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Last update 2007年10月07日

タイトルなし 著者:おデブちゃん


「女性にぶたれるなんて、男冥利につくと思うけどなァ。俺」


そう受話器の向こうから聞こえる声は、相場 拓弥、18歳。高校3年。
小学の物心がついた時から中学高校と、制服と私服を着分けることができ、相場は私服で茶髪とあのブランドのBlack flysのサングラスと格好つけたりしたりと、 いつの間にかそれが定番となっていた。

だが、高校1年の夏休みが終わってからサングラスをしなくなった。理由は「もう似合わない」という一言だった。けしてそんな事はなかった。ずっとつけていたので、逆に違和感に感じていた。

相場は、身長は165センチ。中肉中背。
髪はショート。ややつり目で、それがまたサングラスとそれがよかった。
唇が薄く、男に使うのは変だと河口は思っていたがクラスの女子は、よく「美」と 「少年」をいっしょにつけていた。

そんな奴の性格は、昔から少し考えが大人っぽくも、冗談や人をからかう事がすきで、プラス思考、‥容姿だけでみられると子供っぽさがまだまだ残っていた。それをしっていてなのかよく笑い方は、子供のように笑っていた。

そんなところで、クラスの女子どころか男子にも人気で。
恋に関しては大人の女性にモテていたが、ずっと付き合っている彼女がいたので断り続けている、また頑固で一筋な男だった。


「それに、女の気持ちが分かってない。」


「ハァ!!?お前、2・3人しかつきあった事ねーじゃん!」
素早くツッコミ返しそれに相場は笑って、河口も笑った。



河口 三蔵、18歳。
身長は175センチ。中肉中背より少しは筋肉がついているが、今年にはいって試験や就職活動にはなんら役にもたたず、制服をきていても、だらしがなくともみえていた。

髪は少し長めで寝癖がよくついており、やや猫背、タレ目でますます「寝起き状態」が近づく。
大雑把な性格や容姿に輪をかけ、それが女性には母性本能が擽り、少しは相場とはまた違う形でモテていたが長くは続くことなくも、、本人は鈍感な上、「なんでもこい」「去るものは追わず」気にもしないその点では、最低男だった。


まるで逆な二人だが、幼い頃から何故か二人は幼馴染に腐れ縁だった。
腐れ縁としても、幼稚園と高校まで一緒だったが河口達の高校は1年ごとにクラス替えがありも2年までは一緒だったが、高校3年の時、初めて相場と河口は違うクラスになった。




「それでもお前のことをみているヤツが可哀想だろ。気づかないのかー」
受話器の向こうの相場は溜息交じりでまだ続けた。


「そうなんだよ!毒舌女にはぶたれるはロクなコトがない‥っ
絶対、限定!美人なお姉さまにストーカーされてる!そう思うと、この頃夜の道がこわくてよーーーー」
河口もあえて切羽詰ったように演じた冗談をいう。

「アハハ、いつかタコ殴りされるぞ!」

「おいおい、お前誰かに似てきたぞ‥」河口は息を深く吐きながら言葉をかえした。


また受話器から聞こえる子供のようにニシシと笑う相場の声をきいて、姿までが思い浮かび河口は自然に参った顔をしながら笑った。


「まー、俺の方はどうともなるとして…麻衣子ちゃんの方は、どうなんだヨ。」


「……‥ああ」

河口は受話器の方により耳を傾けた。
少し声の落ちたトーン…『あれ?』と感じていた。その声は先ほどの楽しげなものではなく急に落ちたからのであったのだ。

麻衣子というのは、高木 麻衣子。18歳。髪はロングストレート、綺麗という美人さん。
相場とは中学生の当時から付き合い、高校は別々となってしまったが、変わらずもずっと付き合っていた二人であった。
性格は明るく、誰にも接する非の打ち所のない彼女であったと、‥少なくとも周りにはそうみえていた。

河口は美人だと思うが、どこか相場と似ていて結構好感触をもっていた。



そして今が一番忙しい、いやクラスのほとんどが進路や就職など決まっているこの時期で・・・・

まだ進路が決まらない俺はかなり忙しかったが、相場はすでに進路が決まっており大学へと進学するらしくも、河口とは頭のデキも違いもあり、クラスもちがうも俺とはすれ違いになっていた‥が、変わらずもこうして高校生活が終わろうと忙しい時期であってもこうやって小一時間ほどだが、携帯で話していたので「いつもといっしょ」だった。




