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Railway Track ◆9L.gxDzakI




夜空。
開けた土地の上で、満天の星が輝いている。黒天の闇の中で、さながら宝石箱をひっくり返したかのように。
どこまでも続く無限の空の下には、極めて限定的な有限の大地。
開けているといっても、極端に広大なわけではない。
少し西の方には街が広がっているし、地図を見れば、少し東には森も広がっている。
そして更にその限りある平原の中で、ぽつんと建った小さな駅。
どこぞの片田舎にでもあるような、小さな小さな古ぼけた駅だ。
(まるで今の俺そのもののようだな、ここは)
少年――ルルーシュは、名簿を片手に苦笑した。
そんな駅のプラットフォーム。暗闇の中に置かれた真っ白なベンチに腰掛け、様々な資料に目を通している。
ここは自分と同じだ。突然この広大なゲームフィールドに放り込まれ、閉じ込められた、ちっぽけな自分そのものだ。
――ルルーシュ・ランペルージはゼロである。
侵略された日本・エリア11を、支配者たる神聖ブリタニア帝国から奪還するために立ち上がった、正義の革命家の名だ。
皇子たる自分と皇女たる妹を捨てた祖国に復讐を誓い、数多の屍で塗り固められた道を進む、冷徹無慈悲な魔王の名だ。
目と足の自由を失いながらも健気に生きている妹ナナリーのため、平和な世界を作ることを目指す、優しい兄の偽名だ。
そのゼロたる彼が、いかにしてこのような殺し合いの場に連れ込まれたのかは、想像するしかない。
他ならぬルルーシュの記憶にもないまま、気付けば椅子に縛り付けられていたのだから。
途切れる直前までの記憶を追想する。
崩落する大地。蹂躙されるナイトメアフレーム。数万にも及ぶ大軍団の怒号。
彼の率いる「黒の騎士団」は、ブリタニア行政府への最終攻撃作戦を敢行していた。
超大国ブリタニアを束ねる皇帝シャルル・ジ・ブリタニアを動かすべく、日本を自らの国へ変えるために。
帝国の植民地1つをまるまる乗っ取り、実の父と直接戦争をするために。
しかし、問題が発生した。戦闘中にナナリーが誘拐されたのだ。
当然ルルーシュは追った。日本の遠洋に位置する孤島、神根島まで足を運んで。
自らの駆るナイトメアを降り、そのナイトメアを見つけた古代遺跡に入った矢先――そこで記憶は途切れた。
(あのタイミングで、俺は何らかの手段によってここに連れ込まれたということか)
僅かに眉をしかめる。
冗談じゃない。これから自分はナナリーを助けに行かねばならないというのに。
今こうしている間に、最愛の妹がどんな目に遭っているか分かったものじゃない。
何としてもナナリーを救出しなければ。でなければ、自分は何のために心を傷つけ、罪を背負い、修羅の道を歩んだというのか。
今すぐにでもこのゲームから抜け出さねばならない。
そのための手段は、既に色々と考えていた。誰かに殺し合いを強制されるというのもまた、癪に障ることだったからだ。
まず、主催者プレシアを倒す――不可。相手が魔法とやらを使う以上、彼女の元へ普通の手段で行くことができるのかは分からない。
飛行機か何かを見つけて逃げる――不可。みすみす参加者を逃がすようなものを、配置することはないだろう。
地図上の客船や、何故かあった騎士団車両を使って逃げる――不可。同様の理由から、燃料の類は抜き取られているはずだ。
それが無理ならば徒歩で逃げる――これも不可。そんなことをしていては体力がもたない。逃げられても、そのままのたれ死ぬ。
ではどうすればいいのか。最も確実にこの場所から抜け出す方法は何だ。
何十回も何百回も考えたが、結局のところ、彼は1つの結論しか見出すことはできなかった。
(……やはり、優勝するしかないか)
他の参加者達を殺し、生き残る。
誰かの理不尽な命令に従うというのは不服極まることだが、他に方法がない以上は仕方がない。
(だが……プレシア・テスタロッサ)
夜空を見上げて、星々を睨んだ。
その先で今も自分達を見ているであろう、あの不愉快な女を見据えて。
(いずれお前もまた、あの見せしめの後を追わせてやる……!)
