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王の財宝 ~カテゴリーK~ ◆7pf62HiyTE




Chapter.03 カテゴリーK

ルルーシュはカードを探す傍ら他に使えそうな物を探していた。しかしめぼしい物は何も見つかっていない。だが、その事についてはさして気にしていなかった。
何故ならデュエルアカデミアの売店はカードが売られているという点を除けば学校の売店と大差はない。カードや食料が無ければそこで手に入る物などたかが知れているのは明白だ。
更に、ルルーシュは既に病院で大量の物資を確保している。さしあたりここで物資を新たに確保する必要性は少ない。

(あまり長居をする必要は無さそうだな)

と、早々に売店内の探索を切り上げようと考えるルルーシュだった。と、横にいるこなたが自分のデイパックを探っているのを見る。

「何をしているんだ?」
「いや、確かレイが持っているカードあたしも持っていた様な気がしたんだよね……どこだったかな……」
「ちゃんと確認ぐらいしろよ」
「いや、確認はしたんだけどさ、その途中でいきなり赤いコートの人に襲われてさ」
「赤いコートの男?」

ルルーシュはこなたを襲ったという赤いコートの男の事が気になった。

「うん、『ヒューマン』とか『闘争だ!』とか言った危ない人」
「そいつは間違いなく殺し合いに乗っているな……待て、そいつは人間じゃないのか?」
「多分ね、頭にナイフが刺さってもすぐに治ったし」
(C.C.の様な奴がいるということか……)

ルルーシュは赤いコートの男に対して警戒をする事にした。

「でさ、そこにスバルが助けに来てくれたんだ。スバルがいなかったらきっとあの場で殺されていたと思うよ」
「そうか、スバルが……」

ルルーシュはその答えを聞いて納得した。スバルの性格上、襲われている人がいれば助けに行くのは当然だからだ。
同時に、スバルの性格上まず赤いコートを殺したというのもまず無いとだろうというのも推測出来た。
何はともあれ2人、特にスバルが無事であった事にルルーシュは安堵した。

「それで、そいつの名前は?」
「ごめん聞いてないや」

聞いていない事は痛かったが、ルルーシュも病院で遭遇した金髪の男の名前を知らなかった事もあり、そこについては深く気にしない事にした。
何はともあれ後でスバル達と情報交換すればいいだろうとルルーシュは思った。

「後でもう少し詳しい話を聞かせてくれ」
「うん……ん?」

と、こなたが1枚のカードを出した。だが、それはデュエルモンスターズのカードでもレイの持っていたフリーズベントの類とも違う種類のカードだった。ルルーシュもそのカードを見る。

「レイの持っていたカードとは違う様だな」
「そうだね」

カードにはクラブのマークが入った蜘蛛が描かれており、角にはクラブのマークと『K』が描かれ横には『EVOLUTION』と書かれていた。

「私も知らないカードゲームがここにもあったとは……」
「待てこなた、お前は今これを初めて見たのか?」
「うん」
「いや、確かお前が赤いコートの男に襲われたのはここに来てすぐだよな、今までずっと確認していなかったのか?俺の手当てする時とか他にも確かめる機会はあっただろう」
「その時はルルーシュの手当てに使える道具を探すのに夢中だったからそこまで気が付かなかった」
「言っている事はわかるがもう少しちゃんと確認しろよ……」

ルルーシュは今頃支給品を再確認するこなたに若干呆れ気味だった。しかし、こなたが戦争や戦いとは無縁の一般人だという事を考えるとそれも仕方がないとも思っていた。
ルルーシュの手当をする時にしても、スバルはともかくこなたが冷静に支給品を確認して対処するのは難しいのは明白だ。普通の怪我ならともかく右腕喪失する程の重傷、パニックに陥ったっておかしくはない。。
そう考えたルルーシュの脳裏にはこなた同様一般人なのにこの殺し合いに巻き込まれている友人だった人物が浮かんだのだ。

(シャーリー……)

ルルーシュはシャーリーの身を案じた。シャーリーの視点から考えれば知り合いはカレン、スバル、ルルーシュしかいない。
いや、自分にいたっては単純に知っているだけだろう。何故なら自分の記憶はルルーシュ自身が消したのだから。
そしてカレンが死んだとなると仲間はスバルだけだが、そのスバルは今現在ルルーシュの近くにいる。そう、シャーリーは孤立無援という事になるのだ。
その状況で普通の学生でしかないシャーリーに生き残る為に冷静な行動を取れというのは無茶というものだろう。
放送で呼ばれなかった事から今現在は無事だろうが、どうなっているかはわからない。今現在パニックに陥っている可能性だってある。

