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勇気のアイテム(後編) ◆gFOqjEuBs6






「ねぇお兄さん、あの人達を追い掛けないの?」
「……急ぐ必要は無い。逃げられんだろ、あの傷じゃ」

シャーリーと天道が居なくなった部屋で、浅倉はヴィヴィオに言った。
もう天道はそう遠くへは逃げられないだろう。
だからこそ、少し猶予を与え、追いかけるのを楽しむのもいい。
といっても、見つからなければ結局はイライラするのが浅倉という男だが。

「じゃあ早く追い掛けて、傷の手当てをしてあげようよ!」
「そうだな……」

ヴィヴィオの言葉に、浅倉は不気味に微笑んだ。
自分がわざわざ手当てをしてやるつもりは無いが。
もし逃げられたとしても、その時は回復した奴と戦えるかもしれない。
もし逃げられなかったのならば、俺があの男を楽にしてやるまでだ。
そう。自分があの男にトドメを刺す事で。

浅倉が部屋を出て、天道達が逃げたであろう方向に歩き始める。
背後からちょこちょことヴィヴィオが着いてくるこの光景にも、もう慣れた。
やがて、温泉の入口付近まで歩いた所で、先程逃げた筈の女が、ぺたんと座り込んでいるのが目に入った。
あの女はどうせ戦えるだけの力を持ってはいないだろう。
そう考えた浅倉は、座り込んだシャーリーを無視し、天道を追い掛けようとするが―――

「……貴方はこれからどうするの?」

シャーリーが、すれ違い様に浅倉に声を掛けた。
非常にウザい。鬱陶しい。
何なんだこいつはと思いつつ、浅倉は黙ってシャーリーに視線を送る。
暫くシャーリーを睨み、やがてその口を開いた。

「――戦いに行くんだよ」
「――助けに行くんだよ」

同時に、声が響いた。
浅倉の声と、ヴィヴィオの声と。
浅倉が、ヴィヴィオを見下ろす。
対するヴィヴィオも、浅倉を見上げる。
どうやらヴィヴィオは、戦うという言葉を、「天道を手当てし、一緒に敵と戦う」と解釈したらしい。
その証拠に、にっこりとほほ笑んで、浅倉の瞳を見つめていた。
なんて平和な頭をしてるんだと突っ込みたくなる程の天然な笑顔。
そんなヴィヴィオに、浅倉は小さなため息を落とした。

ずっと付き纏うヴィヴィオは、正直言ってウザかった。
役に立たないのであれば、どこかに捨ててしまおうかとも思った。
だが、今はまだその時では無い。
こんな子供を放ってはおけないような、お人よしの馬鹿が現れてくれるまで。
その時まで、浅倉はヴィヴィオを手元に置いておくつもりだ。
別に逃げられてもかまわないが、ヴィヴィオという存在は間違いなく更なる戦いの餌になる。
例えば自分の知る、「城戸真司」のような。あんな馬鹿が現れるまで、我慢しよう。
浅倉はそう思い、ヴィヴィオから視線を外した。

シャーリーの質問には答えた。
最早用は無いだろう。話はそれだけかと、浅倉が再び歩を進める。

「待って下さい」
「……今度は何だ」

しかし、再び呼び止められる。
少し苛つきながらも、浅倉が振り向くと、シャーリーはデイバッグを背負い、立ち上がっていた。
その目には、なにかを決心したような輝きを浮かべて。

「あの男を……ゼロを追い掛けるのなら、私も一緒に行きます」

シャーリーの言葉に、今度は大きなため息を零した浅倉であった。
戦える奴とはろくに出会えないというのに、女子供ばかりが付き纏って来るのは一体どういう事だと。
浅倉は、「勝手にしろ」と、小さく呟くと、再び黙って歩き出した。
と、ちょうどその時だった。
温泉の外から、大型のバイクが走り去る音が聞こえたのは。




シャーリーがゼロに刀を返した事には、二つの理由があった。
一つ目は至って簡単で、至って感情的なもの。
刀は銃などとは違い、“自分の手で相手を斬らねばならない”からだ。
優しい心の持ち主であるシャーリーには、銃ですら普通に扱う自信はないのだ。
ましてや刀なんて以ての外。持っているだけで、武器を持つという責任に押し潰されそうになる。
しかもそれがゼロの持っていた武器となれば尚更だ。
これまで何人の人間を殺してきたかも知れない武器なのだ。
そん武器を、持っているだけで心地が悪い。

