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非常食? ◆9L.gxDzakI




宵闇の中を、のっしのっしと歩く影があった。
2メートルにも及ぶかと思われるほどの巨体は、人間の男である。
男臭い厳つい顔立ちのてっぺんは、1本の髪の毛もない禿頭。
ぱっと見ただけでは肥満にすら見えるその身体は、全身是筋肉の塊。
地上本部特務部隊の一員にして、鋼鉄の巨人・ネオゲッターロボのパイロット――武蔵坊弁慶である。
「まぁったく、一体何がどうなってやがるんだぁ?」
不機嫌そうにぼやきながら、弁慶は市街地を進んでいく。
人っ子1人どころか、彼以外にはまるで生物の気配の存在しない、不気味なゴーストタウン。
しかしながら、弁慶はそれにも――突き詰めれば、この状況そのものにすら、おくびも恐怖を抱いていないようだった。
「いきなり殺し合いをしろなんて、馬鹿馬鹿しいこと言いやがって」
それが癖であるのか、はたまた単純に頭がいい方ではないからなのか、いちいち心の声を口に出す。
かつては名の知れた山賊として、暴力と欲望の限りを尽くしたといえど、今の弁慶はこれでも立派な僧侶だ。
喧嘩っぱやい性格がなりを潜めたとは到底言いがたいものの、不必要な殺生は好まない。
殺していいのは、例えば鬼などの自分達を脅かすものであり、こうした私欲のための殺人は、到底受け入れられるものではなかった。
「とりあえず、あのプレシアってぇ女は一発とっちめてやらねぇとな!」
人攫いをした上に、こんなふざけたデスゲームを自分達に強要した極悪人。
ばしん、と右拳で左の平手を音高く殴ると、弁慶は意気込んだ。
「……あれ?」
と、不意にその険しい表情が緩む。
さながら風船から空気が勢いよく抜けたような、劇的なまでの変化。
「でも……どうやってやりゃあいいんだ?」
思いっきり怪訝そうな表情を浮かべて、弁慶は首を傾げた。
人間離れした強靭な肉体を持つ破戒僧は、武器さえあれば魔導師とも渡り合えると自負している。
しかし、問題はどうやってプレシアの元へと到達するかだ。
あの椅子に座らされていた時、最後に見たのは転移魔法の光だった。
彼女が待ち受けている場所は、このフィールドとはまるきり別の場所と考えられる。
そんな場所へ、魔法に関してはまるで門外漢な弁慶は、一体どうやって行くことができると言うのだろう。
加えて言えば、首にかけられた爆弾の存在もある。たとえ相対できたとしても、立ち向かった瞬間に爆破されるかもしれない。
力ずくでもどうしても外すことができなかったこれを着けた状態で、一体どうやって戦えばいいのだろう。
考えれば考えるほど頭がこんがらがっていき、弁慶の表情が徐々に苦虫を噛み潰したようなものになっていく。
「……あーやめやめ! まぁ何とかなるだろ、うん!」
思いっきり頭を振ると、弁慶は脳内から思考を外に放り出した。この男、頭は思いっきり悪い部類に入るらしい。
そして、デイバックから名簿を取り出すと、そこに目を通す。
「しっかし、スバルやティアナがいるのは当然として……なんで隼人の奴はいねぇんだろうな」
名簿の中には、つい先ほどまで一緒にネオゲッターに乗っていた、2人の少女の名前がある。
それらのことから、彼はゲッターごとこの場所へと送られて、そこから下ろされてあの椅子に座らされていたのだと思っていた。
しかし、スバルの駆る一号機に同席していた盟友・隼人の名前はどこにもない。
ゲッターごと転送されたのならば、どこかにいるはずなのだが……と、弁慶は頭をひねっていた。
「まぁ、アイツならどうにか生き残ってるだろ」
心配することの方がおかしい、といった様子で呟く。
何だかんだいって、あの隼人が敵の手にかかった様子が、弁慶にはどうしても想像することができなかった。
旧ゲッターチームの中でも唯一頭が切れ、おまけに腕っ節もしぶとさも一級品ときた、あのパーフェクトな超人は、きっとどこかで生きている。
それに彼ならば、下手に心配をかけようものなら、「余計なお世話だ」と鼻で笑うだろう。
故に、この場は彼のことを、全面的に信頼することにした。
「それに、むしろ問題なのはこっちの方なんだよなぁ……」
言いながら、弁慶はデイバックの中を覗く。
目に入ったのは、いくつかの食料品。あらかじめプレシアから支給されていた命綱だ。
「……足りねぇよなぁ、これじゃ……」
大食漢の弁慶は、がっくりとした様子でため息をついた。