(考えたくはないが、シャーリーが誰かを殺したという可能性もあり得なくはないな……だが、そうなると……)

シャーリーがパニックに陥り他の参加者を殺したという可能性は十分にある。
かつてシャーリーは自身の父の敵であるゼロを殺そうとした事がある。だが、その時にシャーリーはゼロがルルーシュである事を知ったのだ。
そしてシャーリーは引き金を引いた……だが、その相手はルルーシュではない。実はもう1人いたのだ、その時にゼロ=ルルーシュである事を知った人物が、シャーリーはその人物を撃ったのだ。
父の死、ゼロ=ルルーシュを知った事、自分自身が人を殺した(シャーリーもルルーシュも知らないがその人物は生存していたが)という現実等がシャーリーの精神を追いつめていった。
その彼女に対しルルーシュが取った行動こそがルルーシュの記憶を全て消した事だったのだ。
この場に置いても同じ事が起こる可能性は十分にある。しかし、

(シャーリーにはもうギアスは使えない……いや)

ここで、ルルーシュは別の可能性を考える。それはシャーリーが別の並行世界から連れて来られているというものだ。確かにそれならばルルーシュの知るシャーリーと状況は変わる可能性はある。だが、

(そこまで都合良くはいかないか……)

その可能性は頭に置くものの根本的に変わらない以上、ルルーシュにとって都合の良い状況にはならないと考え、ギアスが使える可能性がある程度に留める事にした。

(現状では無事を願う事しかできないか……考えねばならない問題は他にもあるのだからな……)

そう、金髪の男への対処である。

(奴はディエチを殺した後、俺を追う可能性は高いだろうな……いや、それで無くてもここを襲撃する可能性は十分にあるだろう)

ルルーシュは金髪の男がデュエルアカデミアを襲撃する可能性を考えていた。

(恐らく、スバルでも勝てないだろう……)

金髪の男の脅威はルルーシュ自身が実感している、爆弾も通じず、ギアスも通じず、右腕を切り落としたその人物は参加者の中でもトップクラスの戦闘力を持っているのだろう。
その男を相手にスバルが向かっていっても結果は見えている、返り討ちに遭うだけだ。無論、そんな無謀な事をさせるつもりなどない。
だが、この4人の中で1番戦闘力が高いのがスバルであるのも事実だ。つまり、今その男に襲われればなすすべ無く全滅という可能性が非情に高いという事だ。
もっとも、ルルーシュの脳内では幾つか金髪の男に対する対策は浮かんではいる。だが……

(間違いなく俺が死ぬ事になるだろうな……)

そう、現在手持ちの道具……カード、爆弾等を駆使し、デュエルアカデミアの地形を利用するならば金髪の男を仕留められる可能性があった。
但し、金髪の男に直接のとどめを刺す人物はほぼ確実に死ぬ事となる……そして、その人物は確実にルルーシュだろう。
ギアスをかけたレイかこなたを仕掛けさせるという手も無くは無い(レイはともかくこなたにその役を負わせたくはないが、)が、金髪の男の動きを読み切れない以上2人よりはルルーシュ自身が仕掛けた方が確実なのだ。
勿論、ルルーシュ自身で決着を付けたいという想いもあったので、それ自体は別に構わない。だが……

(その後はどうする?)

問題はその後なのだ、こなたの話では赤いコートの男といった警戒すべき人間が他にもいるのだ。支給品を使い切った状況でそういう危険人物に襲われてしまったらどうなる?生き残れない可能性は高いだろう。

(全く、難しいものだな……)
「ルルーシュ、聞いてる?」

と、思案を巡らせるルルーシュにこなたが声をかけた。

「ああ、どうした?」
「いや、カード見つかったんだけど……それから……」
「ん?」
「ルルーシュの上に何か飛んでいるんだけど」

と、上を見上げると銀色のカブトムシが飛び回っていた。

「何だ……?」

ルルーシュはそのカブトムシを手に取る。それが何なのかはルルーシュは知らない。だが、カブトムシの尻には説明書の様な紙が糸で繋がれていた。それを手に取り読もうとする。

「これは……!」

ルルーシュが驚いたのは説明書の中身ではない、その上には血で文字が書かれていたのだ。

『――負けないで』

それはルルーシュに対してのメッセージであった。そのメッセージを誰が書いたかは書かれていない。しかし、ルルーシュには誰が送ったメッセージかすぐにわかった。

「ディエチ……!」

ルルーシュがこの場において最初に出会い手を組んだ参加者で、病院にてルルーシュを逃がす為金髪の男に立ち塞がり、そして殺されたであろうディエチ……彼女からのものだとすぐにわかったのだ。
ルルーシュはあの時の事を思い出す。確かディエチは金髪の男からデイパックを奪いそこからディエチ自身が使い慣れているであろう武器を出していた。恐らく銀色のカブトムシもそのデイパックに入っていたのだろう。
ディエチは金髪の男によって致命傷を負わされた。だが、まだ息のあったディエチは銀色のカブトムシハイパーゼクターを使ってルルーシュにメッセージを残したのだろう。
そう、全ての策を破られ右腕を失い絶望しているであろうルルーシュに対しての……