深い怒りと憎しみと共に。屈辱に震える拳を握り締めて。
このゼロに喧嘩を売ったことを後悔させてやる――ルルーシュは胸に固く誓った。
そして、手にした名簿へと視線を落とす。
他の人間を殺すといえども、何も皆殺しにするというわけではない。
ブリタニアの兵士ならば顔色1つ変えず手にかけるルルーシュだが、そこは優しい普通の少年だ。
何故か共にここへ連れてこられた、友達や仲間を殺すことは躊躇われた。
(まずは……スバル)
初めてこの名簿に目を通した時、1番最初に目に付いた名前――それを発見した時には、一瞬思考が止まっていた。
脳裏に蘇る、あの屈託ない朗らかな笑顔。緑の瞳と青い髪が、鮮やかに闇の中に浮かび上がる。
いつの間にか、最も大切な友となっていた少女だ。
7年来の幼馴染みは、場所を違えれば最悪の敵として立ちふさがる。学校の仲間達には、隠し事ばかりを重ねている。
そんなルルーシュの全ての秘密を知り、それでも味方でいてくれた、唯一の友達――それがスバル・ナカジマ。
自分達の世界においては、彼女は客人だ。
異次元世界からやって来た魔法少女という、冗談もいいところな存在だ。
そんなスバルと彼は出会い、境遇を知り、境遇を知られ、それでも互いに信頼し合い、最後には遠ざけた。
今やルルーシュは完全にゼロとなっていた。学生だったルルーシュ・ランペルージには戻れなくなっていた。
スバルはそれでも、壊れ続ける彼を止めようとしてくれたが、ルルーシュにはこれ以上彼女を巻き込むことは耐えられなかった。
だから、ひとまず安全なフジの政庁跡へと置いてきたのだったが、
(俺が甘かったということか……!)
これは自分のミスだ。
黒の騎士団の一部勢力を残しておけば、それで安心だろうとたかをくくった自分の油断が、結局彼女を巻き込んでしまった。
(スバル……すまない……)
内心で懺悔する。
自分は駄目な男だ。彼女を泣かせ、彼女を遠ざけ、それでも彼女を守ることができなかった。
だからこそ。
それが偽善であったとしても。
(せめてここからは……必ずお前を助け出してみせる)
それだけは譲れなかった。
この狂気と殺意に満ちたデスゲームの中で、それだけは譲れなかった。
(続いて……シャーリー)
ルルーシュはその下の名前――シャーリー・フェネットの名前へと視線を落とした。
途端、その瞳が曇る。
彼女はルルーシュが、犠牲にしてしまった存在だ。
彼が指揮したナリタ山での戦闘は、このクラスメイトの父親を偶然ながらも殺してしまった。
やがてシャーリーは全てを知る。父の死を。殺したのがゼロであることを。ゼロの仮面の下の正体を。
ひょっとしたら、彼女は自分のことを、愛してくれていたのかもしれない。
だからこそ、シャーリーは、素直にルルーシュを殺すという道を選ばなかった。
故にゼロへの殺意とルルーシュへの愛の相克に揺れ、その精神に亀裂を走らせた。
砕けかけたシャーリーの心を救う手立てとしては――彼女の記憶を奪うことしか選べなかった。
(俺は人を巻き込んでばかりだ)
自分が起こした反逆のために、彼女の心は書き換えられた。
ルルーシュ・ランペルージというボーイフレンドを忘れたシャーリーの姿は、自分が犯した罪の証だ。
そう。彼がそれでも歩むのは、彼女のためでもある。出てしまった犠牲が、それこそ無駄に終わらないために。
(だが、君はまだ生きている)
生きている以上は、生き続ける権利がある。
それを守ることもまた、彼女を犠牲にしてしまったルルーシュの責任だった。
(それから……カレン)
3番目の名前は、ことにゼロとしての自分にとって、重要な意味合いを持つ名前だった。
生徒会の友人であるカレン・シュタットフェルトは、同時に黒の騎士団エースパイロットの紅月カレンでもあった。
彼女は優秀だ。ゼロを信頼し、ゼロの期待に応える働きぶりを見せてくれる。
だからこそルルーシュもまた、彼女を優秀な部下として信頼し、自らの親衛隊長に据えていた。
もっともカレンは、頭でっかちのひねくれ者なルルーシュ・ランペルージとはそりが合わなかったようだが。
ともかくも、今後も頼りにできそうな存在ではある。
しかし、彼女との付き合いは、シンジュクで初の戦闘を行った時からの短い関係でしかない。
(もしもの時には、切り捨てるのもやむなしか……)
だからこそルルーシュの思考は、そちらへと傾いていったのだろう。
共に生き残るに越したことはない存在ではあったが、自らの命を賭けるには、少々思い入れが弱かった。
(最後に……C.C.)
