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Alive a life ~死闘(後編) ◆gFOqjEuBs6




瓦礫の山と化した廃墟の中で、突如として大量に沸きだしたモンスターに愚痴を零す男が一人。
黄金の身体。雄々しきカブトムシを彷彿とさせる角。手に持った武器は、何物をも両断する破壊剣。
コーカサスオオカブトムシの祖たる不死生物――コーカサスアンデッドだ。

「邪魔なんだよ」

大層つまらなさそうに呟く。直後、飛び込んできたのは槍を携えたギガゼール。
その巨大な槍を力一杯にコーカサスアンデッドに向かって振るう。
刹那、現れたのはソリッドシールド。何者の攻撃も、黄金の身体を傷つける事は敵わない。
ふん、と一声。破壊剣オールオーバーを、ギガゼールに突き立てる。
めきめきと、不吉な音が響く。その剣先はギガゼールの鎧をいとも簡単に砕き、貫通。
瞬間、爆発。
ならばとばかりに、茶色と紫のレイヨウはコンビネーションを組んで四方からコーカサスアンデッドに接近。
前後左右、全ての方向からの同時攻撃だ。されど、結果は変わらない。
完全にタイミングを合わせての同時攻撃など出来る訳も無く、全ての攻撃がソリッドシールドによって防がれる。

「無駄無駄。君たちじゃ役不足だってば」

前方のギガゼールの顔面を掴み、持ち上げる。瞬間的に、顔面の鎧を握りつぶさんばかりの握力がギガゼールを襲う。
しかし、苦しみは一瞬だ。すぐに右隣にいたメガゼールへと投げ捨てられる。二匹が激突した一瞬の隙は逃さない。
右腕に持ったオールオーバーで、二匹纏めて串刺し。すぐに引き抜き、自分の背後に向かって振るう。
その刃は確かに残りの二匹のメガゼールを切り裂き、四匹のレイヨウは同時に爆発。

「ったく、カブトの奴、僕がいなきゃ碌に戦えもしない癖に……!」

再びこぼす愚痴。不機嫌そうに、肩を落として。
その怒りをぶつけるかのように、歩きながらオールオーバーを振るう。勿論、出鱈目に振っている訳では無い。
その刃は百発百中。一振りでモンスターの心臓部を確実に破壊。一撃でレイヨウの身体を粉砕しながら進んでいた。
最強のアンデッド、コーカサスアンデッド。彼が通った後に残るのは、爆発し、息絶えたモンスターの死骸のみ。
すでに彼が“破壊”したモンスターの数は二十を超えていた。
行く手を阻むモンスターを片っぱしから破壊。そして前進。その目的はただ一つ。
“勝手に先行した天道に追いつくこと”であった。
カテゴリーキングである彼にとって、参加者ですらないミラーモンスターなどは恐るるに足らない。
そうして進んで行った先。コーカサスアンデッドは、何やら興味深い集団を発見した。




『『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!』』

空を見れば、二頭の龍は未だに激戦を繰り広げていた。
お互い既に満身創痍と言っても過言では無い体の筈なのに、それでも尚戦いを続ける。
ドラグレッダーの咆哮に答えんと、フリードが翼を羽ばたかせる。
猪突猛進。それが、今のフリードを形容するに相応しい言葉であった。
フリードは眼前の敵に向かって真っ向から飛びつく。ドラグレッダーも負けじと身体を翻す。
だが、逃がすつもりはない。長い体を靡かせて移動するドラグレッダー。
フリードからすれば、ドラグレッダーの動きはまさに蛇足だらけ。ひらひらと身体を靡かせること自体が、無駄。
自分の攻撃範囲内から出る前に、フリードはその翼でドラグレッダーの進路を阻む。
一瞬動きを封じられたドラグレッダーに、フリードは力の限り牙を立てた。
何度目か分からない咆哮。ドラグレッダーも負けじと頭をフリードの背後へと回し、その鋭い牙をフリードの体躯に食い込ませる。
絡み合った二頭は、再び落下。砂塵を巻き上げながら、固いアスファルトに激突した。