「馬鹿な奴だ……最後の最後まで……!」

思わずそう口にしたルルーシュだったがディエチの行動を非難しているわけではない。

「家族にメッセージを送る事だってできたはずだろうが……なのに俺なんかの為に……!」

ディエチは姉達クアットロやチンクを救う為に戦っていた。そう、メッセージを送る相手ならばクアットロやチンクだっていたはずなのだ。彼女達に金髪の男の情報を伝える等、他にも出来た事はあるはずなのだ。
だが、ディエチはほんの数時間前に出会ったばかりのルルーシュを元気づける為にハイパーゼクターを飛ばした……そう、ルルーシュの為に。
ルルーシュはディエチの言葉をもう一度思い出す。

『ルルーシュは凄いよ。アンタの作戦は間違ってなかった。単にこいつが強すぎただけ……仕方がなかったんだ。
 あたしはそんなに頭はよくない。ただ、引き金を引くことしかできない。
 アンタの頭とあたしの腕……天秤にかけてみて、あたしはルルーシュに賭けてみることにした』
『ルルーシュだって好きなんでしょ、タイプゼロのこと』
『だからルルーシュは行って。タイプゼロを――スバル・ナカジマを守ってやって。
 ついでに、チンク姉やクアットロを守ってくれれば……あたしの家族を守ってくれれば、あたしはそれでいいから』

ディエチはクアットロとチンクをルルーシュに託したのだ……そしてルルーシュは思い直す。

(どうやら俺は間違いを犯す所だったな……切り捨てる発想だけでは勝てないというのにな……全く、戦い続けると誓ったばかりのはずなのにな……)

ルルーシュは知らず知らずの内に金髪の男に恐怖し、それが自身を犠牲にするという発想に行き着いたと考えた。
勿論、いざという時はそういう手段を取らざるを得ない時が来るだろう。だが、それはあくまでも最後の手段だ。

(そうだよなディエチ……ならば俺は……)

そう、ここで安易にルルーシュ自身が死ぬということはディエチに対する裏切りを意味するのだ。それは決して許される事ではない。
ルルーシュはディエチの為にもクアットロやチンクとも合流し彼女達も守らなければならない、勿論スバルを守った上でだ。それこそがディエチの願いなのだから……。

「こなた、そのカードか?」

ルルーシュはこなたの持つデュエルモンスターズのカードバスター・ブレイダーを確認する。そして、

「ひとまずそれはお前が持っていてくれ」
「え?いいの?」
「ああ、レイの話が事実なら護身用に使えるだろうからな。何、必要な時が来たらその時に貸してくれれば良い。それから、こっちのカードは俺に預けてくれないか?」
「うん、あたしもそれどう使うかちょっとわかんないし」

ルルーシュはこなたから蜘蛛のカードを受け取り、バスター・ブレイダーの方はそのままこなたに持たせる事にした。と、こなたがルルーシュに聞いてくる。

「そういえばさ、ここってデュエルアカデミアっていうらしいんだけどさ、ここって最初何の学校だと思った?」
「ん?デュエルアカデミアか……名前通りなら決闘の学園という事になるが……まさかカードの使い手の養成する学校だとは思わなかったが……」
「やっぱりそう思うよね。あ、別に気にしないで良いよ、ちょっと聞いてみただけだからさ」

こなたの態度に疑問を感じたもののそれについては気にしない事にして、ルルーシュは改めて今後の事を考える。

(問題は金髪の男だが……)

真っ先に考えるのは金髪の男への対策である。ここでルルーシュはハイパーゼクターの説明書を読む。
ハイパーゼクターは時間や空間を飛び越える能力を持っているというのがわかるが、真の力を発揮する為にはライダーベルトが必要と書かれている。
ライダーベルトを使って変身した仮面ライダーがハイパーゼクターを使う事でハイパーフォームに変身するという風に書かれていた。

(仮面ライダー……まさかそんなのが実在……いや、今更言う様な話でもないか)

ルルーシュにとって今更仮面ライダーの存在は今更疑問にする事ではない。とはいえ、ライダーベルトが無い現状では使い道は無い。

(ベルトを持つ参加者を味方に付けるか、俺自身がベルトを手に入れるか、まあそれについては今考える事もないだろう)

