆逐艦20
輸送船30
+ 米国軍
第8艦隊(艦隊司令C・H・マックモリス少将)
空母2
巡洋艦3
駆逐艦26
輸送船31

損害

+ 日本軍
沈没
巡洋艦2(『鬼怒』『名取』)
駆逐艦2(『夕立』『有明』)
損傷(中破以上)
巡洋艦1(『五十鈴』)
駆逐艦2
+ 米国軍
沈没
空母1
巡洋艦2
駆逐艦4
輸送船5

戦闘経過

 戦闘開始直後、星井美希少将直卒の駆逐隊は避難のために分離転舵した『ホーネット』を捕捉、集中雷撃によって撃沈する。
 しかし、反撃に転じた米軍駆逐隊によって軽巡『鬼怒』『名取』駆逐艦『夕立』『有明』を撃沈され、艦隊旗艦『五十鈴』駆逐艦『五月雨』が大破する。
 これを受けて星井美希少将は撤退を決意。それを見て米軍駆逐隊は追撃戦に移行しようとするが、これまで戦闘に参加していなかった木村昌福少将指揮下の駆逐隊がこれを妨害、一斉射撃された魚雷群によって米軍駆逐隊は混乱し、第5水雷艦隊はその隙を突いて撤退に成功した。

第2次攻撃

 その後、午後になって井上成美中将率いる第4任務部隊が残存米国機動部隊を襲撃した。


交戦戦力

+ 日本軍
(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)
第4任務部隊(艦隊旗艦重巡『高雄』 艦隊司令井上成美中将)
巡洋艦6(重巡『愛宕』『高雄』軽巡『大井』『北上』『天竜』『龍田』)
駆逐艦10
輸送船16
+ 米国軍
第8艦隊(C・H・マックモリス少将)
空母1
巡洋艦1
駆逐艦22
輸送船26

損害

+ 日本軍
沈没
巡洋艦1(『天竜』)
駆逐艦2(『文月』『望月』)
+ 米国軍
沈没
空母1
巡洋艦1
駆逐艦3
損傷(中破以上)
駆逐艦2

戦闘経過

 襲撃が完全な奇襲となり、第8艦隊に残された空母『ワスプ』も撃沈される。
 しかし、反撃により軽巡『天竜』駆逐艦『文月』『望月』を失い第4任務部隊も撤退する。
 これを受けて手持ちの艦隊がいなくなったトラックでは緊張が走るが、残された駆逐艦19隻、輸送艦26隻のみの艦隊ではトラック占領は不可能と判断し米軍は撤退する事となる。

エピソード

 この時、第5水雷艦隊司令星井美希少将は『ホーネット』の分離転舵前に『ホーネット』が転舵する事、そしてその方向を読み切って雷撃好位に占位している。
 沈没、大破した軽巡は全て駆逐艦の一斉射撃によって被害を被っており、帝國海軍は空母護衛に強力な艦艇を配備する必要性、米軍駆逐艦、ひいては米海軍の精強さを教訓として学ぶ事となった。


第2次トラック沖海戦


背景

 1月29日~30日に発生したニューギニア近海海戦に於いて米海軍旧式戦艦4隻を含む艦隊がトラックよりスラバヤからパリクパパンへと移動する囮艦隊撃滅の為釣り出された第1機動艦隊偵察機に運悪く発見され、空撃、そして砲撃により殲滅される。
 その為に手薄になったトラックへと殴り込んで来た米軍機動艦隊を第5、第7水雷艦隊、トラック基地航空隊が迎撃した戦い。


交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)

+ 日本軍
第5水雷艦隊(艦隊旗艦重巡『高雄』 艦隊司令星井美希少将)
巡洋艦7(重巡『高雄』『愛宕』軽巡『大井』『北上』『五十鈴』『夕張』『長良』)
駆逐艦22
輸送船30

第7水雷艦隊(艦隊旗艦軽巡『球磨』 艦隊司令水瀬伊織少将)
巡洋艦3(軽巡『球磨』『多摩』『由良』)
駆逐艦11
輸送船16

トラック基地航空隊(荻原雪歩少将)
航空機86機
+ 米国軍
第10艦隊(艦隊司令N・スコット少将)
空母1
戦艦4
巡洋艦6
駆逐艦20
輸送船32

損害

+ 日本軍
損傷(中破以上)
第5水雷艦隊
巡洋艦1
駆逐艦2

第7水雷艦隊
巡洋艦1(『球磨』)

