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割れた砂時計

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匿名ユーザー

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 毎日穏やかで、世界は平和で、彼女が呼ぶ優しい声に癒される。
 潮騒はささくれ立った心を撫でてくれて、少しずつ震えが止まっていくのが分かるんだ。
 砂浜には子供達の声が聞こえて、僕を砂浜に引っ張りだそうと今日も奮闘している。
 両親がいないくて、帰る所のない子供達なのに毎日とっても楽しそうだから今がひどい戦争があったなんてとても思えない。

 もう少しこのまま、この優しい世界に居させて。

 彼女の美しい声と慈しむ微笑が好きなんだ。
 子供達の声を聞くと安心するんだ。
 世界は平和になったんだ。
 あれだけつらい思いをしたんだ。

 ほら、ちゃんと元通り、何も変わらない。

 両親がいて、好きな子がいる。
 子供達が楽しそうに遊んでいる。
 空を飛び回るトリィがいる。

 あれ、トリィは誰から貰ったんだっけ?
 そう言えば、僕が守った友達って誰だっけ?

 気がついたら誰も見つからないんだ。 
 僕の後ろにも、僕の前にも。
 ただ、隣に立つ彼女がいるだけで・・・

 ・・・僕の友達はどこ?




 ねえ、みんな、どこに行ったの?

 ねえ、会いに来てよ。



 可哀想な箱庭の英雄。
 そこは優しいものだけで作られた幻想世界。

 幻だけを見て、本当は誰一人救えない。


 それとも。




 救う気などないから、幻に浸るのか。




 そうだよ。









カテゴリ: [ネタの種] - &trackback() - 2006年03月10日 20:56:40

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