Last update 2007年10月09日
コンクリートの上の魚 著者:亜季
私はびしょびしょのコンクリートに投げ出された、とてつもなく大きな魚の死骸だった。
「ミィ、愛してるよ・・・。」
その言葉と裏腹に、レイの体からは私を疑う不安さが全身で伝わってくる。
信じられずに愛されることが、
こんなにも苦しいものだとは思っていなかった。
こんなにも苦しいものだとは思っていなかった。
ベッドの上で身動きを取れなくなった私は、
生きながらにして
コンクリートの上に投げ捨てられた魚のような気分だった。
生きながらにして
コンクリートの上に投げ捨てられた魚のような気分だった。
私は海に戻りたかった。
けれど、例え海の中でなくとも
コンクリートの上でも愛という水があれば苦しいながらも
いつか大好きな優しい海に戻れる可能性を信じて
新しい海を探そうとは思えなかった。
コンクリートの上でも愛という水があれば苦しいながらも
いつか大好きな優しい海に戻れる可能性を信じて
新しい海を探そうとは思えなかった。
大好きな海を当たり前のように思いすぎて、
自分に合いもしない他の海に目移りした自分が情けなかった。
自分に合いもしない他の海に目移りした自分が情けなかった。
そして、コンクリートの上で生き抜くために覚えた私の最後の抵抗は
自分で自分を傷つけることだった。
自分で自分を傷つけることだった。
びしょびしょのコンクリートの上で
自分が傷ついてでも暴れもだえることで、少ない水を体中に行き渡らせた。
自分が傷ついてでも暴れもだえることで、少ない水を体中に行き渡らせた。
そうすることで、水の不足からくる心の苦しみを
自分の身を身代わりに抑えることができたからだ。
自分の身を身代わりに抑えることができたからだ。
だけど、もう限界だった。
傷だらけになった魚の死骸のような私には、
コンクリートの水も、愛しい命の海でさえも意味はなくなっていった。
コンクリートの水も、愛しい命の海でさえも意味はなくなっていった。
「ミィのこと、信じたいのに信じれないよ・・・。」
私を想い苦しむ気持ちはレイの中に納まりきらずに
それが私にも伝染していたのだ。
それが私にも伝染していたのだ。