あの「共犯者」は、こんな大会においても偽名で登録されているらしい。
正体不明。年齢も人種も、人間であるかさえも知らない。知っているのは傍若無人な性格と、偶然耳にした本名だけ。
そんな不確かな存在でありながら、自身の決起の最大の要因となった少女――それがC.C.だった。
問題なのは、彼女の能力だ。
C.C.は死なない。頭をブチ抜かれようが、身体中を蜂の巣にされようが、すぐにその傷は回復してしまう。
そんな不死身の存在が、殺し合いのゲームの中にいていいものなのだろうか。
いや、プレシアは一部の参加者に制限をかけたと言っていた。
つまり、今ならば殺せるということか。どうにかして再生能力を衰えさせたということか。それにしても程度は――
「……ハハッ」
そこで自らの思考に気付き、ルルーシュは力なく笑った。
(俺はC.C.を殺そうとしてる)
心底呆れ返る心地だった。
どんな時でも共犯者として、共に戦っていこうと契約を持ちかけたのは、他ならぬ自分ではないか。
そんな自分が、相手が化け物じみた身体を持っているということだけで、殺す算段を頭の中で組み立てている。
脆いものだ。
人間の信頼関係など、こうもあっさりと歪んでしまうものなのか。それほどに自分は卑怯な人間だったということか。
(いずれにせよ――、ッ!)
ルルーシュの思考が強制的に打ち切られる。
風に乗って、無音の平野に響く音が聞こえてきた。この駅に、何者かが近づいてきている。
すぐさまルルーシュは立ち上がり、その左目をかっと見開いた。
紫の瞳の中、ぽうと灯る真紅の光は――絶対遵守の力・ギアス。
さながら闇の中を飛翔する不死鳥のごときエンブレムは、人間相手ならば誰にでも1度だけ命令を下すことができる王の力。
自在にオンオフできるようになっていたのは、殺し合いに余計な気遣いを持ち込まないようにとのせめてもの配慮だろうか。
だとしたら、その威力さえも調節されている可能性は多分に考えられる。
一種の洗脳のようなこの能力は、こうしたサバイバルゲームでは比類なき力を発揮する、いわばチートアイテムだ。
「死ね」と一言命じるだけで、あらゆる敵を始末できる。そんなことは、明らかに不公平。
だから今は、このギアスがどれほどまでに使うことができるのかは分からない。
直接的に相手を殺すことができなくなっているだけかもしれないし、あるいは持続時間などにも影響が出ているかもしれない。
それでも、この場に残った2つものだけがあれば、現状ならまだ十分に使える。
このギアスが「相手を従わせるものである」という事実と、不気味に光る外見的特徴があれば。

「弱ったな……」
うんざりした様子で呟きながら、1人の少女が平地を歩いていた。
茶髪のロングヘアーを後ろで黄色いリボンでまとめ、尻尾のように垂れ下げている。
身体に着込んだのは、青系の色を基調としたフィットスーツだ。ところどころ装甲板が当てられたそれは、さながら戦闘服のような意匠。
首元に刻まれた金色の文字は、「Ⅹ」というギリシャ数字。そして、それはそのまま彼女の名前でもあった。
戦闘機人第10号・ディエチ。主催者プレシアとも関わりのあった科学者ジェイル・スカリエッティの、かつての尖兵だ。
かつての、ということは、要するに今はそうではないということになる。
彼の威信を賭けた、聖王のゆりかごでの攻防戦。スカリエッティは、ナンバーズは、その戦いに敗北した。
ひとまず処分が決定するまでと管理局に回収され、そのまま眠りについた夜。それがディエチの最後の記憶。
(管理局の防衛システムの突破……プレシア・テスタロッサなら、そこまでやれてもおかしくないか)
いわゆる管理世界の中でも、今や最大戦力となっている時空管理局。
