Last update 2007年10月07日
タイトルなし 著者:亜季
「さっき、そこで見つけたんだけど、トイレットペーパーで……」
朝子がそう言いかけたとき、ドアのチャイムがなった。
僕は、その言葉が妙に気になったけれど、ひとまず朝子を待たせて玄関へ出た。
僕は、その言葉が妙に気になったけれど、ひとまず朝子を待たせて玄関へ出た。
「・・・あれ?」
なぜか玄関には誰もいなくて、ピンポンダッシュされたかと思って、
僕はイラッときて思いっきり玄関ドアを蹴飛ばした。
僕はイラッときて思いっきり玄関ドアを蹴飛ばした。
「・・・あの・・・」
「・・・え?」
「・・・え?」
その瞬間、誰もいないはずの玄関から小さな女の子の声がして僕は思わずドキッとして振り返ると
ビクビク怖がった顔の、背中に羽の生えた小さい『人形』がプカプカ空を浮いていた。
ビクビク怖がった顔の、背中に羽の生えた小さい『人形』がプカプカ空を浮いていた。
僕は絶句した。
「あー!トイレットペーパーで遊んでた子と似てるっ!!」
いつの間にか僕の背中から、朝子がひょこっと顔を出している。
「あの・・・うちの子がお邪魔してませんか?」
「・・・トイレットペーパーで遊んでた子??」
「あ!その子です!」
「うちのトイレのトイレットペーパーで遊んでる最中みたいなんですが・・・」
「・・・トイレットペーパーで遊んでた子??」
「あ!その子です!」
「うちのトイレのトイレットペーパーで遊んでる最中みたいなんですが・・・」
朝子は僕の動揺をよそに、その空とぶ人形と話している。
その話を聞いていて、僕はこれは夢なんだと自分に言いきかせた。
その話を聞いていて、僕はこれは夢なんだと自分に言いきかせた。
そして僕も朝子と人形の話に加わった。
「うちの子・・・妖精界の建築学の授業にかなり感化されたようで、
『トイレットペーパーでお城を創る!』って言ってきかないんです。」
「え?・・・トイレットペーパーで家が創れるの?」
「いえ、トイレットペーパーは柔らかすぎるから無理よって言ってるんですけど・・・。」
「何なら創れるんですか?」
「基本的に厚みが1mm以上ある葉っぱなんです。」
「・・・可愛い~!」
『トイレットペーパーでお城を創る!』って言ってきかないんです。」
「え?・・・トイレットペーパーで家が創れるの?」
「いえ、トイレットペーパーは柔らかすぎるから無理よって言ってるんですけど・・・。」
「何なら創れるんですか?」
「基本的に厚みが1mm以上ある葉っぱなんです。」
「・・・可愛い~!」
朝子がはしゃいでる横で、僕も葉っぱでできた小さな家を想像してみる。
この小さな人形たちが暮らしているんだろうけれど、
僕の凝り固まった思考力では、葉っぱから虫が顔を出すところしかイメージできない。
この小さな人形たちが暮らしているんだろうけれど、
僕の凝り固まった思考力では、葉っぱから虫が顔を出すところしかイメージできない。
そこへ、トイレットペーパーで遊んでたらしい、もうひとつの小さな人形が顔を出した。
「母さんたちの考えは古いよ!!
トイレットペーパーだって葉っぱのデンプン糊で接着して
1mm以上の厚みにすれば必ず家は建ててるハズなんだ!」
「・・・どうせデンプン糊でも葉っぱを使うなら、そのまま葉っぱを使えばいいんじゃ?」
トイレットペーパーだって葉っぱのデンプン糊で接着して
1mm以上の厚みにすれば必ず家は建ててるハズなんだ!」
「・・・どうせデンプン糊でも葉っぱを使うなら、そのまま葉っぱを使えばいいんじゃ?」
僕は思わず口を挟む。
「兄ちゃんは人間だから、妖精の環境問題を分かってないんだよ!」
「・・・環境問題?」
「1mm以上の葉っぱはもう資源が底をつきそうになってるんだ。
僕の理論でトイレットペーパーの家ができるようになればそれを解決できるんだ!
僕が絶対、何百年かけても妖精界の建築の歴史を変えてみせる!!
だから今、トイレットペーパーの研究中なんだよ!」
「・・・環境問題?」
「1mm以上の葉っぱはもう資源が底をつきそうになってるんだ。
僕の理論でトイレットペーパーの家ができるようになればそれを解決できるんだ!
僕が絶対、何百年かけても妖精界の建築の歴史を変えてみせる!!
だから今、トイレットペーパーの研究中なんだよ!」
僕は思う。
「えらく遠大な計画だな、おい」