「俺、フラれちゃったんだー。」



「!」

思いがけない言葉に河口は素で驚く。
「…マジ?」あえて語尾をあげるようにもっていったが、驚きすぎで声が通常の大きさがでなかった。

相場は話しを続けていた。
「あのな、サン‥…、俺は」よく聞こえるように受話器から耳をよりくっつけた。
が、その沈黙が突然、かき消されるように受話器の向こうで鼻で笑う声が聞こえた。


「まーそれはもういいンだーなんとかなンだろ」と付けたし

「っおいおい。ホントかよー。おまえ‥」
河口が声をかき消すように相場はずっと笑いながら、話しを変えた。


「そうそう、俺1週間後誕生日なんだよねー~麻衣子とは別れちゃったし」
そんな口調に相場は彼女との間に色々あるのだろうと思い、「わかったよ。」と、励ますため承諾した。



「じゃあ、またな。」


「ああ」






それから1週間後


約束したその日は、すでに夕方になっていた。が、どんなにバイトや補習などで、忙しくて逢おうと河口は相場のいる古いアパートに向かった。失恋とした相場を大笑いして励ましてやろうという試みだった。


二階の一番奥、階段をあがり廊下をすすむ。
その部屋は…カーテンをあければ日がよくあたり、窓をあければ風も通り抜けるいい部屋だった。

二人とも幼い頃は、よくそこで秘密基地としてよく遊んでいたが、高校にあがると相場は、そこに住むようになっていた。いや、一度学校から、両親が住んでいるとしている家に向かうと、「自分が帰ったというボードにマークを記入して、後は外にでていこうが、なんだろうが、警察に迷惑だけはかからなかったらい い」と、それをきいた時は中学2年。

相場の両親は二人とも仕事を持ち、夜でも朝でも家にあまりいることはなかった。
河口は、それ以上何も聞くことも言うこともしなかった。



河口はノックしながら声をだす。

「おーい、俺だ。~つか、てめーなんで携帯にでないんだよ!」

あれから携帯は繋がらなかった。
そして今も、人の気配はあっても、でてくる気配はない。暫く静かな室内の中から、音がする。

「?おい??どうかしたのか‥?」
何か足が妙にぐらつく。変な感じを憶えた。
鍵をかけたまま、ドアを開けず室内から相場は言葉を発す。






「‥…もう、俺は、しぬよ。」





その言葉に河口は「ハァ?」という言葉で不機嫌を態度を表す。
ドアから聞こえる声は本当にかぼそく、痛々しいほど静かだった。だが、河口はそれには退くことはなかった。


「オイ、玄関から離れとけよ」


そういうと河口は、くるりと後を向き長い廊下を歩いていくと階段に行く前で止まり、そこから相場の部屋めがけて一気に走っていく。ギュンギュンと風の音が耳にぶつかり風の音が聞こえる。が、構わず足を前へ前へと勢いをつけ、ドアを蹴りとばした。

蹴ったドアは力とスピードに圧され前のりになり大きく鈍い音で、金具も外れ室内へとドアは見事にはずれた。

築年ン十年の古いドアといえど、河口の体や膝がガクガクと、無論、体にも負担はかかったことはいうまでもない。
そして室内にいる相場には奇跡的にもドアには当たらなく、内心ホッとするが、顔にはださなかった。
相場はさすがに目をむいてこちらの方をみていた。
河口は相場に近づき、握りこぶしに自然となっている、もっていた袋はすでにぐちゃぐちゃに。それにあまりにも力をいれすぎで血管が浮きでて腕が震える。

が、やはり河口は冷静な顔をしていた。




「つまんねー事いうな。」





そういうと、くるりと後をむき部屋をでていった。
相場はそこでもう一言を開くことはしなかった。

だが相場は河口の気持ちが痛く感じていたが、そのことに対して、益々相場は自分のことしか考えられなく、まさに迫ってくるものに吐き気どころか、気がおかしくなりそうにもなったいた。
また自分が居た堪れなくなりもドアが壊れても風もなく光りもない、あの以前の部屋の面影すらないその部屋の隅で小さくなって俯いていた。