「誰か……誰か居ないのか!」

それでも、砂塵の中を天道は進む。この争いの元凶となった人物が何処かにいる筈だ、と。
同時に、ガラスから飛び出してきたのはギガゼール。振るわれた槍を、寸での所でかわす。
そのままギガゼールが通り過ぎる前に、カウンターとばかりに強烈な回し蹴りを叩きこむ。
天道の蹴りは見事にギガゼールの脳天を直撃。その威力の大きさに耐えられずギガゼールはその場に片膝を付いた。
その隙は絶対に逃さない。天道が握りしめるは、妖刀――爆砕牙。すかさずそれを抜刀し、ギガゼールの身体を真っ二つにした。
歩き続ける天道の背後で、身体を切断されたモンスターが爆ぜる。
ライダーとしての感覚は取り戻しつつある。脇腹の痛みが天道の歩みを鈍らせはするが、それも許容範囲内だ。
天道はそのまま、現れる敵をあしらい、歩き続けた。
ふと、天道の耳朶を叩いたのは、僅かな戦闘音。
この先に誰かが居るのは間違いない。
そう判断し、天道は再び足早に走り出した。

「あれは……」

それからややあって、天道は音の発生源へとたどり着いた。
そんな天道が目撃したのは、一人の男がモンスターにその身体を貫かれる瞬間。
白い服を着た女性を襲わんと飛び出したモンスター。モンスターの攻撃から彼女を守ろうと、飛びだしたのは中年の男。
結果的に、彼女は助かった。中年の男が彼女を突き飛ばしたお陰で、彼女の命は奪われずに済んだのだ。
されど、代わりにモンスターの槍に貫かれたのは――言うまでも無かった。
再び天道は、彼女たちの元へ向かって走り出していた。




「あ、危ない……高町ッ!」
「え……っ!?」

突然の自体に、なのはは素っ頓狂な声を発した。
モンスターの襲撃を可能な限り防いでいたなのはを、突然何者かが突き飛ばしたのだ。
アスファルトに倒れ伏したなのはは、しかしすぐに起き上がった。何事かと、眼前の状況を整理する。
なのはには訳が解らなかった。気づけば、先ほどまで自分が居た筈の場所に、ペンウッドさんが居る。
ペンウッドさんは、どういう訳か右の脇腹を鋭い槍に貫かれて――傷口からは、止めどなく血を流し続けていた。

「ペンウッド……さん!?」

桃色の弾丸――アクセルシューターを飛ばし、ペンウッドを貫いたギガゼールを追い払う。
しかし、最早間に合いはしなかった。どさっ、と。その場に倒れたのは、ペンウッドだ。
倒れたペンウッドの元に駆けつけ、その体をそっと抱きかかえる。

「ペンウッドさん……なんで……!」

瞳から一滴の涙を零す。
しかし、ペンウッドは答えない。何も言わず、朦朧とした瞳で、何かを訴えようとしているようだった。
震える手を動かして、ポケットから小さな箱――龍騎のカードデッキを取り出す。
それをなのはへと差し出す。どうやら、なのはに受け取って欲しいとでも言っているようだった。
やがて、一拍の間を置いて、力が抜けて行くようにその手は地面へと落ちた。
気絶したのか、ペンウッドの眼は閉ざされていた。だが、まだ脈は止まっていない。
まだ生きてはいるが、このままではペンウッドは死んでしまう。
焦燥を浮かべるなのはを尻目に、背後から重苦しい足音が近づいてきた。 

「仮面ライダー龍騎のカードデッキ。君たちが持ってたんだね」
「え……?」

背後から聞こえる声。純粋そうな、しかし優しさなど微塵も感じられない声だ。
咄嗟に振り返る。だが、子供なんて何処にも居ない。そこにいるのは、金色のカブトムシにも似た、鎧の化け物だけだった。
あれに似た姿を、なのはは確かに見たことがある。
それは、つい先ほどまで行動を共にしていた不死生物――アンデッド。己の種族の繁栄を賭けて戦う異形。
金居こと、ギラファアンデッドの姿によく似ていた。

