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Last update 2007年10月27日

No Title 著者:ネコタ


「先生っ。僕は何が分からないのか分かりません!!」

「んー、だからな、彼女はずぅっと親元に居たわけで、

簡単にハイ、彼氏んとこに行きますって、そういう気分にはならないわけだ。」



もう、1時間半もこんな話につき合わされてる。



「ご両親はもちろん大事なんですよ!

でも、それ以上に僕を見れないのかなって・・・。寂しいと思いません・・・?」



教師になって丸4年。

離島に転勤になって2年が経った。

あの頃抱いてた夢は叶ったものの、

夢中になりすぎて気がつけば一人ぼっちになってた。



「だからなー、もっとこう、やわらかーくして考えれんか?」



昨年春、卒業した卒業生が、顧問のオレに、かわいい相談を持ちかけてきた。

卒業と同時に、彼女と一緒に上京したものの、

奴は野球チームの参加もあるからと、彼女をちょっとだけ、ないがしろにしてしまったらしい。

彼女の休みは、ほとんど親元に帰ってしまっているそうなのだ。



「ふふ・・。」

「先生、笑ってる場合じゃないんですけどオレ・・・。」

「あー、スマンスマン。」



一つの目標にしか向かっていけない不器用さは

若さ故の、弱みなのかもしれない。

一生懸命になりすぎて、大事なものを壊してしまう。

それでも、こいつみたいに全力疾走していたあの頃が愛おしい。



置いてきた彼女のことを思い出した。

『そうやって、どんどん一人で勝手に進んでいって、

次は離れ小島ですよー、引越しは一週間後ですー・・・なんて一方的に言われて、

はいそうですかーって、簡単に言えると思う?わたしにだってね、やりたいこと、たくさんあんの。』

今なら、もっとうまくやれたんだろうか。

上手に彼女の気持ちをわかってやれたんだろうか。

そして、

「ちゃんと迎えに行くから。」と、言ってあげられる余裕もあっただろう。



今年も校庭のサクラが咲き始めた。

ずーっと変わらないものが、そこにはちゃんとあるのに。

あの頃はわからなかったんだ。

傷ついたといえば傷ついたし、

憎たらしいといえば憎たらしい言葉。

今やっと少しだけ、わかった気がする。

売り言葉に買い言葉。ただの喧嘩じゃなかったんだよね。



「あんた、このままだと死ぬ時ひとりだね。」



そう言ったあと、きみは一人で泣いてたんだよね。




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