続いて考えるのは自身の能力とも言うべきギアスである。金髪の男にはギアスが全く通用しなかった。

(まさかギアスが通じない奴がC.C.やスバルの他にもいるとはな。恐らく他にも……こなたが言った赤いコートの男にも通じないだろうな)

金髪の男にギアスが通用しないという現実は、ルルーシュに他にもギアスの通じない相手がいる事を知らせる事となった。
同時にこなた達が遭遇した赤いコートの男にはギアスが通じない可能性があると判断した。結論付けるにはまだ早いが、ルルーシュにはむやみにギアスを使えない理由があった。

(問題はギアスに対する制限だ……)

ルルーシュは金髪の男にギアスをかけた時、全身に苦痛や疲労が襲って来たのを思い出した。ルルーシュがこの場に来てからギアスを使用したのはこの時が初めてでそれを知った時はルルーシュ自身も大きく驚いた。
それが今までわからなかったのはこの時までにルルーシュが遭遇した参加者はギアスの通じないディエチだけだった以上それは仕方のない事だ。
とはいえ、何かしらの制限がある事自体は予想出来ていた話だ。それ自体は大した問題ではない。問題は『不発に終わったにもかかわらず』疲労に襲われたという点だろう。

(成功失敗に関わらずあの疲労となると厄介だな……)

仮に何者かの襲撃を受けたとする。ここでルルーシュが『動くな!』とギアスをかけたとしよう。ここでギアスが成功したのであれば何ら問題はない。
だが、不発に終わったらどうなるだろうか?襲撃者はそのままルルーシュ達を襲撃するが、こちらにしてみればルルーシュは制限による疲労で足手まといとなる。
そうなればスバル達が危険に晒される事となる。それは避けなければならない。

(それに……疲労の度合いも気になる所だな……)

命令に対しての疲労具合も気になる所だ。少し考えればわかる事だがどの命令であっても同じだけ疲労するという事はまずあり得ないだろう。
『死ね!』と『踊れ!』という2つの命令で、どちらも同じ疲労で済むのであればルルーシュは遠慮無くギアスを使うが、それでは制限としては弱過ぎるはずだ。

(命令の度合いで疲労量は変化すると考えた方が良いだろうな……恐らく『死ね!』と命じた場合は俺も死ぬだろうな……)

ルルーシュは命令の強さで疲労が変化すると推測しそこから考え『死ね!』という様な命令はまず不可能だと考えた。
単純に無効であるだけならば良いが、発動した場合は仮説から考えルルーシュ本人も致命的なダメージを負うと考えた。もし命令が無効ならば完全な無駄撃ちになってしまう。

(それにしても厄介な制限だな……あの時の命令は大した命令ではなかったはずなのにな……)

ルルーシュが金髪の男にかけようとしたギアスは『お前は一体何なんだ』、つまり『お前の正体を言え』である。ギアス自体は不発とはいえ金髪の男は平然と自分が人間ではないと言い切った。
故にルルーシュの命令はさして重要な命令ではない事がわかる。にも関わらずルルーシュの全身に疲労が襲いかかった。つまりそれだけ制限が強いという事を意味している。

(何にせよ、何処かで試しがけしておきたい所ではあるな……)

今後の為にも試しがけを行い制限を再確認する事を考える。試しがけの候補にはこなたとレイがいる。この2人は普通の人間だろうからまず間違いなくギアスは成功するだろう。
こなたにはルルーシュの事情を話した際にギアスの事も話してあるので頼めば協力してくれる可能性は高い。だが、自分を助け話を聞いてくれたこなたにギアスをかけるのは少々気が引ける。
一方のレイに対してはギアスをかけても構わない。だが、戦闘になった時にレイを利用する必要が出る時にギアスが使えないというのは痛い。

(焦る必要は無い……)

ひとまずギアスの事は保留にし、今一度金髪の男にどう対処するかを考える。

(仲間との合流を優先した方が良さそうだな)

ルルーシュの出した結論は仲間との合流である。現状のルルーシュ達で金髪の男を倒すのは難しい。だが、他に仲間がいたならばどうだろうか?倒せる可能性は十分に高まる。仲間の当ても何人かいる。

ルルーシュにギアスを与えたC.C.……共犯者である彼女はルルーシュにとってある意味最も信頼の置ける仲間とも言えよう。
スバルの上官である高町なのは……既に放送で名前が呼ばれたらしいが、ルルーシュは名簿に2つ名前があったのを覚えていた。
その時は特に気を留めていなかったが、並行世界からもう1人参加させられたのであれば何の不思議もない。恐らくもう1人のなのはは未だ健在であり、きっと大きな力となるはずだ。
スバルの姉であるギンガ・ナカジマ……スバルの話からはスバルのつらい時にはいつでも力になってくれたと聞く、実際に会った事はないがスバルの力になるのはほぼ間違いないだろう。
そしてディエチがルルーシュに託した姉達クアットロとチンク……ディエチ同様戦闘機人である2人が一般人よりも強い事はわかっている。ディエチに託された事もあるので彼女達とも合流したい所だ。