「貴方は……ジョーカー? それとも……」
「あぁ、僕の事はキングって呼んでよ。一番強いって意味のね」

言いながら、周囲に迫りくるレイヨウ達を一撃の元に斬り伏せていく。
次いで巻き起こるは、レイヨウ達が爆発する轟音。
恐怖心を抱くほどの強さ。それも金居とよく似ている。
しかし、金居の言うとおりならば。このキングという男は殺し合いに乗った危険人物。
キングを見据えるなのはの目が、鋭い物へと変わる。警戒心の表れだ。
ふと、もう一方から聞こえた足音に振り向けば、そこにいたのはもう一人の男。

「アンデッド……カテゴリーキング。やはりそう言うことか」
「あれ? こんな所に居たんだ、天道総司」

なのはの視線の先で、キングと名乗った化け物は、もう一人の青年を天道総司と呼んだ。
この名前にも聞き覚えがある。確か金居が言っていた、正義の味方――仮面ライダー。
瞬間、なのははハッ、と顔を上げた。
天道総司は仮面ライダー。ペンウッドが持っている箱もまた、仮面ライダーの物。
ならばもしかしたら、このデッキはこの男ならば使いこなせるのではないか、と。
しかしそれを問う前に、天道は既に移動していた。ペンウッドを抱きかかえる自分の手前で、ペンウッドを見下ろす。

「まだ生きている。このまま下手に動かすな。いいな?」
「え……は、はい!」

天道の眼光に見据えられたなのはは、つい反射的に敬語で返事を返してしまった。
一瞬だが、確かなプレッシャーを感じた。だからこそ、なのはは思った。この男は、只者では無いと。
天道総司は、崩れ落ちたペンウッドの手からカードデッキを拾い上げ、立ちあがった。

「何故ドラグレッダーが暴れている……?」
「あ……あの赤い龍がいきなり襲いかかって来て……
 フリードが応戦してくれたんですが、私の力不足で暴走してしまったんです」
「奴らを大人しくさせる方法は?」
「解りません……私たちにも何が何だか全く……」

そうか、と一言呟いた天道は、再びキングへと向き直った。
カードデッキを見せながら、頭上で暴れまわるドラグレッダーに視線を向ける。

「キング。お前なら、どうすればいいのか知っているんじゃないのか?」
「さぁね、流石の僕でもそこまでは解らないよ。試しにデッキをそこら辺のガラスにでも翳してみたら?
 そしたら変身出来るだろうし、龍騎になればドラグレッダーだって力を貸してくれるかも知れないよ」

楽観的なキングの言葉に、なのはは呆れにも似た感情を感じた。
確かに金居の言うとおり、“面白ければ何でもいい”というイメージがしっくり来るアンデッドのようだ。
しかし、一方で天道も引きさがる事を知らないのか。既にデッキを地面に散らばったガラスの破片へと翳していた。
なのはの目の前で、天道の腰に銀のベルトが装着される。

「いいだろう。どんなライダーシステムであろうと、俺は使いこなして見せる」

凄い自信だ、となのはは思った。
じっと見詰めるなのはの眼前。左手でデッキを鷲掴みにし、ゆっくりと顔の手前へと引いて行く。
なのはは知らない。それは、天道がいつもカブトゼクターを掴む時と同様の動作を取っている事を。
やがて、その声に力を込めて、叫んだ。

「――変身ッ!」

同時に、腰まで降ろした左腕のカードデッキをベルトに装填。
いくつもの虚像が何処からともなく現れる。閃光は一瞬だ。
瞬きをした一瞬の間に、天道総司の身体は変身を完了していた。
真紅に染まったライダースーツは、赤き血の流れた人間――仮面ライダーの証。真紅の身体を覆うのは、鉄に輝く龍の鎧。
騎士を彷彿とさせる鉄仮面のシャッター。マスクの下で輝くのは、燃えるような真紅の複眼。
頭部に輝く龍の紋章が、太陽の光を受けて煌めく。
そこに立っていたのは、紛れもなく、話に聞いた通りの戦士、仮面ライダーだ。
燃える炎を身に纏い、仮面ライダー龍騎が顕在していた。