トラック基地航空隊
航空機4機損失
+ 米国軍
沈没
空母1
戦艦4
巡洋艦5
駆逐艦13
輸送船18
損傷(中破以上)
巡洋艦1

戦闘経過

 13時、最初に米軍艦隊と接触した第5水雷艦隊は空母『ヨークタウン』への集中雷撃を実施、『ヨークタウン』、巡洋艦3などを撃沈し、即座に撤退する。
 続けざまに14時、第7水雷艦隊が突入し、打ち漏らしの戦艦を叩き、戦果拡大を狙い、戦艦1隻を大破させるが反撃を受け艦隊旗艦『球磨』が大破、最大速力25ノットが限界となる。
 これを受けて第7水雷艦隊副司令三川中将が『球磨』救出のために魚雷を撃ち尽くした指揮下の駆逐隊を突っ込ませ囮となり、何とか『球磨』救出に成功する。
 この時点で戦艦4、巡洋艦2、駆逐艦8、輸送船16となった米軍第10艦隊を16時、荻原少将指揮のトラック基地航空隊第1次攻撃隊84機が空襲。
 第10艦隊の全戦艦が大破し、巡洋艦、駆逐艦各1が撃沈される。
 翌2月1日早朝、第2次攻撃隊82機が第10艦隊を再空襲、大破していた第10艦隊戦艦『アーカンソー』『テキサス』『ニューヨーク』『ニューメキシコ』の全艦、輸送船2隻が沈没する。
 この時点で第10艦隊は僅か8隻となり、空母、戦艦は全艦撃沈され、撤退を余儀なくされた。

エピソード

 第5水雷艦隊副司令の五藤在知少将指揮、第4駆逐隊司令の木村昌福少将指揮の各駆逐隊がまず米軍護衛艦への集中砲雷撃を実施したため、第1次トラック沖海戦のような被害を被る事は無かった。


第3次トラック沖海戦


背景

 クェゼリン基地偵察機がトラックへ2方向から向かう戦艦部隊と機動部隊をそれぞれ発見、戦艦部隊には第5水雷艦隊が、機動部隊にはトラック基地防衛強化のため転戦して来た第2機動部隊がそれぞれ当たる事となり、27日13時、第5水雷艦隊と米軍第艦隊との砲雷撃戦が、同刻第2機動艦隊と米軍第1艦隊との航空戦が開始された。


交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)

+ 日本軍
第2機動艦隊(艦隊旗艦戦艦『長門』 艦隊司令三浦あずさ中将)
航空機173機

第5水雷艦隊(艦隊旗艦重巡『高雄』 艦隊司令星井美希少将)
巡洋艦7(重巡『高雄』『愛宕』軽巡『大井』『北上』『五十鈴』『夕張』『長良』)
駆逐艦22
輸送船30
+ 米国軍
第1艦隊(艦隊司令N・スコット少将)
空母2
巡洋艦10
駆逐艦19
輸送船29

第6艦隊(艦隊司令T・C・キンケイド少将)
戦艦2
駆逐艦12
輸送船15

損害

+ 日本軍
沈没
輸送船1
損傷(中破以上)
第5水雷艦隊
巡洋艦2(『五十鈴』『夕張』)

第2機動艦隊
航空機2機損失
+ 米国軍
沈没
第1艦隊
巡洋艦3
駆逐艦3
輸送船2
第6艦隊
戦艦2
駆逐艦9
輸送船3
損傷(中破以上)
第1艦隊
空母1
駆逐艦1
第6艦隊
駆逐艦1
第1艦隊
航空機7機損失

戦闘経過

 戦闘開始直後第5水雷艦隊所属軽巡『五十鈴』『夕張』が大破し、第5水雷艦隊の戦力は半減する。
 しかし、そこから盛り返し、戦闘終了時には戦艦『ネバダ』『ペンシルバニア』駆逐艦9隻を撃沈する戦果を上げる。
 一方、第2機動艦隊も米軍第1艦隊を空襲するも、空撃範囲ギリギリの攻撃と言う事、攻撃機が少ない事から空母『サラトガ』の飛行甲板を破壊するものの、それ以外は巡洋艦3、駆逐艦3の比較的軽微な被害に留まる。
 しかし、第6艦隊壊滅の一報を受け第1艦隊は反転し、それ以上の戦闘は起こらなかった。


第4次トラック沖海戦


背景

 帝國海軍が豪州攻略作戦のための足場作りに専念していた3月22日、クェゼリン基地所属偵察機が米軍機動艦隊を発見し、第1機動艦隊、第7水雷艦隊が迎撃の為出撃する。
 3月24日早朝、第1機動艦隊は数十キロ先に米軍機動艦隊を発見、如月千早中将は司令部を『大和』に移し、空母を避難させての砲雷撃戦を挑もうとする。
 しかし、空母各艦司令部の独断により攻撃隊発艦を強行し、発艦終了と同時に敵機動艦隊を発見、砲雷撃戦に移行した。


交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)