河口は何も言う事はなく階段をおりていったが、暫く相場が降りてくるのを下でまっていた。もしかしたら、自分の後を怒りながら追って、殴るか何か反応を得れるかと思っていたのだ。
だが、いくらまっても夕日が落ちて影がなくなっても全く音すらもしなかった事に再び腹立たしく、袋を地面に叩き落した。





次の日、朝から相場のクラスへ行ったが、姿が見当たらなかったのですぐに戻っていった。
河口は家に帰る気持ちもなく、ただ教室で夕日が照らし出す光りと影の美しいコラボしている景色を見入る。といっても、そんな教室も河口にとっては、ただただ眩しく目がシバシバするだけでもあった。

それでいて、内心落ち着かなかった。何故相場は、あんな事をいったのかと…。
それに河口も少し怒りすぎたと後悔もしていた。


以前の荒れていた‥中学時代に相場でも、そんな事をいうことはなかったからだった。
誰でもそういう時はある。あるが、「死ぬ」など声にだす奴ではなかったのだ。
そう、河口は相場が「女」の事で、落ち込んでいると決め付けていた。
          • 両親のことなどは、もうすでに『諦めていた』のだから。


「よし、久しぶりに合コンを開いて誘ってやろう。」
呟いて河口は携帯をだすが、するりと自分の手から携帯がぬけだす。
‥河口の携帯をとりあげたのはクラス一の毒舌女だった。

「そんな事してていいのォ?
また面接落ちたんでしょォー?女の子のとこに電話するよりも、そっちに電話したら?」

アハハと笑う幼い顔が実に腹立たしい。
佐倉 碧子18歳。ポニーティル。
佐倉も河口達と、中学の頃からといっしょだがクラスはバラバラであっても、性格上、違うクラスでもどこでも溶け込む能力があり誰でも馴れ馴れしくも、そして何かとつっかかる幼い顔と裏腹に正直というよりも容赦ない言葉を浴びせる毒舌女だった。

1度、河口が別の女の事でもめ、横からしゃしゃり出て河口をぶったのはこの佐倉だった。河口は、佐倉を女というよりも普通に男しても扱える女として接している女だった。


「うっせー、ブース!」
携帯を奪い返す河口。その単純な悪口に顔を歪める佐倉。


「な、んですってー!小学生か、ガーキ!ガーキ!」
ヒステリックに怒る姿に、同じように呼吸に連呼して声をだす佐倉。

佐倉が言葉を出そうとしたとき、その言葉を止めたのはストレートのロングヘアーの女性だった。


「河口くん。」

彼女の声をきいて河口はその声の持ち主は誰かとはわかっていた。

「久しぶりー麻衣子ちゃん。やっぱりきたんだね~。」
佐倉とは中学と同級生なのでしっていてあたりまえだが、『やっぱり』という言葉に、疑問を浮かべた。いや、もしかしたら、バツの悪い顔を河口はした。
彼女は、相場の…「元」彼女だからだ。あんな事があって彼女はもしかしたら、しっているかと思ったからだった。
それに、昨日の今日ですでに仲直りしているかもしれない。




「あー、悪いけど、あれは悪いと思っているが、あいつがあんな事を言うとは思っても…」


とりあいず、後はモゴモゴと口の中で時間をすまそうと、そんなイイワケな事はできないと河口もわかっていたが何もそれ以上いえなかった。



だが河口がその事を高木が知ったことにより、事態は大きく変わった。


「‥拓弥君にあったの?――どこにいたの!!?」

彼女は、河口に相場の居場所を教えてもらうために声を掛けたのだった。
だが、河口には何をいっているのかは全くわからなかった。
「??どういうこと‥?」
息もせぬ聞いてくる高木は、河口の間の抜けた声により反応して、問い詰める。
河口は何の事か状況も掴めなくしばらくその綺麗な顔をみていたが、佐倉は河口が見とれていることに気づき、横から声をいれた。