変身を完了した龍騎が歩を進める。
現れたのは、緑のレイヨウ。特別な種族らしく、他と違って武器は持ってはいなかった。
名前はマガゼール。丸まった角に、腕に備わった刃で戦う変種だ。
龍騎は飛びついてくるマガゼールを軽くいなし、ベルトから一枚のカードを引き抜く。
再びマガゼールが自分に向かって突撃を仕掛ける頃には、既にカードを左腕のバイザーに通していた。
龍騎が今、最も必要だと感じたカードが自動的にデッキの中から選択された。
そのカード名は――

――SWORD VENT――

同時に、遥か上空で戦闘を繰り広げていた筈のドラグレッダーが、一時的に宣戦を離脱。
真っ直ぐに龍騎の頭上へと飛来。ドラグレッダーの尻尾の先に備わった刀と同じ形をした刀を龍騎へと届ける。
ドラグセイバー――仮面ライダー龍騎がソードベントで繰り出す、ドラグレッダーの尻尾を模した刀だ。
カードを使った場合は大人しく従うのか、と判断する。それならばいくらでもやりようはある。
くるりと、龍騎へと突撃を仕掛けてきたマガゼールに向き直る。

「ハァッ!」

刹那、ドラグセイバーが閃いた。同時にマガゼールの鎧が斬り裂かれる。
続いて、何処からか取り出した爆砕牙を、上段からマガゼールに叩きつける。
そのまま前進。背後で爆発するマガゼールなど意に介さず、次々と沸いてくるモンスターを倒し続ける。
龍騎の背後、コーカサスアンデッドも同様に群れるモンスターを次々と斬り伏せていた。
ものの数分も掛らず、モンスターの数は激減。残ったのは、ほんの数匹のレイヨウと、リーダー格と思しき一匹だけだ。
それは、一際巨大な角を持ったレイヨウ。他のレイヨウ達と比べれば遥かに巨躯だ。
青き鎧に身を包み、全てのギガゼールとネガゼールを束ねる長の役割を担う、集団のボス――オメガゼール。
こいつを倒せば、全てが終わる。
龍騎は、爆砕牙を傍らに置き、再び一枚のカードを引き抜いた。
巨大な槍を構えて、高く高く舞い上がるオメガゼール。龍騎は引き抜いたカードをちら、と眺める。
この瞬間、天道総司が求めたカードは“ライダーキック”に相当する何らかのカードだ。
カードに描かれていたのは、龍騎の紋章としてカードデッキにも施されたマーク。
なるほどな、と心中で呟く。
槍を構えたオメガゼールが、空から舞い降りるよりも早く。龍騎はカードを読み込ませた。

――FINAL VENT――

鳴り響く電子音。再びドラグレッダーが、自分の背後へと飛来した。
龍騎を周囲を舞い、龍と騎士の影は一つに交わる。燃え盛る烈火が周囲を包む。
それはまるで、“二人”の魂が、共に熱く燃え盛り、周囲を焦がしているかのようだった。
ドラグレッダーと共に、天高く飛び上がる。宙で回転を加えながら、右足を下方へと突き出す。

「ライダー――」

落下途中であったオメガゼールは、空に舞い上がる龍騎には反応することが出来ない。
しかし、落下途中にそれに気づいたところでもう遅い。着地をしてすぐに上空を見上げる。
思考するよりも早く、オメガゼールは頭を庇うように腕を構える。反射的な行動だ。
鏡のように反射するミラーモンスターの鎧が、その姿を映し出していた。
眩いばかりに輝く太陽と。天に舞う、炎のような無双龍の姿を。