この殺し合いはたった1人で生き残れる程甘いものではない。恐らく、彼女達もグループを組んで行動している可能性は高い。
さらに、シャーリーやこなたの友人達も彼女達に保護されている可能性だってある。ひとまずは先ほど上げた人物との合流を優先した方が良いだろう。

(あの男は強い。だが、倒せない相手ではない……)

ルルーシュは金髪の男の姿を思い出す。奴は右腕を潰されていた。それは既に何者かと交戦し右腕を負傷していたという事を意味している。つまり金髪の男も無敵では無いという事なのだ。
そもそもルルーシュは元の世界にいた頃も何度と無く圧倒的な力を持つ敵……スザクの駆るKMFランスロット等に煮え湯を飲まされていた。
だが、ルルーシュは集まった戦力及び知略を駆使してそれに対抗してきた。つまり、ルルーシュの知略と仲間達の力を合わせればどのような強敵も打倒する事が可能なのだ。
ルルーシュは知らないが、それはディエチが死に際に金髪の男に対し言った事と同じ事……ディエチはそれに賭けていたのだ。

考えをまとめたルルーシュは金髪の男に心の中で告げる……

(金髪の男……戦局を左右するのは戦術ではなく戦略だという事を俺が教えてやるぞ……)

と、宣戦布告をした。だが、ルルーシュは知らない、既にその金髪の男が死亡しているという事実を……。

何にせよ、金髪の男や赤いコートの男の様に暴力的な力で他者を殺し回っている奴については戦力が整えば対応が利くのでそれについては考えを切り上げる。だが、本当の意味で厄介なのは別にいる。

(問題は……頭の切れるタイプだな)

考えるべきはルルーシュの様に知略に富んだタイプの参加者である。ルルーシュ自身もこの場にスバルやシャーリーがいなければ最後の1人となって優勝する事を考えていたのでそういう人物がいないとは言い切れない。
ルルーシュ以上に頭の切れる参加者がいる可能性はある。真の障害となるべきはそういった参加者だろう。では、彼等はこの場に置いてどう行動するだろうか?ルルーシュは思案する。

殺し合いに乗っていない参加者を殺し合いに乗せ、他の参加者を殺す様にし向ける事、
ある大集団にいる参加者同士を仲違いを起こさせ集団の分裂を引き起こす事、
集団に入り込みひっそりと他の参加者を殺す事、
他の参加者を手駒にする事等である。

これらの行動をする参加者はある意味、圧倒的な力で攻める参加者以上に面倒だと言えよう。
そしてそれが面倒だと言える真の理由、それはそういう参加者はまず自分がそういう人物だと語らない事だ。表面上は殺し合いに乗っていないと装うはずだ。

(スバル達では気付かない可能性が高い、恐らく俺でなければ対処できないだろうな)

人の良い参加者や、並の参加者ではまずそういう参加者に騙されるだろう。恐らく、対処出来るのは同じ様に知略に富み、ある程度の警戒を持てるルルーシュぐらいだ。

と、ルルーシュの脳裏に2人の人物が浮かぶ。
1人は神聖ブリタニア帝国第2皇子でルルーシュの兄でもあるシュナイゼル・エル・ブリタニア。
シュナイゼルは紳士的な人物ではありその知略と決断力はルルーシュ以上だ。ちなみにルルーシュ自身シュナイゼルに対してだけはチェスで一度も勝った事が無い。
この殺し合いに呼ばれる前にもシュナイゼルが展開した部隊と交戦し追いつめられた事があった。幸いスバルが来てくれたお陰で危機は脱したものの実質的な敗北である事に変わりはない。
勿論この場にシュナイゼルはいないがシュナイゼルの様な参加者がいて、その人物と敵対する可能性は十分にある。その可能性は考えておくべきだろう。