「もーサンちゃんしらないの!たーくん、行方不明なんだよ。」

河口はその声に佐倉の顔をみて片眉をさげ「ハァ?」と口をあけて佐倉と高木の顔を何度もみる。やっと、その事態を飲み込むと、みるみるうちに河口の顔の表情をかえていった。


「で!もよ、、昨日‥俺相場の家にいったんだぜ。」

「!?え、‥そんなわけないわよ。
拓弥のお母さんもお父さんもいないって大変な事になってるんだから!」


そうだった。………河口は、口を紡いだ。
相場は小学当時から、「あの」秘密基地は誰にもしらせなかったのだ。

『…それにしても麻衣子ちゃんにも教えていなかったのかよ。』
口の中で呟いた後、少し険しい顔にまた心配相は隠せなかった。あの「声」をきいてしまっては。

少し考えて口を開いた。
「麻衣子ちゃんは、あいつを振ったのじゃないのか……?…」

高木は言った相手をみつめる、「ううん‥拓也から、別れを切り出されたんだよ。」


相場がいった事は嘘だった。高木は続ける


「突然、3週間前、電話で別れてほしい。っていわれて。
私、…それで、家に電話したりしたけど留守で、家に直接行ってみたけど、家出みたいな話しをきいて、それに!・・・携帯の方にかけてみたりしたんだけど、それも拒否られたりと色々して、・・・せめて理由をききたくて、学校の方にきいたら、3週間前から出席していないって。
それで、今日河口くんをなんとか捕まえられたんだけど・・・。」


「!!?」
河口は色んな事に驚きを隠せなかった。

それに3週間前も相学校すら場はきていなかったことに。この忙しい時期に3週間も!?!確かに相場は河口とはちがい進路も決まっている…が、 全く休まなかったいやサボらなかった相場が、別に休んでも単位にはひとつも影響はしないが、相場の性格を考えてそれはなかった。

相場に何かあったとしか思えない状況…
河口は気づかなかった。相場をみていなく会えなかった日々は多い。


河口はますます、青ざめる。

だが、携帯では毎日といって程少なくとも、しゃべっていた。
彼女とも、連絡つかないといっていた3週間前からもだ。河口は考える。

その時いつもと違う声じゃなかったか、いつもの調子ではなかったのか。河口の頭をぐるぐると悪質な考えに、自分の思考を追い討つ。‥それも、誕生日前に、相場の彼女の事を話題にも触れといて…!?
その時の相場は、あやふやにそれも少し様子がちがったあの会話で大丈夫と高を括ったことに。
…異常な喉の渇きと、額から異常な汗が流れる。


河口は、昨日の部屋の前へといつの間にか立っていた。
室内には、ドアは蹴り上げた同じ位置にある。


「うわ‥凄っ、何これ。一体、誰がこんな事したの?」
走ったのは河口の後に息を切らして、二人ともついてきていたのだった。
佐倉の言葉に河口は気持ちはますます揺れる。

「・・・・・」
ドアの損傷をみて高木は青ざめ本気で怖がっていた。だが、相場の事をおもうと怖さよりも足が先に動き狭い部屋の中を相場を探した。




誰もいなかった。






「・・・・・・・・・・」

高木はいつまでも探す、何か手がかりがないかと。
河口はもう部屋をみることも、口にすることもなかった。人の気配すらなかったからだ。
佐倉は高木をみていると、目頭が熱くなってそこにいられなく先に部屋を後にする・・・・・・・



明日になると、学校側からリュウガクと通達があり、卒業式の日だけは来るとしらされた。











そして、卒業式が終わった。










リュウガクした、相場は卒業式にも河口にも顔をだすことはなかった。

「サンちゃー・・・・ん」


「‥。」

相場が音沙汰なしに河口の前からきえてから、河口はあまり話すことが億劫になっていた。卒業証書の筒をもつ歩く姿に、佐倉は河口に声をかけた。「なんだ‥」と素っ気無い返事を返す。
「よかったねー。就職に卒業もできてー。できないようじゃニートだもんねー~」
今の河口に声をかけようとする佐倉はやはり毒舌だった。

