Last update 2008年03月14日
夢の時間 著者:亜季
その思いと昔の恐怖がほんの短い時間、重なった。
「いつまで、ヨウコはここにいるの?」
ひっそりと静まり返った夜の寂れた駅前。
いつものように、スーパーでの仕事も終わり、
ヨウコとアサミは駐輪場から自転車を取りに向かう途中だった。
ヨウコとアサミは駐輪場から自転車を取りに向かう途中だった。
来月末には
アサミが海外へ音楽の勉強をしにいくと決めたことを
その時、初めて知った。
アサミが海外へ音楽の勉強をしにいくと決めたことを
その時、初めて知った。
小学校から中学も高校も大学もずっと一緒で、
一時期、違う仕事に就いたけれど
結局、最近はお互いに同じスーパーで
うだつの上がらない顔で一緒にアルバイトしていたアサミが、だ。
一時期、違う仕事に就いたけれど
結局、最近はお互いに同じスーパーで
うだつの上がらない顔で一緒にアルバイトしていたアサミが、だ。
毎日毎日、同じ日々が繰り返されていく。
この生活にもヨウコは慣れてしまって、
以前ほど、この生活がそれほど嫌でもなくなってきていた。
以前ほど、この生活がそれほど嫌でもなくなってきていた。
けれど、昔は、好きでもないことが毎日繰り返される生活が
すごく怖かったのだ。
すごく怖かったのだ。
それなのに、
ヨウコはアサミに「いつまでいるのか」と聞かれるまで
全く忘れてしまっていた自分が、余計に怖く感じた。
ヨウコはアサミに「いつまでいるのか」と聞かれるまで
全く忘れてしまっていた自分が、余計に怖く感じた。
「アサミがいなくなるなんて寂しいよ・・・。」
「ヨウコだって、夢があるじゃない!」
「でも・・・。」
「でも?」
「・・・・・・。」
うまく言えない。
やりたいことはあったのに、
『夢』を声にする自信すらも今はもう出ない。
『夢』を声にする自信すらも今はもう出ない。
「言わないと、今夜はヨウコの家に押しかけちゃうよ?」
アサミはヨウコの両手を大事そうに包み込んだ。
ヨウコには、久しぶりに思い出した気持ちがあった。
・・・想いを目の前の相手に伝えたい・・・。