もう1人はマオ、ルルーシュ同様C.C.からギアスを与えられた男である。
マオのギアスは『人の思考を読む』ギアスを持ち、そのギアスと巧みな話術を駆使しルルーシュとC.C.に立ち塞がってきた。
マオは人を殺したと思ったシャーリーを利用してゼロであるルルーシュを撃たせようとしむけ、実際にシャーリーはルルーシュに銃を向けた。
幸いルルーシュが撃たれる事はなかったが、これまでの事でシャーリーの精神はボロボロとなった……そしてルルーシュはシャーリーに自分を忘れるギアスをかけたのだ。
その後もナナリーを誘拐しルルーシュを追いつめ様とした事もあったし、追いつめられた際にスザクの心の傷を抉ったこともあった。
マオはある意味ではルルーシュの天敵とも言える人物であった。マオがC.C.に執着さえしていなければ最大の敵になり得た可能性は十分にあり得ただろう。
無論、この場にマオはいない。だが、心を読む能力者とまではいかないものの、人の心を抉る様な参加者がいる可能性はあり得る。その警戒もすべきだろう。

恐らく彼等の様な人物が立ち塞がって来た場合はルルーシュ以外に対処する事は難しいだろう。

(だが、やらねばならないだろう。そう、スバルを守る為にもな……)

続いて、最終的な目標について改めて考える。今更考えるまでもないがスバルやシャーリー達といった複数の人間を助けなければならない以上、優勝という選択肢は現状あり得ない。
つまり、どうしても別の方法を模索する必要が出てくる。だが、これについては最初に考えた時と同様明確な手段は見つかっていない。
だが、糸口が全く見つかっていないわけではない。

そもそもルルーシュがプレシアを倒す事を無理だと判断したのはプレシアが魔法を使う以上、彼女の元へ普通の方法で行けるかどうかわからなかったからだ。
だが、それについての問題はある程度クリアされている。そう、この場にはスバル達の様な魔法を使う機動六課の関係者が数多くいるのだ。
更に、今頃になって思い出した事だが最初に殺し合いの説明をした時に『プレシア……!?』や『母さん!?』と言った声が聞こえていた。
つまり、あの場には確実にプレシアを知る人物、更に言えば娘がいた事になるのだ。
そして今、ルルーシュの手元には時間と空間を越える事ができるらしいハイパーゼクターもある。
つまり、そういった人物との接触、及びハイパーゼクター等といった道具を駆使すればプレシアの元へたどり着く可能性は十分にあるという事だ。

しかし、クリアしなければならない問題がもう1つある。それが首輪だ。いかにプレシアを倒そうと考えても、プレシアがそれを察知して首輪を爆破されれば元の黙阿弥だ。故に脱出の為には首輪の解除が必須条件である。
首輪の構造がどうなっているかは現状不明、単純な機械的なものならルルーシュでも解除できるだろうが、魔法的なものならば機動六課の仲間の力を借りる必要が出てくる。
だが、その為には首輪を調べる必要がある。そう、何処かから首輪を入手する必要があるのだ……。
首輪を入手するには参加者から奪う……そう、殺して手に入れるしか無いのだ。ルルーシュは必要とあれば他の参加者を殺す事も辞さないのでそれ自体は問題ない。
だが、実を言えば他に手段が無いわけではない。そう、死体となった参加者から手に入れるのだ。そしてルルーシュはそれに都合の良い人物がいるのを知っている。

(ディエチ……)

その人物はディエチである。
再び金髪の男の話に戻るが、金髪の男の性格を考えれば、金髪の男は最終的にプレシアも殺すつもりで戦っていたのは確実だろう。だが、やはりその為には首輪の解除が必須条件だ。
その為に金髪の男も首輪を欲していたのは想像に難くないだろう。
では、金髪の男はディエチから首輪を奪っただろうか?答えはNoだ。勿論既に誰か殺して手に入れた可能性はあったが、複数あっても問題は無いのでそれは理由にはならない。
それでもディエチから首輪を奪った可能性は低いと言える。思い出して欲しい、ディエチは死に際にルルーシュにメッセージを残した上でそれを飛ばしたのだ。常識的に考えて金髪の男がその場から去らなければそれは不可能だ。
つまり、金髪の男はディエチにとどめを刺さずに病院から離れたという事である。故に、ディエチの首輪は奪われていないということになる。

ということは、病院に戻ればディエチから首輪を手に入れる事が出来るかも知れないということである。

(ディエチ……出来れば安らかに眠っていて欲しかったが……)

ルルーシュとしてはこれ以上ディエチを傷つけたくはなかった。しかし、ディエチの願いを叶える為にはそれも止むを得ないと考えていた。
とはいえ、ディエチが死んだと思われる時間から既に2時間以上が経過しているはずだ。既に同じ事を考えた参加者がディエチから首輪を回収した可能性はある。
その懸念はあるものの、何らかの方法で首輪を手に入れる必要がある事には変わりはないので、その事については考えておくべきだろう。