二つ目の理由は、ある意味賭けだった。
あの男――浅倉は確かに言った。「どっちが俺と戦うんだ」と。
浅倉は恐らくは、自分と戦える相手を探しているのだろう。
平和な世界観で育ったシャーリーにとって、そんな野蛮な人間とは出来れば関わりたくは無かった。
だが、そんなことは言っても仕方がない。
世の中には、様々な人間がいるのだ。自分の知り合いにもスザクのような変わり者がいるのだ。
浅倉のような人間が居てもおかしくは無い。

だが、それなら自分が刀を持っていると戦闘の意思有りと判断されるのではないか?
そう思った時、シャーリーは余計に刀を持っている事に恐怖を感じた。
ならばとっととこの刀をゼロに返してしまった方がいい。
そうした方が、もしかしたら一緒にゼロを追いかけてくれるかもしれない。

――何やってるんだろう、私……

そう思わずにはいられなかった。
平和な人生を送っていた筈なのに、気付けばゼロに復讐するのが目的になっていた。
そのために、こんな野蛮な人に協力することになるなんて。
こんな野蛮で恐ろしい人と一緒に行動しなければならないなんて。
だけど、ゼロを倒せば、それも終わる。

――ルル、ゼロを倒したら、皆で一緒に帰ろうね……

シャーリーは、今も何処かにいるであろうルルーシュに誓った。
きっとそれが、自分にとっても、ルルーシュにとっても最善の道だと信じて。

シャーリーは知らない。
まさか、自分の父の命を奪ったゼロが―――全ての元凶とも言えるゼロの正体が。
自分の敬愛するルルーシュだということに。
自分がゼロだと信じて疑わない相手もまた、ルルーシュと同じ目的を胸に行動している事に。
二人の男は戦い続ける。たった一人の妹が、安心して暮らせる世界の為に。
そんな世界を創ることが――妹の幸せが、自分の幸せへと昇華すると信じて。

――一人は自らゼロという仮面を被って。
――一人はゼロという偽りの仮面を被らされて。

天道をゼロだと信じたまま、シャーリーの戦いは始まった。
ゼロを倒し、ルルーシュ達と共に元の世界に帰るために。


【1日目 早朝】
【現在地 B-7 温泉(海鳴温泉)】


【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】
【状態】健康
【装備】浴衣
【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 (一見して治療に使えそうなものはありません)
【思考】
 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。
 1.お父さんの仇を討つ為に、ゼロを追いかける
 2.今はこの人たちと一緒に行動する
 3.ルルやスバルやカレンを探す
【備考】
 ・天道のことをゼロだと思っていますが、天道の名前は知りません。
 ・ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました。
 ・ゼロに追いついた後どうするのかはまだ考えていません

【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】
【状態】右手に火傷
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品0?2
【思考】
 基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物
 1.天道を追いかけて戦う
 2.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する
 3.この二人がウザい。鬱陶しい。
【備考】
 ※自分から二人に危害を加えるつもりはありません。
 ※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです。

【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、ランダム支給品1?3
【思考】
 基本 なのはママや、六課の皆と一緒に脱出する
 1.なのはママを探す
 2.浅倉とシャーリーに着いて行く
 3.あの人(天道)のことも助けなきゃ……
【備考】
 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています
 ※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています。
 ※天道の事は怪我人として放っておけないと思っています。



天道は、カブトエクステンダーに跨がり、走り続けていた。
地図は見ていない。故に目指す場所など存在しない。
されど天道は、走り続ける。
助けを求める人を、一人でも多く、救う為に。
自分の身体も最早長続きしないであろうことは、天道にも想像がついていた。
だが、不思議と死ぬとは思えない。

おばあちゃんはこう言っていた。
“俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する”と。
天道は、幼いころからその言葉をずっと信じてきた。
だから天道は、全てを掴み続けてきた。
ある日天道は手に入れた。運命を変える、未来に繋がる力を。
それからというもの、天道は戦い続けてきたのだ。
自分の道を阻む奴らと。人々の夢や希望を踏みにじる奴らと。