かつての自分達スカリエッティ一派ならまだしも、他の武装組織では容易にセキュリティを破ることはかなわない。
しかし、空間魔法技術に関して飛び抜けたものを有していたプレシアの能力ならば、自分を施設から連れ去ってもおかしくない。
だが、問題はそこではなかった。
(クアットロともチンク姉とも無線が繋がらない……)
名簿を見れば、自分の姉妹のうち2人がここに来ていることが分かる。
ならば内蔵された無線機能で意思疎通が図れるはずなのだが、どうにもそれが繋がらないのだ。
(いじられたかな? あたしの身体)
何だか薄ら寒さを感じる。
ともかくもそういうわけで、彼女らと合流するには、どうやら地道に捜すしかないということは分かった。
そしてそんなことを考えているうちに、ディエチは小さな駅にぶち当たる。
いつの間にか近くまで来ていたようだ。妙に小ぢんまりとした古い駅が、すぐ目の前に立っていた。
さてどうするか、とディエチは思案する。
狙撃手という役割を担う彼女の目は、他の戦闘機人よりも比較的高性能なカメラによって作られていた。
故に夜間で戦うというデメリットは、ディエチには存在しない。彼女の千里の目をもってすれば、夜の闇などなきに等しい。
それでも休めるうちに休んでおいたほうがいいかもしれない、とは思う。
結局そのまま、この駅をどう使ったものかと悩んでいたが――
「――こちらを見ろ」
不意にそこへ、よく通る声がかけられた。
「!?」
反射的に身構え、声のする方向へ視線を向ける。
1人の少年が、プラットフォームに立っていた。
闇に紛れるかのような漆黒のマント。髪の色も同じく黒。そしてその左の瞳には、不気味な光が宿っている。
「俺の目を前にしては、どんな奴も俺の命令には逆らえない」
少年は言葉を続ける。
あながちそれは間違いでもなさそうだ。あの瞳の赤い光からは、未知のエネルギーが感知されている。
魔力でも、戦闘機人の動力でも、単純な電力でもない。データバンクには存在しないパターンのエネルギー。
下手に抵抗しては、何やらまずいことになりそうだ。
そう判断すると、ディエチはすっと構えを解いた。
「理解できたみたいだな」
ふっと笑みをこぼすと、少年は――ルルーシュは、左目のギアスを解除した。
「ルルーシュ・ランペルージだ」
「あたしはディエチ」
お互いに名乗る。どちらも名簿の中に確かに存在する名前だ。
「ひとまず、こちらまで来てくれないか?」
ルルーシュが尋ねる。
言われるままにディエチは線路と外部を隔てる低い柵をまたぎ、線路上を横切り、プラットフォームへと向かった。
そして勧められたベンチに腰掛け、ルルーシュと隣り合う形となる。
「お前はこのゲーム、どうするつもりだ?」
話題を切り出したのはルルーシュだった。
プレシアの口馬に乗って殺戮を始めるのか、それとも反抗して不殺の道を行くのか、それとも――
「とりあえず、手段は選んでらんないかな。身内の安全がかかってるし」
「ほぅ、俺と一緒というわけか」
ディエチの思考はルルーシュと同じだった。
この少女は、自分と同じくゲームに巻き込まれた仲間を救うためならば、他の参加者をも殺すつもりでいる。
ならば、共に行動するのも容易い。
戦闘服のような服装を着ているということは、そこそこに腕も立つのだろう。
大半の運動は苦手で、1人では大した戦いもできないルルーシュにとっては、最適なボディーガードだ。
「俺と行動しないか?」
故に、ルルーシュはそう切り出した。
ディエチは一瞬、真剣になって考える。
確かにこの不特定多数が参加するデスゲーム、1人で戦うよりは仲間を持った方が有利だろう。
特に参加者の中には、高町なのはなどのエース級魔導師の姿もある。自分1人だけの力では、どう転んでも倒せない。
それに拒否したところで、この少年には奇妙な力がある。