さて、首輪の事でもう1つ考えるべきことがある。それは制限の存在だ。いかに圧倒的な力を持っていても全力を出せない限りプレシアの優位に変わりは無い。

(制限に関係しているのはこの首輪の働きの可能性が高いな)

ルルーシュは制限を発生させているのは首輪によるものだと考えていた。つまり、首輪させ外す事が出来ればギアス等を問題なく使う事ができるという事だ。
だが、もう1つ気になる点がある。それは別の所に制限をかけている可能性だ。例えば、この空間そのものに制限をかけるというものだ。
空間自体に制限をかける事ができるのかという疑問はあるだろうが、ルルーシュの世界でもゲフィオンディスターバーというサクラダイトの活動を阻害し周辺のレーダーやKMFの機能を止める装置がある。
つまり、技術的に広範囲に何かしらの制限をかけるのは可能ということである。そもそも相手は魔法を使うプレシア、それぐらい問題なく出来ると考えてもおかしくはない。

(今の所は情報不足だな)

考えた所で明確な答えは出ない以上ひとまず制限についての考察は保留にした。

さて、ルルーシュはレイの方に視線を向ける。ルルーシュは今もレイを完全に信用してはいない。こうやって思案を巡らせている間もずっとレイの動向には気を払っていたのだ。
外見上は一般人にしか見えないが、外見では読めなかった事が数多くある以上それで判断するのは危険だ。

実はバスター・ブレイダーをそのままこなたに持たせたのは護身用という為だけではない。レイに必要以上にカードを持たせたくなかったという理由もあったのだ。
では、何故ルルーシュはレッド・デーモンズ・ドラゴンのカードは素直にレイに渡したのだろうか?幾らデュエルモンスターズの知識がないルルーシュでもそれが強いというのはわかっていたはずだ。

理由は2つある。1つは下手に渡さないでレイに早まった行動をさせるのを避ける為だ。
もしここでレイが無理にでもレッド・デーモンズ・ドラゴンを手に入れようとするなら手持ちのカードである光の護封剣とフリーズベントを使うしかない。
カードを使い慣れているレイの行動はスバルの動きよりも早い可能性がある。ルルーシュのギアスと比較しても互角の可能性が高いだろう。
ここでの結果がどうなるかは読み切れないものの、貴重な戦力を浪費する事だけは確実だ。強敵が備えている以上、不必要な消耗は避けるべきだろう。
2つめはそのカードがそう簡単に使える物ではない事にルルーシュも気付いていたのだ。確かにルルーシュはデュエルモンスターズの知識は無い。
だがカードに書かれているテキストを見ただけでそれがどのようなカードかは大体理解出来る。
そう、ルルーシュも確認していたのだ『チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上』のテキストを。そこから召喚の為にはチューナーとチューナー以外のモンスターが必要だという事は容易に想像が付く。
だが、レイの手元にモンスターカードはない。つまり現状でレッド・デーモンズ・ドラゴンを召喚する事は不可能である可能性が高い。
勿論、デュエルモンスターズに詳しくない以上、ルルーシュでも読み切れない部分はあるだろう。それでも、現状ではレイに持たせるのが最善だと判断したのだ。

話を戻そう、ルルーシュから見てレイは信用の置ける存在なのだろうか……結論を言えば完全に信用して良い相手ではないとルルーシュは判断した。
理由は幾つかある、まずレイがスバルの知り合いらしいという話ではあるが、レイはスバルとの合流を求めていた様には見えなかったことだ。
ある程度スバルの素性を知っているならば少なくてもスバルとの合流は喜ばしいことのはずだ。そう、ルルーシュやこなたがそうである様に。
そうではないと言う事はスバルと敵対していた、もしくはこの場に置いてはスバルと一緒であれば都合が悪いという事だろうが、見たところ敵対していたという可能性は低いだろう。
つまり、スバルと一緒だったらレイとしては都合が悪い……そう、レイの行動方針はスバルのそれとは合わないという事だ。
スバルの行動方針は考えるまでもなく、殺し合いを止める、殺し合いに乗った相手も極力殺さないといったもののはずだ。
それに合わないということはレイは殺し合いに乗っている、もしくは殺し合いに乗った相手を殺すつもりである、ということになる。
だからこそ、この状況においても他の参加者と組まずに単独行動というリスクを犯しているのだろう。それを裏付ける証拠もある、レイはデイパックを2つ持っていた事だ。
この状況でデイパックを複数持つとするならば、他の参加者から譲り受けるか何処かに置いていたのを回収するか他の参加者から奪うかのどれかだろう。
可能性が無いとは言わないが置き去りにされたのを回収したというのは現実的ではない。貴重な道具をみすみす置き去りにする愚を犯す参加者がそうそういるとは思えない。特異な状況であるといえるだろう。
では譲り受けたというのはどうだろうか?だが、その相手はどうなったのかという問題がある。譲り受けたという事は相手はデイパックを持っていない可能性が高い。
それでは生き残れる可能性が低くなるはずなので普通の参加者はまずやらない。だが、必要が無くなったとしたら?そう、参加者が死んだとしたらデイパックは必要なくなる。
だが、そうなるとレイは死にかけの参加者に会ったはずだ、その時の話を詳しく聞く必要はある。
しかし、何より一番現実的なのが他の参加者から奪う事だ。レイは拳銃を持っていた事もあり、それを駆使すればデイパックを奪う事はそう難しい事ではない。
但し、これらのことはあくまでも推測でしかない、後程情報交換する際に詳しく話を聞くべきだろう。