だから今更天道がすることは変わらない。
未来を、明日を掴むために、天道は戦い続ける。
このロワに参加させられた人々を救い、俺は再び未来を掴み取ってみせる。
そんな思いを胸に、太陽が少しずつ昇る中、天道の戦いは始まった。
この数時間、自分が眠っている間に何人の人が犠牲になったかは解らない。
だが、それでも天道は、残った命を一つでも多く守る為、走り続ける。

――このデスゲームにおいても、自分を見失わず、運命に立ち向かう強き者を助ける為に。
――こんな馬鹿げたゲームに乗り、脅されるままに殺人を犯す、弱き者をくじく為に。

おばあちゃんの言葉を胸に、天道は走り続ける。
そんな天道が、一人ぼっちでしゃがみ込んだ少女を発見するまで、さほど時間を必要としなかった。




キャロはただ、しゃがみ込んでいた。
こんなところに居ては、また誰かに殺されるかも知れない。
解ってはいるが、何も行動する気が起こらなかった。
そんな時だった。キャロの目前に、一台の赤いバイクが停まったのは。

「貴方は……?」

脅えた表情で。震えた声で、問い掛けた。
もしも彼が殺し合いに乗っていたら―――今度こそ自分は終わりだ。
きっと今度こそ、助かりはしないだろう。
そんなキャロの不安を知ってか知らずか、男は天を指差した。
同時に、ゆっくりとではあるが、段々と昇り始めていた朝日が、男の背後に輝いた。
眩しい太陽光に、男を直視出来なくなる。
それでも、目を細めて、キャロは男を見詰めた。

「おばあちゃんが言っていた。
 俺は天の道を往き、総てを司る男―――天道、総司」

段々と目が慣れてくる。
バイクに乗り、天を指さす男の顔が、次第にはっきりと見えてくる。
そんなキャロの目により印象的に映ったのは、顔よりも胴体。
性格には、脇腹。
天道の脇腹にぐるぐると巻きつけられた包帯に、流れ出た赤い鮮血が滲んでいた。
キャロには一目で、それが明らかに命に関わる傷であろう事がわかった。
すぐに治療しなければいけない、と。咄嗟にキャロは思った。
だが、次にキャロはその衝動を抑え、逆の選択肢も考えた。
それは、このままこの男を治療していいのか、というもの。
まだこの男がゲームに乗っていないという保証は何処にも無いのだ。
もしもこの男がゲームに乗った殺人鬼なら―――。
故にキャロは、尋ねた。

「あの……天道さんは、このゲームに乗ってるんですか?」

「愚問だな。太陽に向かって何故輝くのかと聞いているような物だぞ」

キャロの質問に、天道と名乗った男は、さらっと答えた。
刹那、キャロは「え……?」と首をかしげる。
非常に解釈に困った。
太陽が輝く理由なんて、キャロには解らない。
というよりもこの男が何を言いたいのかが解らない。
天道の言葉を理解しようと、キャロが思考を巡らせていると、再び天道が口を開いた。

「……俺はゲームには乗っていない。お前こそ、こんなところで何をしているんだ」
「そ、そうですか……良かった。私の事は良いです。早くその傷を治療しないと……!」

キャロは直ぐに、立ちあがった。
同時に、足に鈍い痛みが走る。
そう。キャロも先ほど怪我を負ったのだ。
応急処置は済ませているものの、やはりまだ普通に歩くには辛いものがある。
それでもキャロは、ゆっくりとカブトエクステンダーへと歩を進めた。

――目の前に傷付いた人がいるのなら、私にはそれを助ける事くらいしか、今は出来ない。

例えギンガ達に見捨てられたとしても。
まだそうと決まった訳じゃない。
もしかしたら、何か理由があったのかも知れない。
無理やりにでもそう考えることで、気を紛らわす。

――エリオ君だって、きっと何処かで戦い続けてるんだよね

今の自分には、目の前で傷付いた男を、少しでも治療してあげる事しか出来ない。
だが同じように、エリオもきっと、今出来る事を一生懸命している筈だ。
エリオだけじゃない。なのはさんだって、ティアナさん達だって、きっと戦っている筈だ。
ならば、自分だけがしょげている場合ではない筈だ。

――エリオ君と再会して、皆と一緒に帰るまで、私は私に出来る事をする……!

