Last update 2007年10月07日
タイトルなし 著者:GURA
──どどん、という鈍い音が校庭の方から聞こえてきた
「始まった」
立ち上がる黒煙のいくつかを見届け、あらゆるものの残骸が消え去るようにと祈っ
た。
天使たちの創造物が、何もかもを消し去ってくれるだろう。
た。
天使たちの創造物が、何もかもを消し去ってくれるだろう。
そう、なにもかも。
喉の奥に、詰まったままの思いも。
胸の隙間に、絡みついた記憶も。
頭の隅に、焦げ付いて離れない気持ちも。
なにもかも。
喉の奥に、詰まったままの思いも。
胸の隙間に、絡みついた記憶も。
頭の隅に、焦げ付いて離れない気持ちも。
なにもかも。
激しい音と視界を奪う煙が、背後に残したものを全て拭い去ってくれるはずだ。
この体を終わりを報せる音を遠くにいつまでも聞きながら、いつの間にか、少年は自
宅の前まで辿り着いていた。
この体を終わりを報せる音を遠くにいつまでも聞きながら、いつの間にか、少年は自
宅の前まで辿り着いていた。
「残すはあとひとつ」
手に握られた鍵が、太陽の反射で、少年に覚悟の有無を語りかけているようだった。
「もちろん」
ドアを開け、身に沁み込む馴染んだ匂いにむせかえる。
体の奥に沸き返るような記憶が踊るが、彼はそれを呼び起こそうとはしなかった。
すでにそれは、少年の進む先には不要な邪念でしかなかったからだ。
体の奥に沸き返るような記憶が踊るが、彼はそれを呼び起こそうとはしなかった。
すでにそれは、少年の進む先には不要な邪念でしかなかったからだ。
障子を開けて、薄暗い茶室の畳の上に少年は一歩目を踏み出した