催眠術の類なのだろうが、あの瞳で命令されれば、自分の自由意志など関係はなくなるらしい。
逆に考えれば、その力を味方につければ、自分にとってかなり有利になる。
「……分かったよ。手を組もう」
「賢明な判断だ」
結果、ひとまずこの場は同盟関係を結ぶことになった。
「お前の身内というのは?」
ルルーシュが次の問いを投げかける。
「ここに名前が載ってる、クアットロとチンク」
ディエチは彼の持っていた名簿を、指でなぞりながら説明した。
それを確認すると、ルルーシュもまた自分の関係者の名前を出す。こちらだけ隠しておくのはフェアではない。それでは信用は得られない。
「タイプゼロの知り合いなんだ」
「タイプゼロ?」
「この、スバル・ナカジマって奴。あたし達戦闘機人の初期型だよ」
事も無げにディエチは言い放った。
その余裕は、彼女らとそのタイプゼロの所属する管理局との決着が、一応訪れたことの表れだろうか。
「そうか」
一方で、うっかりギアスを使うということをしなかったのを、ルルーシュは内心で安堵する。
そもそもギアスとは、人が人に命令を下すための力だ。戦闘機人のような、非人間の身体には通用しないのである。
事実、かつて河口湖のコンベンションホテルで、スバルの正体を確かめるためにギアスを使ったが、彼女はその影響を受けなかった。
そして、このディエチという少女もまた、スバルと同じ戦闘機人なのだという。
先ほどギアスを発動させていたならば、あっさりとネタがバレてやられていただろう。
「なら後は、お互いの装備の確認だな」
言いながら、ルルーシュはデイバックのファスナーを開け、中にあったものを取り出した。
最初に出てきたのは、少々小さなサイズの3つの樽だ。何の変哲もない樽だったが、よく見ると導火線のような紐が出てきている。
恐らくこの中には、着火することで炸裂する爆薬が詰まっているのだろう。
「火をつける手段もある」
続いて取り出したのは、ひどくアンティークな作りのライターだった。
そして最後に出てきたのは、柄に「洞爺湖」と漢字の彫られた、それこそごくごく普通の木刀。
取り回しに不便な大きな爆弾3つと、殺傷能力の低い木刀。
一見するとハズレのような装備だが、彼にとっては十分だ。これだけあれば、彼の頭脳を持ってすればある程度の戦闘はこなせる。
「あたしのは、これ」
ディエチもまた、デイパックから装備を取り出す。
最初に出てきたのは、何やら随分と大きな白銀の拳銃だ。こんな物が人間に扱えるのか、と疑いたくなる。
渡されたディエチが人間よりも優れた力を持った戦闘機人なのだから、ゲーム中に使う分には問題ない。
だが、これも恐らくどこかからプレシアが持ち出したものなのだろうと思うと、頭が痛くなってきた。
彼女には銃に対するリアクションはない。つまり、戦闘機人とは全く赤の他人の持ち物。どんな奴が振り回していたのだろう。
「それから……あとこれも」
しかし、続いて取り出された物を見た瞬間、ルルーシュの目の色は変わっていた。
「ほほぅ、これはこれは」
白い小さな器具が2つ、ディエチの手の中にあったのだ。
ブリタニア軍で用いられていた、イヤホンタイプのインカムだ。この配色は、親友にして宿敵の枢木スザクが使っていたタイプである。
恐らく通信範囲はかなり限られたものであろうことは想像できたが、それでも十分な収穫だった。
少し離れた場所からも意思疎通が行えるということは、作戦の幅を大きく広げることになる。
おまけにこれは自分の世界の物。扱いに困ることもない。
「片方、渡しとくよ」
「ありがとう」
ディエチからそれを受け取ると、感謝の言葉を述べて、早速耳につけた。ディエチもまたルルーシュにならう。
これで今行うべき情報交換は大体完了した。ルルーシュとディエチはこの瞬間をもって、正真正銘の仲間となったのだ。