「‥頭のあるヤツはいいよな。ダイガクや、リューガクにいけるんだしよ。」
河口の言葉に佐倉は押し黙る。


「じゃあな」

河口は黙る佐倉の返す言葉なく歩き出そうとした時に聞き覚えのある声をきく。


もう外は、秋と冬が混じっていた。
風で枯れ葉が動き、一息吐くと息は少し白く、空をみては、雲がゆっくり流れていく。
河口の心をより沁みこむのを感じた。



「相変わらず、女の気持ちが分かってないんだな。」



その声に耳を疑うことなく、聞こえた相手の方へとまっずぐ二人はみつめた。
          • 卒業証書と、ひとつの棒をもってたっていた。


相場だった。


河口から、鼻で笑う。
「あ?リューガクしてたんじゃないのか?」

つれない相手の言葉に、歯をみせ笑う
「そっけねー言い草だな~」

「あれれ~?卒業証書もってるー、卒業式にでなくても卒業証書もらえるんのー。」


佐倉が気づき声にする。

その言葉をきいて嫌々な顔で佐倉の方をみて
「うわぁーーみないうちに、お似合いのカップルになったのかー。毒舌カップルによ。
ったく、卒業式に間に合うように学校側には頼んどいたんだよ。
飛行機時間が、間に合わなかったみたいでね。コレだけ今、受け取ってきたの。」


佐倉は、相場が戻ってき一安心と、それに“お似合い”と言われ照れた様子をみせるが、河口は佐倉の頬に、まるでお前は邪魔かのようにおされ抑えられる。
が、なんの事ない佐倉は、「イタイ~ーー」と声を冗談めげ声をだし一歩下がる。

河口は相場に真剣に言う。


「謝らねーぜ。だけど、声ぐらいかけろよ。いくら鈍感だって気づくツーの」
いつもに変わらない河口の態度に、


「いいよ、別に。
そんな事されたら気持ち悪いし」

やはり、歯をみせて笑う姿は1つ上になった19歳とはいえない変わらない笑顔だった。


河口はそんな相場と話すと、心から休まる感覚を再度感じた。昔から変わらない …どんな事があっても、心は変わることもなく、こいつと一生親友になれてよかったと。




「拓也!」





まだ厄介なのにみつかったと‥といわんばかりに、相場は肩を揺らした。

「おおう、麻衣子かー久しぶりー~」笑って高木の方へと向く。

「久しぶりじゃないわよ!」
声をあげながら相場へとズカズカと近づいていく。

「そうだ。お前、麻衣子ちゃんにも言わないで、フッたとかきいたぞ!
‥もったいなハナシだな~
まー俺が貰ってもいいつーなら、アレだけど?」
しれと河口は口にするが、高木の方は怒りを隠さないまま、相場の方に詰め寄る。


「なんで、言わなかったのよ!」


「え?俺シカト?」
河口をすりぬけ相場に詰め寄った高木は、怒りにぶつけた。
佐倉はそんな河口をみてプッと吹き出し笑った。

「皆にも心配かけてどこいってたのよ!!私!‥私も、本当に今の今まで心配だったのよっ……」
言葉のはじめは勢いははじめにあったものの、直接相場の顔をみると安心して涙がでてきそうだったが、袖でふき取った顔は喧嘩しそうなギラギラした表情だった。
高木は、更に眼に力をいれ相場に言った。





「私といっしょになってよ。」




相場‥、河口さえも驚いた様子だった。



「いっしょになるって事は、結婚ってこと?
麻衣子ちゃん、おめでとう。」


普通のように声をだしたのは、佐倉だった。
しれっという佐倉は、いや女は強いというか相手の返事もなく、
答える相手が『イエス』『ノウ』という前に、世の中、佐倉ぐらい早い気持ちで祝ったヤツはないだろう。
その場にいる男は「それはないだろう」いっきに批難をあびているだろう。

それも
それは、『イエス』ではない答えだからだ。



「いやだよ。」
相場は変わらないその調子で声にした。続けて「どうして?」と、高木は息もなく問う。


「どうして??分からないのか?」やや眉を潜める。


「分からないわ。」







わかっていた。











とめることはできない。

相場は誰よりも、頑固でそれでいて、・・・一途だ。







「できないんだ。みればわかるだろう。」




「わからないわ。」







煩いぐらい静けさが響いていた。
が、先に喧嘩‥いや、手をださんばかりの勢いだったのは、佐倉だった。



「あーほんと、だめだよねー」




相場はそちらに顔をむけ、静かに耳を傾ける。
「こーんなに美形なのに、行方不明になって人には迷惑かけるし、その上ムカツクぐらい頭もキレる。
そりゃ、サンちゃん、怒ってドアを蹴り破るよねーアハハ」


