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戦陣に散る

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 タイプブルーが3体。
 その為に我が方が被った被害は今だ正確な数字が出ていない。

 キースは出来上がった戦死者リストに目を通す。前線に布陣した艦隊はほぼ全滅し、なじみのある第7艦隊も落ちた。僅かとは言え命を預けた艦だった、ナスカ攻撃に参加し、あの艦のブリッジからメギト発射を指示した。それも落ちた。虎の子のAPD部隊などはもっとひどい、半数以上が帰らなかった。

 戦術シュミレーション試験ならDマイナスもいいところだ。リストが下から上に流れていく透過ディスプレイから目を外して、僅かに見える宇宙へと目を向ける。
「残骸の山だな」
 戦域となった宙域をクロールする掃海艇の無機質な航行灯が、先程までの激戦の余韻を残している。
「テラの為に・・・か」
 自分が鼓舞した若者も、古参の兵士も、前途洋としたメンバーズも多くが散った。自分の号令で、マザーの命令で、人類の為に。
 アルテメシアを皮切りに、全てのSD体制化の惑星のテラズナンバーは破壊されている。既に人類はマザーに頼らずに進む道を決めねばならないと言うのに。
 テラの為に、人類は自らを檻にいれて機械に監視管理をさせた。二度と過ちを起こさないために、いつか地球に還る日の為に種を絶やさぬよう、これ以上地球を破壊しないように。
 しかし、なんと人は往生際の悪い生き物だろうか。
 動物としての人類はその状況を良しとしなかったのだ、人類は超能力を持ったミュウを生み出す。檻を破壊するために。

 そのミュウと人類が殺し合いをしている。
 テラのすぐ目の前で。

 人類の願望で生まれてきたミュウの能力に人は叶わないだろう。生身で宇宙を駆け、言葉を使わずに意思の疎通をし、艦隊をサイオンと言う精神波で破壊する。我ら人類が数で挑んだ結果がこれだ。リストの終わりを示すサインがディスプレイ上に出ている。

 死者となれば人間もミュウも関係無い。
 それはただの記録の羅列であり、自分ではない誰かの記憶の一部となる。どれ程の英雄も悪人も死者にできるのはこの凍える宇宙を彷徨い、どこかへ消えていくだけだ。いずれ私も死に、そう遠くない未来に、この宇宙の果てに行き着くのだろう。そこに一人もいなくても。



昔の終戦の日のスピーチを見て即興。いつか戦禍verもできたらいい。



カテゴリ: [ネタの種] - &trackback() - 2007年09月02日 21:16:32

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