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 月衛星軌道上。
 ザフトの移動要塞周辺に戦場が移りつつあった。戦艦の放つミサイルとエネルギー砲。降り注ぐ銃弾の間を縫うように駆け巡るのは両軍のモビルスーツにモビルアーマー。

 両軍とはすなわち、プラントの誇るザフトと、オーブを中心とした解放軍。

 その戦いの一角で激しくぶつかり合う機体があった。

 バーニアの炎が糸を引いて幾つ物細い光が後を追う。小規模の爆発から姿を現す紅いモビルスーツ。

「どうしてこんなものを!」

 地球を取り巻く巨大なリング。
 宇宙へ飛び出そうとする全てのものを地上へと叩き落し、地上を狙うあらゆる物体を粉砕する重力兵器が搭載された悪魔の兵器。その名をエンジェルリングと呼ぶのはなんの皮肉か。

 月からの動力伝達により稼動を始める前に破壊したい解放軍と、地球を封じ込めたいザフトとの戦闘が始まっていた。

「お前には関係無いだろう。俺は父上の犯した過ちを正したい、コーディネーターもナチュラルも安心して暮らせる世界が欲しいだけだ!」

「だからこんなやり方・・・どうして、君が君のお父さんの罪を償わなきゃいけないんだ!」

 お互い永久機関を積んだモビルスーツに乗っている。フリーダムとジャスティスは遠距離支援型と近距離突撃型とタイプは分かれていたが、基本スペックに相違はない。初代から数えて3代目になる兄弟機は、誕生して何年目かでついにお互いに刃を向け合った。

 幸か不幸か。
 最強の一体がこの戦いで決まる。

「俺がアスラン・ザラだからだ」

 何度も迷い、間違い、失った。
 思えば自分はいつも何かから逃げ続けていた。いつも生き残って、世の中から隔離されて誰も俺を責めないから、いつまで経っても気がつくことができなかった。

 大罪を見逃された意味も。
 与えられた力に込められた祈りすら。


『我らの正義に星の加護を』



 人類の限界に挑戦した父や母の夢を。
 故郷を宇宙だと定めたのは自然の流れだったのかも知れない。


 本当は戦闘に集中しなければならないことなど百も承知。無駄口を叩きながらグリップを握り、放たれるビームの軌道を計算して機体を滑り込ませ、射程を取らせず、バルカン砲を放つ。

 けれど、通信で交わされる会話を無視することができない。

「だけど、確かに君の名前はそうだけど、そんなのは間違ってるんだ!」

 キラは自分の言葉が彼に届いていると信じたかった。

 彼の父は戦犯で、ナチュラルに取っては許されない存在で、コーディネーターにとっては同胞を滅亡の危機に晒した指導者。彼が背負っているもの、彼が解放されたいと願っているもの。

 だけど、アスランはアスランだ。それ以上でもそれ以下でもない。何が彼を決心させたのかキラには分からなかったけれど、紫のザフトの軍服を着て、歓喜する兵達を鼓舞する姿は滑稽なほど似あっていなかった。

 彼が導く未来に希望なんてない。

 こんなことをしたって、また彼は傷つき、後悔するだけだ。

 いつだって言葉が足りなかった。
 いつでも話せる。言わなくても分かってもらえる。この対峙は二人がもうとっくに千切れていた繋がりに縋った結果だった。

「そうさ間違っているとも。どうせ人は戦うことを止められない。だったら、戦って未来を勝ち取るしかないだろう!」

 誰よりも平和を望んだ二人が切り結ぶ。溢れるメガ粒子が稲妻のように宇宙空間を照らし駆ける。

 フォルテスとバラエーナの射線が交錯する。僅かに押されたフォルテスがはじけ飛んでジャスティスが衝撃を避ける。進化したコックピットでも、規定値を超えたGがかかれば身体は悲鳴を上げるし、視界が霞む。

「お前こそ何の為に戦っているっ」

「僕は、僕は君の親友だ! 君が間違った道を行くなら手足を奪ってでも止めるよ」

 こんな未来を望んだんじゃない。
 いつかした僕の覚悟は、この時の為じゃない。

 けれど時間は止まらずに進み続け、針は刻一刻と動き続ける。爆ぜた火薬庫は地球圏の隅々にまで広がり、各国は自国を治めるだけで精一杯。ジャンク屋が横行し、国家と言う秩序は崩れさった混乱の時代。

 三度手にした自由と言う銘の剣と。
 三度与えられた正義と言う銘の剣は。

「そんなくだらない事の為に戦場に出てくるなど、お前は何様のつもりだ」

 己の信念のために。
 世界のために。

 振り下ろされる。

「そんな事・・・なんかじゃ・・・ない!」

 フリーダムのバーニアが大きくうねって、青い光を放つ。破壊された敵機や味方機の破片がひっきりなしに飛び、一つ二つを休みなく命を燃やす炎が点滅する。今この時ですら、名もなき兵達の命が散っていく。

「世界の大事に、たかが友人を止めるだけにモビルスーツに乗るなどと、キラ、お前は頼まれもせずのこのこと、自分に流れを止める力があるとでも思っているのか!」

 大切な誰かを守るために人は銃を取るのではなかったのか。
 では、彼が世界を守るのは誰の為? 何の為だと言うのだ?

「それこそ君には関係無い! 僕は僕の為に、君を止める。世界も救ってみせる。こんなやり方、君が間違いだったと証明してみせる!!」

 8基のドラグーンが不規則な運動を繰り返して、ジャスティスを包囲する。それは攻撃を浴びせる為のものではなく、その機体を封じ込める為のものでアスランは舌打ちした。

 考えたな。
 エネルギーが持つまで、俺をこのままにしておく気か。

 だが、お前のその考えこそが命取りだ。優先順位の振り方に問題があると常々思っていたが、やはりお前はそうだ。自らの激情に任せて行動する。

「お前の負けだ、キラ」

「何をっ!?」

 声に焦りはなかった。静かに吐き出される声にキラは息を呑んだ。

「俺は囮だ。お前をこの宙域にとどめる為の、気がつかなかったのか?」



 俺の存在はもとよりこの作戦では捨石なんだよ。

 キラ。戦うことしかできない俺達は、この時代のあだ花だ。
 力で世界に想いを押し通すことがあってはならない。

「アスラン。君って奴はっ、どうして」

 全てのエンジェルリングが接合し、太陽光を受けて光り輝いた。美しい光景に誰もが魅入り、手を止める。しかし放たれた光は死の光だったのだ。一瞬で宇宙空間の軍事力を蒸発させ、空から降り注いだ光の雨が地上の軍事施設が跡形もなく蒸発させる。



 確かに世界の終焉が、すぐそこまで迫っていた。





勢いで書いた逆襲ネタ。アスランとキラの視点が入り乱れるから分かりにくいですね。しかも超最後の方のラストバトルだけな上、尻切れトンボ・・・。まあ、ネタですから。