「!…・・・お前っ」

佐倉は人を馬鹿にした笑いをしながら続ける。

「その位わかるよ。サンちゃんが怒るンだから、よっぽどだって事をね。
何かあったか分からないけど、何か酷い事しない限り、男にも女にもそういう事しないことは私だってしってるよ!
それにさ、あんなに嫌がらなくたっていいじゃん。サングラスに似合っていたのに。

突然、かけなくなっちゃって!
『なんで?』~ってきいたら、似合わなくなったってっ。あはは!それってただの偽善者じゃん!それはその人たちの冒涜じゃないの!ただちょっと、みえっ・・・・」




佐倉の頬に、鈍い音が廊下に響く

「だまれ!!」

河口は、佐倉に手をあげていた。女にはけしてあげたことのない河口が「怒り」と「痛み」だった。

「そうだ。お前がいったとおり、俺が怒るってことは、よっぽどって事は分かってるってことだよな‥…お前は、人の痛みを少しでも想像することもできないのか!!」

「できてるよ!!
できているけど、たーくんの気持ちより、私は、麻衣子ちゃんは凄く分かるよ!
分かってるからこそ言ってるんだよ!
たーくん全然わかってない!!二人とも、女の気持ち分かってないじゃん!!」

途中から、、佐倉の声にもう河口も何も言えることがなかった。
いつの間にか佐倉は泣いていたからだった。



高木はその中、相場を見つめたまま片時も外すことはなかった。

「ありがとう。藍子ちゃん私、勇気でた。」
力む笑顔の下には、決意と確信をもっていた。


「…私と、いっしょになってくれるまで待つ。」



高木の表情はさっきよりも。
もっと鮮明に、ここにいる誰よりも澄んでいた。



一途さは相場と同じ‥、頑固さも同じ
河口は、それで理解した。



相場は、口許を引き締める。

「そこまでいうんだから、待っててもらおうかな?」


相場は凛々しい表情になっていた。
そして、高木は、当たり前的な顔をして、「ウム」と一言述べて、
美人というより、素敵な人へと移り変わっていた。


「それに女の気持ちも分かっていないヤツと同じだといわれちゃったらね。」


「ね?藍子ちゃん」


語りかけるように相場は佐倉に言い、高木も綴って苦笑をする。

佐倉は少し頬を赤めそれを隠そうかとするように、
「さ、さすがー、どっかのバカと大違いだよ!」さっきの態度とは違い、佐倉は、盛り上げはじめる。

「・・・・、バカって俺のコトか?」


「たーくんは、なんたってあの有名大学校を一発合格で入れて、それなのに嫌味もないし、女の子には優しいし、誰かさんとちがって気はついてくれるし女の子に手だってあげないし‥」

クドクド言う女に、どうやら河口自身がバカにされている事がわかった。


「あ、やっぱり男も女も心の広さで決まるんだよねー。やっぱり一途ってヤツ?」

毒舌女の話しはとどまることはなく、「あ、そだそだ!」思い出したかのよう、佐倉は鞄からとりだし、相場に近づきみせる

「これプレゼントー。結婚祝いだよ。」

佐倉はあの時部屋にいったときのものをとりだし相場にかけたのだった。
「てっ!それ俺が用意してたヤツ・・・なんでとってんだよ!」

「少しこわれてるし、捨ててあると思って」

「捨ててねーよ!それに相場は待つとかいったんだぞ、気が早いつーの!」
「まぁいーじゃん!」

佐倉はそう言い、相場もつられて口にする。



「しかし、全く俺らは成長しないよな~」

相場はニシシと笑い、
それをみた河口は、自然と顔が緩む。


何も変わることもない何かを増えても、失っても‥
眼がみえなくても・いなくとも、



きっと何も変わらない。

 ・・・そこには、いつもの日常がある。








佐倉は笑いかける。



「これでいつもと同じだね。


サングラス男だから、サンちゃん」





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