「――キック!」

龍騎が、その技名を力強く口にした。
いつも通りの口調。それは、仮面ライダーの誇りとも言えるキック技だ。
太陽に照らされた龍騎の背後、ドラグレッダーが灼熱の炎――ドラグブレスを放った。
ドラグブレスは龍騎の身体を燃え盛る炎で包み込み、その威力をさらに高める。
炎の弾丸となった龍騎は、重力に引かれるままに急降下。オメガゼールの胴に、爆発的な威力のキック技を叩きこんだ。
その体を粉々に砕かれたオメガゼール。数メートル後方へと吹き飛びながら、砕かれた身体は爆発。周囲に爆風を巻き起こす。
仮面ライダー龍騎最大の必殺技――ドラゴンライダーキック。パートナーとなるモンスターと共に繰り出す、合体攻撃。
爆風の中、龍騎がその腕をそっと頭上に掲げる。人差し指を立てて、指さす先は太陽。
ややあって、龍騎は足元に落ちていたデッキの破片に気付いた。

「これは……」

バラバラに砕けた茶色のデッキ。恐らくは今倒したモンスターと契約していたデッキなのだろう。
しかし、龍騎が注目したのはそこではない。砕けたデッキのに二枚だけ、残ったカードが存在していたのだ。
龍騎は腰を屈めて、それを拾い上げる。そのカードに記されていた単語は――




『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA――ッ!』

龍騎が指さす頭上に浮かび上がったのは、青白く輝く命の輝き。
倒したオメガゼールの身体から放出した、漲るエネルギー体だ。
ドラグレッダーは大口を開けて飛び付く。誰が反応するよりも早く、それを捕食。
同時に、全身をボロボロにされた筈のドラグレッダーの傷が癒えて行く。
良く見れば、空には無数の魂が浮かんでは消えていた。それら全てが、ここで倒されたギガゼール達の命の輝きだ。
ドラグレッダーは出来る限りのエネルギー体を取り込み、そのダメージを癒す。
勿論、回復するのはダメージだけでは無い。体についた傷をある程度癒した時点で、摂取したエネルギーは別の理由に活かされる。
そう。カードデッキのルールにより定められた、猶予時間の回復だ。

プレシアが参加者に与えたカードデッキの説明書には、“生きた参加者”を食べさせる事で猶予時間を回復できると記されていた。
だが、本来ライダーと契約したモンスターは、同じモンスターを倒して、現れたエネルギー体を捕食して生きている筈なのだ。
そもそもプレシアはこのゲームにあまり大量のカードデッキを支給しては居なかった。
故にモンスターが本来の生態に基づいた行動――即ちモンスター同士での捕食をするであろうという事は、想定外だったと考えられる。
プレシアとしても「モンスターの餌は生きた参加者のみとする」という先入観を植え付けておいた方が殺し合いが円滑に進むと判断したのだろう。

といっても、やはりこの会場で首輪を付けられた参加者達の命の力は大きい。
この会場のモンスター達は、何らかの理由で12時間毎に“餌”を食べないと暴走するという足かせを付けられた。
その条件をクリアする為には“この会場内で参加者を食わせる事でのみ12時間の猶予が与えられる”というルールに従わなければならない。
それに反してモンスターを食わせたところで、モンスターの命の力は所詮たかが知れている。
今回の場合は、浮かび上がった大量のエネルギーを全て捕食したとしても、
元々相当なダメージを受けていたドラグレッダーが猶予時間の完全回復を図る事は難しかった。
大型のモンスターならまた話は別だが、ギガゼール程度の小型のモンスターならば、せいぜい一匹につき回復できる時間は1時間が限度だろう。
受けた傷を出来る限り全快の状態にまで回復させる為に捕食したエネルギー。
余った分で、猶予時間を回復させるために使われたエネルギー。
今回、仮面ライダー龍騎が回復出来た猶予時間は――




爆風が晴れた時、そこにいるのは仮面ライダー龍騎ただ一人だった。
全てのギガゼールはドラグレッダーの餌として捕食されたのだ。
しかし、まだ問題は解決してはいない。

『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAA!!』

最早敵など何処にも居ない。
フリードの眼下、僅かに残っていたレイヨウも、全てフリードが放った灼熱の炎に焼き払われた。
されど、暴走してしまった竜は全ての力を使い果たすまで元の姿には戻れない。
燃え盛るブレストレイの炎の中で、苦しげにフリードは咆哮していた。
そんなフリードを救いたい。その一心で、なのはは再び呼びかけを続けていた。
何度も、何度も。炎の中で、フリードの名前を呼ぶ。
されど、フリードが答えることはない。ただ天に向かって虚しく吠え続けるだけだ。
どうすればいいのかと、なのはの表情に影が差し始めた。