本当に危険人物ではない可能性もあるが、仮にそうだとしても過度に信頼するつもりはない。この殺し合いにおいて全ての参加者を守れる程甘い物ではないからだ。いざとなれば切り捨てる事も辞さないつもりだ。
では、危険人物であればどうだろうか?恐らくその場合は情報交換の時も真実を話さないでこちらを信用させるつもりだろう。
だが、ルルーシュとしてはそれならそれで構わないと考えている。そう考えるという事はレイはこちらを利用する考えなのだからだ。
そうするつもりならばルルーシュとしても遠慮無く利用させてもらう、いざという時にはギアスを使う事も辞さないつもりだ。

(目的は知らんが……もしお前がそのつもりならば利用させてもらうぞ……早乙女レイ……)

ルルーシュは今一度鋭い視線をレイに向けた。だが、ルルーシュは気付いていない。ルルーシュが大切な者であるスバルを守る為に戦っている様に、レイもまた大切な者である十代を守る為に戦っている事に……

ルルーシュは再びこなたから受け取った蜘蛛のカードを見る。そのカードがどういうものかはわからない。『EVOLUTION』と書かれているのはわかるが、何を進化させるものかわからない以上使い様が無い。
しかし『K』とクラブのマークからトランプを連想する事が出来る。仮にトランプであるとするならばこのカードはクラブのK(キング)ということになる。

(蜘蛛が何かは気になるが、他にも同じ様なカードがある事は考えた方が良いだろうな。そういえば参加者にキングという奴がいたが……ふっ、考え過ぎか)

だが、ルルーシュは知らない。そのキングもまたクラブのKのカードと関係のある存在である事を。
そのカードの正体はラウズカードと呼ばれる己の種の繁栄を賭けて戦う存在アンデッドを封印したカードで、その種類は53種ありトランプを模したものとなっている。
そしてクラブのKのラウズカードに封印されているアンデッドはクラブのカテゴリーK(キング)とも呼ばれている。だが、このアンデッドが何者かはここでは問題にはしない。
さて、キングの正体はスペードのカテゴリーKのアンデッドなのだ。アンデッドの名の通り不死の存在である彼等が人間と比較しても強敵であるのは言うまでもない。
だが、それだけならば赤いコートの男や金髪の男以上の脅威とは言えないだろう。しかし断言しても良い、キングは恐らくルルーシュから見て最大の敵になる事を。

キングの真の恐ろしさはその残酷な性格だろう、キングの目的は戦いの結末など関係なしに全て滅茶苦茶にし何もかもを破滅に導く事、全ては自分が楽しむ為に行っているのだ。
そして既にキングの策略により幾つか悲劇が訪れている。

はやてがヴィータと敵対する事になり、同時にはやてが自分以外を全て利用するつもりになった原因にもキングは関わっているし、
キャロが殺し合いにのる結果になった原因にもキングが関係している、

そう、スバルの仲間が既にキングによって壊されているのだ。だが、ルルーシュにとって重要な問題はここからだ。
今の時刻と前後してキングがシャーリーと接触をしているのだ。そしてキングはシャーリーを壊そうと目論んでいるのだ。
更にキングの手元には大半の参加者の足跡が物語という形で綴られている『CROSS-NANOHA』が納められた携帯電話がある。
勿論、そこにはルルーシュの正体がゼロである事も、ルルーシュがシャーリーの記憶を消した事も記されている。
キングがそれを利用しシャーリーの心を壊してしまう可能性は非常に高いのだ。

そう、キングはルルーシュが警戒しているタイプ以上に危険な存在なのだ。あくまでも先述の連中は優勝狙いでしかない。だが、キングは優勝にすら興味なく全てに破滅をもたらそうとしているのだ。

ルルーシュは未だ知らない……シャーリーに迫る危機を……ルルーシュは只、シャーリーの無事を祈りながらスバル達を守る為に思案を巡らせていた……。



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