「あーもう、どうなってるんだよぉ!?」
少年のような声が、無人の街中に響き渡る。
しかし、その容貌は、人間の少年のそれとは大きく異なっていた。
まず、身体が黄色い。グローブのようにして腕につけた赤いベルト以外は、全身鮮やかな黄色だ。
続いて、顔が人間じゃない。長い顎と鋭い牙は、どこからどう見ても爬虫類の顔立ちである。
さらに、尻尾もある。そんなに長い方でもないが、尻の部分からひょっこりと尻尾が顔を出している。
どう考えても人間には見えず、むしろ恐竜の子供といった様子の外見だった。
この人語を話す奇妙な爬虫類もどきは、名をアグモンと言う。
ミッドチルダと繋がったサイバー世界・デジタルワールドに住む、データの塊のような存在。通称デジタルモンスター。
それがアグモンの正体だった。
「姉御ともはぐれちゃったし……ああ、心配だ……フリードはちゃんとついてるのかな?」
せわしなく早口で呟くのには、それなりのわけがある。
そもそもアグモンは、先ほどまで彼のパートナー――キャロ・ル・ルシエと共にジャングルを歩いている真っ最中だった。
しかしその道中で、長旅の疲れが祟ったキャロは、高熱を出して倒れてしまったのである。
そこからフリードに案内されて、彼女を休めさせることのできる洞窟へと向かっていたのだが、
不意に意識が途絶えてしまい、気付けばあの場所で椅子に座らされていたのだ。
つまり、アグモンからすれば、キャロは病気で倒れたまま、この広大な殺し合いのフィールドに放り出されたということになる。
「とにかく急いで姉御を捜さないと……あー、でもどこにいるんだろ?」
精神年齢の幼いアグモンにとっては、このデスゲームよりも、重要なのはパートナーの方らしい。
パニック寸前になりかけた彼には、この異常な状況にまで神経を向けることはできなかった。
「えーと……こっちだ! 何となくこっち!」
慌てていたアグモンだったが、ここでとりあえずの行く先を決めて、ゴーストタウンを走り出す。
根拠なんて特にない。ただ、どこへ行っていいのか分からないが故に、当てずっぽうに頼っていた。
そんな何となくで選んだ道を、アグモンはひたすらに走っていく。
そして。

「……お?」

野太い声を漏らした、その男と出くわした。

(何だぁ、コイツ?)
(何だろ、この人?)
弁慶とアグモンがそれぞれに抱いた第一印象は、大体似通った感じだった。
(トカゲか何かか? にしても、二本足で立つなんざ、ずいぶんとまぁ器用な奴だな……)
デジタルモンスターの存在など知る由もない弁慶にとっては、アグモンは完全に珍獣も同然である。
見たところワニのような顎を有していたが、その割には手足は妙に発達しているし、身体も黄色い。
首から下の構造は、むしろ鬼に近いと言っても過言ではなかった。
(すっごい筋肉……身体も大きいし、レオモンとかワーガルルモンみたいだ)
人間などキャロ以外にロクに見たことがないアグモンにとっては、弁慶はまさに異様な筋肉ダルマ。
華奢で小柄な彼女の姿形からは、大きくかけ離れた屈強な肉体。
それこそ、前述の強力な獣人デジモン達にすら匹敵するような、極めて強靭な印象を受けた。
(この人も参加者なんだ)
そして、首輪に気付いたアグモンは、とりあえず弁慶と対話を行おうとし、
首輪に気付かないが故に、アグモンをそこらの動物か何かだと思っていた弁慶は、

(……食えるのかな、コイツ?)

【1日目 深夜】
【現在地 D-2】

【武蔵坊弁慶@ゲッターロボ昴】
【状況】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3個(確認済み)
【思考】
 基本:殺し合いを止め、プレシアを打倒する(どうやって戦うかは考えていない)
 1.スバル、ティアナと合流
 2.このトカゲみたいな奴(=アグモン)を捕獲して、食料にする
 3.隼人は多分大丈夫だろう
【備考】
 ・5話終了後からの参戦です。
 ・自分とスバル、ティアナ、隼人の4人は、ネオゲッターロボごとここに送り込まれたのだと思い込んでいます。
  また、隼人がどうして参加者の中にいないのかという疑問を持っていました。
 ・隼人がこのゲームに関わっていないことを知りません。
 ・アグモンがゲーム参加者であるということに気付いていません。

【アグモン@デジモン・ザ・リリカルS&F】
【状況】健康・焦燥
【装備】なし
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3個(未確認)
【思考】
 基本:熱を出して倒れたキャロと合流する
 1.目の前の男(=弁慶)と対話を行う
 2.やっぱりフリードもここにいるのかな? 姉御を守ってくれているといいけど……
【備考】
 ・2話で、フリードと共にキャロを洞窟へと運んでいる最中からの参戦です。
 ・キャロが病気で倒れていると思い込んでいます。
 ・このゲームそのものに関しては、気が回っていないようです。



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