+ 日本軍
第1機動艦隊(艦隊旗艦軽空母『瑞鳳』 艦隊司令如月千早中将)
空母6(正規空母『瑞鶴』『翔鶴』『飛龍』『蒼龍』軽空母『瑞鳳』『龍驤』)
戦艦5(戦艦『大和』『金剛』『榛名』『比叡』『霧島』)
巡洋艦8(重巡『熊野』『鈴谷』『最上』『三隈』)
駆逐艦5
輸送船24
航空隊326機
+ 米国軍
第5艦隊(C・W・ニミッツ大将)
空母1
戦艦1
巡洋艦8
駆逐艦22
輸送艦19
直掩機24機

損害

+ 日本軍
損傷(中破以上)
空母2(『瑞鶴』『翔鶴』)
戦艦3(『大和』『霧島』『榛名』)
駆逐艦1
航空隊6機損失
+ 米国軍
沈没
空母1
戦艦1
巡洋艦7
駆逐艦19
輸送船21
損傷(中破以上)
巡洋艦1
航空隊24機損失

戦闘経過

 敵戦艦との砲撃戦で5航戦空母『瑞鶴』『翔鶴』が中破、これを庇う為旗艦『大和』が戦艦『オクラホマ』と5航戦との間に割って入りながら空母『エンタープライズ』を砲撃し、金剛級4隻が『オクラホマ』や巡洋艦駆逐艦との砲撃戦を担当した。
 『エンタープライズ』を『大和』を始めとする砲撃が撃沈すると同時に『オクラホマ』を撃沈した各航空戦隊攻撃機が砲撃戦で大なり小なり被害を受けていた敵艦に殺到。
 その過半が撃沈され、『オクラホマ』より脱出に成功した第5艦隊司令長官ニミッツ大将は戦場よりの離脱を下令し、戦闘は終了した。



第5次トラック沖海戦


背景

 第4次トラック沖海戦終結後、さらなる米機動艦隊強襲を警戒してクェゼリン沖を哨戒していた第2機動艦隊が米機動艦隊を発見、そのまま砲雷撃戦に突入した海戦。
 この海戦に於いて空母『レキシントン』の砲撃が『長門』に直撃し、一時的にとは言え司令部能力が完全麻痺すると言う世にも珍しい事態が起こっている。


交戦戦力(日本軍の沈没艦は駆逐艦を含めた戦闘艦艇全てを、それ以外の日本軍艦艇は巡洋艦以上を表示)

+ 日本軍
第2機動艦隊(三浦あずさ中将)
空母4(正規空母『赤城』『加賀』『隼鷹』軽空母『鳳翔』)
戦艦4(戦艦『長門』『陸奥』『伊勢』『日向』
巡洋艦5(重巡『利根』『筑摩』『摩耶』『鳥海』軽巡『阿武隈』)
駆逐艦8
輸送船24
航空隊186機
+ 米国軍
第1艦隊(N・スコット少将)
空母2
巡洋艦7
駆逐艦15
輸送船24
直掩機36機

損害

+ 日本軍
損傷(中破以上)
戦艦2(『長門』『陸奥』)
航空隊18機損失
+ 米国軍
沈没
空母2
巡洋艦7
駆逐艦15
輸送船16
航空隊36機損失

戦闘経過

 戦闘開始直後空母群を分離離脱させた第2機動艦隊は戦艦の砲撃で空母を、航空隊で護衛艦を叩く方針を固め、『長門』『陸奥』を始めとする艦船群は『レキシントン』へ砲撃を集中する。
 しかし、航空隊が『サラトガ』上空で直掩機との交戦に引きずり込まれた隙を突き米軍巡洋艦部隊が『レキシントン』と『長門』『陸奥』の間に割り込み、『長門』へと砲撃を集中する。
 その時『レキシントン』の8インチ砲が『長門』羅針艦橋直下の副砲予備射撃指揮所に直撃、火災が発生し、その衝撃で艦橋が激しく揺さぶられ、司令部要員全員が昏倒する。
 三浦中将こそすぐに意識を取り戻したが、第2機動艦隊副指令角田覚治少将が左腕とあばらを骨折し、その他艦橋要員全員がまだ意識を失っている姿を見て、司令部要員全員を医務室に搬送させ、自らが舵を握る事を決断する。
 その後、『長門』は米軍第1艦隊司令N・スコット少将が「激流下り」と称した破天荒な艦船機動を展開。それ以上の命中弾を抑止する。
 『長門』『陸奥』の砲撃により『レキシントン』が沈没したのと同じ頃、航空隊も『サラトガ』撃沈に成功。砲撃戦で損傷を負っていた米軍護衛艦に次々と襲い掛かり、戦闘艦全艦を水葬にしてのけた。

エピソード

 『長門』が破天荒な艦船機動により命中弾を受けなくなると、N・スコット少将は砲撃を『陸奥』に集中させ、『陸奥』は巡洋艦の砲撃に袋叩きにされ中破した。



参考文献




  • ・・・ごめん、限界orz第5次は明日バイトから帰ってからにでも。 -- これ書いてる人 (2009-02-28 06:16:24)
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最終更新:2009年03月01日 02:29
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