※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

Last update 2007年10月09日

コンクリートの上の魚 著者:亜季


私はびしょびしょのコンクリートに投げ出された、とてつもなく大きな魚の死骸だった。

「ミィ、愛してるよ・・・。」

その言葉と裏腹に、レイの体からは私を疑う不安さが全身で伝わってくる。

信じられずに愛されることが、
こんなにも苦しいものだとは思っていなかった。

ベッドの上で身動きを取れなくなった私は、
生きながらにして
コンクリートの上に投げ捨てられた魚のような気分だった。

私は海に戻りたかった。

けれど、例え海の中でなくとも
コンクリートの上でも愛という水があれば苦しいながらも
いつか大好きな優しい海に戻れる可能性を信じて
新しい海を探そうとは思えなかった。

大好きな海を当たり前のように思いすぎて、
自分に合いもしない他の海に目移りした自分が情けなかった。

そして、コンクリートの上で生き抜くために覚えた私の最後の抵抗は
自分で自分を傷つけることだった。

びしょびしょのコンクリートの上で
自分が傷ついてでも暴れもだえることで、少ない水を体中に行き渡らせた。

そうすることで、水の不足からくる心の苦しみを
自分の身を身代わりに抑えることができたからだ。

だけど、もう限界だった。

傷だらけになった魚の死骸のような私には、
コンクリートの水も、愛しい命の海でさえも意味はなくなっていった。

「ミィのこと、信じたいのに信じれないよ・・・。」

私を想い苦しむ気持ちはレイの中に納まりきらずに
それが私にも伝染していたのだ。





コメント

名前:
コメント:
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|