「――おばあちゃんが言っていた」

ふと、背後から聞こえた声に振り向く。
そこにいたのは、先ほどまで仮面ライダー龍騎として戦っていた男――天道総司。
その整った顔立ちで、きっとなのはを見据える。どこか威厳のある、プレッシャーを湛えた表情。
だけど、何故か優しさを感じる不思議な雰囲気。それは先ほどなのはが見た表情と同じだった。
天道は、再び人差し指を天に翳した。太陽光を受けて立つ、眩しい姿だ。
何を言い出すのかと、なのはは目を細めて天道を見つめた。

「絆とは、決して断ち切ることの出来ない深い繋がり。たとえ離れていても、心と心が繋がっている、と。
 本当に仲間としての絆で繋がれているなら、お前の声は奴に届く筈だ……心からの言葉を、聞かせてやれ」

返す言葉は特に思い当たらない。けれど、天道が自分に言いたかった事は伝わった。
心中で感謝の言葉を述べながら、なのははすぐにフリードに向き直った。
大きく息を吸い込み、フリードに呼びかける。

「ごめんね……フリード。私、何か勘違いしてた。龍魂召喚さえすれば、あとはフリードがあの龍を押さえつけてくれるって
 でも、それって違うよね。私も、フリードも、一人じゃなかったんだよね……」
『GUUUOOOOOOOOOOOOO…………―――』
「確かに私たちは、自分一人の為だけに戦う時もある……この手で……」

思い起こすのは、自分が龍魂召喚を行った瞬間。
キャロと自分と、何が違っていただろうか。なのはは、何故フリードを本来の姿に戻そうとしたのか。
それは、確かに皆で助かりたかったからと言う理由もある。いや、寧ろそれが一番の理由であることは間違いなかった筈だ。
だけど、それに最も必要だったのは、フリードとの絆。フリードと心を通わせて、一緒に戦おうとする姿勢。
なのははなのはで戦いつつ、フリードにはフリードの戦いを任せる。龍魂召喚を使えば、後はフリードが戦ってくれると、心の何処かで思いこんでいた。
そんな事では二人の息は合わなくて当然だ。

「でも、この手で相手の手を握る事も出来る。その時は私たちは、弱くても、愚かでも――一人じゃない。」
『…………』
「例えキャロと再会するまででも……今は私とフリードが、パートナーなんだよ……!」

フリードに向かって、手を伸ばす。
これからも一緒に戦って欲しい。パートナーで居てほしい。
自分達は大切な仲間で、パートナーだ。例えキャロと再会するまでの間でも。
今の二人は決して断ち切ることのない繋がりで繋がっている。
だからなのはは、大切な仲間の一人であるフリードの名前を呼んだ。

『……キュクル~』
「フリード……!」

気付けばフリードは、元の小さな姿に戻っていた。羽ばたきながら、なのはの元に舞い降りる。
フリードを抱き寄せるように、なのははその小さな体を引き寄せた。




フリードには、『参加者から50メートル離れれば首輪が爆発する』という特別なルールが存在する。
しかし、どの参加者から50メートルなのかについては特に言及されては居ない。
よってこれはその時の持ち主から50メートル、という解釈でいいのだろう。
従って今この瞬間、フリードの“持ち主”はC.C.から高町なのはへとシフトした。
このゲームの中では、道具の交換や譲渡、強奪などがよくある話だ。
故に、もしも50メートル制限の効果の対象として取る相手が最初の参加者――つまりC.C.のみである場合、
支給品としてのフリードの自由が無さ過ぎる事になる。
最初の参加者が死んだ時点で、その死体から離れられないでは話にならない。
また、なのはは気付いていない。今回行った龍魂召喚にもまた、特別な制限が課せられている事に。
龍魂召喚の場合は、一度目の解放から凡そ6時間は力の解放が不可能となるのだ。
フリードもなのはも、その事実には気付いていないが、果たして――



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キング
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ヒビノ・ミライ






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