※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

Last update 2008年03月14日

夢の時間  著者:亜季


その思いと昔の恐怖がほんの短い時間、重なった。


「いつまで、ヨウコはここにいるの?」


ひっそりと静まり返った夜の寂れた駅前。

いつものように、スーパーでの仕事も終わり、
ヨウコとアサミは駐輪場から自転車を取りに向かう途中だった。


来月末には
アサミが海外へ音楽の勉強をしにいくと決めたことを
その時、初めて知った。

小学校から中学も高校も大学もずっと一緒で、
一時期、違う仕事に就いたけれど
結局、最近はお互いに同じスーパーで
うだつの上がらない顔で一緒にアルバイトしていたアサミが、だ。


毎日毎日、同じ日々が繰り返されていく。

この生活にもヨウコは慣れてしまって、
以前ほど、この生活がそれほど嫌でもなくなってきていた。


けれど、昔は、好きでもないことが毎日繰り返される生活が
すごく怖かったのだ。

それなのに、
ヨウコはアサミに「いつまでいるのか」と聞かれるまで
全く忘れてしまっていた自分が、余計に怖く感じた。


「アサミがいなくなるなんて寂しいよ・・・。」

「ヨウコだって、夢があるじゃない!」

「でも・・・。」

「でも?」

「・・・・・・。」


うまく言えない。

やりたいことはあったのに、
『夢』を声にする自信すらも今はもう出ない。


「言わないと、今夜はヨウコの家に押しかけちゃうよ?」


アサミはヨウコの両手を大事そうに包み込んだ。

ヨウコには、久しぶりに思い出した気持ちがあった。




 ・・・想いを目の前の相手に伝えたい・・・。




コメント

名前:
コメント:
| 新しいページ | 編集 | 差分 | 編集履歴 | ページ名変更 | アップロード | 検索 | ページ一覧 | タグ | RSS | ご利用ガイド | 管理者に問合せ |
|ログイン|