黒きマントを翻し、ルルーシュは彼方を見やる。
森の中へと続いていく、微妙に錆び付いた鉄道の線路を。
「――このレールは、一体どこへと続いているのか」
そして、不意に口を開いた。
「……どこにも続いてないんじゃないかな?」
訳の分からない言葉に戸惑いつつも、ディエチは率直に答える。
これがどこかの駅に続いていたら、せっかくのゲームの意味がなくなってしまうからだ。
もしそうならば、線路の上を歩いていけば、簡単にフィールドから脱出できてしまう。
つまりこの線路は、フィールドの境界にぷっつりと遮られているはず。
「いや、続いているさ」
しかしルルーシュは言葉を続ける。
「意志があるところにこそ、見えない道は続いている。……俺達の勝利に繋がっている」
そして、振り向いた。
絶対的な自信に満ちた、一種邪悪ささえ漂わせる、大胆不敵な笑みが、そこにはあった。
「このゲーム……必ず俺達が勝つ」


【1日目 深夜】
【現在地 E-7 駅】

【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反目のスバル】
【状況】健康
【装備】洞爺湖@なの魂、ブリタニア軍特派のインカム@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式、小タル爆弾×3@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、インテグラのライター@NANOSING
【思考】
 基本:守りたい者を生き残らせるべく、他の参加者を殺す
 1.スバル、シャーリー、カレン、C.C.を保護したい
 2.可能なら、ディエチの身内(クアットロ、チンク)とも合流する
 3.スバル、シャーリー……2人は必ず俺が助け出す!
 4.ゲーム終了時にはプレシアに報復する
 5.あんなデカイ銃、一体元はどんな奴の持ち物だったんだ……?
【備考】
 ・ギアスに何らかの制限がかかっている可能性に気付きました。また、ギアスのオンオフは可能になっています。
 ・スバルがStS本編から来ていることに気付いていません。
 ・シャーリーが父の死を聞いた直後から来ていることに気付いていません。
 ・救出する人間の優先順位を、スバル>シャーリー>C.C.>カレンと無意識にランク付けしています。
 ・ブリタニア軍特派のインカムはディエチからもらった物です。

【ディエチ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状況】健康
【装備】カスール@NANOSING、ブリタニア軍特派のインカム@コードギアス 反目のスバル
【道具】支給品一式
【思考】
 基本:ナンバーズの仲間と共に生きて帰る
 1.クアットロ、チンクと合流したい
 2.可能なら、ルルーシュの身内(スバル、シャーリー、カレン、C.C.)も保護する
 3.向かってくる敵は基本的には殺す
 4.タイプゼロの回収は……今はもう意味ないか
【備考】
 ・ゆりかご攻防戦直後からの参戦です。未だ更生プログラムの話は持ちかけられていません。
 ・チンクがJS事件の最中から来ていることに気付いていません。




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GAME START ルルーシュ・ランペルージ Next:切なくていとおしいほど、想いは時空を越えて
GAME START ディエチ Next:切なくていとおしいほど、想いは時空を越えて






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