優しい人を――自分に笑いかけてくれる人達を、自分の手で守りたい。
その願いの為にも、キャロは決意した。
主催側が仕組んだ運命に打ち勝つ為にも、自分に出来る事をする。
そうすることで、いつか皆で帰れると信じて。

こうして出会った二人――天道総司とキャロ・ル・ルシエ。
彼らは、一人でも多くの人を救うという、同じ目的を胸に行動を共にする。
もしかしたら再び裏切られるかも知れない。
だが、今は信じるしかないのだ。
少しでも、脱出に繋がる可能性を。

キャロは一人ではない。
自分をパートナーと言ってくれたエリオや、自分たちを鍛え上げてくれたなのは。
それから、いつも一緒に訓練していたスバルやティアナだっている。
その他にも、信頼出来る仲間達も、ここには大勢居るのだ。

天道は一人ではない。
決して仲間とは言い切れないまでも、ここには矢車という、一人の仮面ライダーがいる。
奴は“言いようもない程のバカ”だが、矢車ならば決してこんな馬鹿げたゲームに乗る事は無いだろう。
天道は知っている。矢車たちはただ少しだけ、“不器用”なのだと。
きっとこの場では心強い仲間になってくれる筈だ。

天道とキャロには、三つの共通点が存在している。

一つ目は、二人共ゲーム開始直後に眠ってしまっていた事。
それは不覚としか言いようが無い。
だが、今二人はこうして、確かな意思を持って行動している。
こんな馬鹿げた殺し合いを否定するという、強い意志をもって。
その強い決意は、二人の心に灯った炎のように。

二つ目は、天道にもキャロにも、仲間がいるという事。
信頼できる仲間が。心強い仲間が居るのだ。
今は二人きりだが、その全員と合流することが出来れば、それはきっと素晴らしいチームになるだろう。
このゲームを破壊し、皆で脱出することも、きっと不可能ではない。
その為にも、まずは仲間たちと合流する。それがきっと、脱出に繋がる大きなファクターになるのだから。
そう。天道とキャロの戦いは、ここから始まるのだ。

三つ目は、二人が“放送”の存在を忘れていたこと。
それは、6時間毎にここまでの死亡者を告げる放送。
その第一回目の放送まで、残った時間はあと少し。
それも、太陽が完全にのぼり切った今、恐らくあと数分後の出来事になるのだろう。
死亡した人々の中に、自分が知る人が入っていた時、二人はどんな表情をするのだろうか。
もしも、自分が信頼する仲間たちがそこに入っていたとしたら。
次の放送が、二人にどんな影響を及ぼすのか。
それは誰にも解らない。
ただ一つだけ、既に決められている事がある。
それは。


―――放送開始まで、残った時間はあと僅か。


【1日目 早朝】
【現在地 D-7 川の畔】

【キャロ・ル・ルシエ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
【状態】疲労(大)、魔力消費(中)、脇腹に切り傷・左太腿に貫通傷(応急処置済み)
【装備】憑神鎌(スケィス)@.hack//Lightning
【道具】支給品一式×2、『かいふく』のマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、葉巻のケース
【思考】
 基本:殺し合いを止める。殺し合いに乗っている人がいたら保護する。
 1.出来る限り天道さんを治療しなきゃ……!
 2.今は自分に出来る事をする。
 3.出来る限り天道を治療する。
 4.仲間を探し合流する。
[備考]
 ※別の世界からきている仲間がいる事に気付いていません。
 ※憑神鎌(スケィス)のプロテクトは外れておらず、待機形態のままです。


【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】
【状態】重症(特に右脇腹)
【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸、カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード
【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル
【思考】
 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。
 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。
 2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。
 3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。
 4.感謝するぞ、加賀美。
【備考】
 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。
 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。
 ※身体がいつものように動かない事を知りました。
 ※意識に反して、天道の体は既に限界が近い状態です。
 ※早急に治療をしないと死ぬ可能性が高いと思われます。



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天道総司 Next:パンドラの箱は王の手に
シャーリー・フェネット Next:混濁の純血 この身は汚れても
浅倉威 Next:混濁の純血 この身は汚れても
ヴィヴィオ Next:混濁の純血 この身は汚れても
キャロ・ル・ルシエ Next:パンドラの箱は王の手に






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