Last update 2008年03月15日
~しじま~ 著者:kazumi
静かな満足感がわいてきた。
これでもう、この人はどこにも行かない。
満足そうにほうけた顔で。あれまぁ、子供の寝顔のようだねぇ。ふふ。
そう思うと、もう愛しくて、さっき優しくなでつけた髪に両手の指を根元に入れて、またくしゃくしゃと弄ぶ。くせのある柔らかい髪のくせをして、指の先に生え際のちょいと硬い立髪のひとつひとつがざらっとあたってぞくぞくと気持ちがいい。
そう思うと、もう愛しくて、さっき優しくなでつけた髪に両手の指を根元に入れて、またくしゃくしゃと弄ぶ。くせのある柔らかい髪のくせをして、指の先に生え際のちょいと硬い立髪のひとつひとつがざらっとあたってぞくぞくと気持ちがいい。
じゅうぶんに髪の中を弄んだその指先であたしは自分の唇をなぞる。時さんの男らしい脂のにほいが唇のすきまから鼻腔にぬけてゆく。鼻で直接嗅ぐなんて野暮なことはしない。おとこの匂いは唇を通して吸い込むものだ。肺の中にいっぱいにしたなごりを鼻にわけてやればいい。あたしは時さんのにほいがこの世でいっとう艶っぽいにほいだといつも思う。
だから他の女が時さんのそばを通るだけでいやだった。
それから、唇を割って舌を入れる。
あたしの舌は、眠って動かない半開きの前歯に阻まれてその先にいけなくて、しかたなしにその歯をなぞるように舌先で時さんの口の中でひとり遊びをする。やっぱり、一人はつまんない。いくら時さんの口の中でも。
あたしの舌は、眠って動かない半開きの前歯に阻まれてその先にいけなくて、しかたなしにその歯をなぞるように舌先で時さんの口の中でひとり遊びをする。やっぱり、一人はつまんない。いくら時さんの口の中でも。
それから下唇をあたしの唇ではさむように吸ってひっぱり ぽっと離す。唇は生き物のように名残惜しそうにゆっくり元の位置にもどる。
もうすぐ、どこを触ってももどらなくなる。いまのうちの戯れをあんたは、なにやってんだいとその眠り顔の向こうで笑ってるんだろうねぇ。
雪んなかも行ったね。河も見た。崖っぷちものぞいたね。
どこ行っても見るだけでおわっちまった。(笑)寒いの、冷たいの、高いのとさ、
藪んなかで虫さされにさえ怖がるあんたが、今度ばかりはよく辛抱おしだったね。。。
どこ行っても見るだけでおわっちまった。(笑)寒いの、冷たいの、高いのとさ、
藪んなかで虫さされにさえ怖がるあんたが、今度ばかりはよく辛抱おしだったね。。。
いいこだったねぇ、時さん。
またかわいくなって、硬くなり始めた頬に、自分の頬を強く揺さぶるようになでつける。
またかわいくなって、硬くなり始めた頬に、自分の頬を強く揺さぶるようになでつける。
・・・(笑)痛いねぇ、時さん、なんでこんなに綺麗な頬にひげなんて生えちまうんだろうねぇ、男ってやだねぇ。ふふっ。
・・・ねぇ、時さん、あんたは涙なんか流さないんでしょうね。
・・・あたしが代わりに泣いたげる。
・・・あたしが代わりに泣いたげる。
あたしたち、ふたりっきりだ。心底、ふたりっきりになれた晩だよ。
そろそろ寒いかい?
あんたの好きな紅の色、ふとんがわりに体中にかけてあげるよ、あったかいわたしの身体から、あったかい紅を、すきまなく あんたに。
ふたりっきりだねぇ、、、時さん、、、、、気持ちいいねぇ、、、、
風の音が ・・・・聞こえ・・・る・・ね・・・・・・。