メリーの居る生活
メリーさんと一緒!!

絵保管庫
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元就的な彼女 二股目

作:771 ◆gnkv6j0F..

「――と、言うわけで!!」
トイレの前に成海は、つむじの辺りを撫でながら立っていた。
「何かガッカリ感を残しつつ、三本足のリカちゃんを探すぜ!!」
ようやく、本来の目的を実行する事になった。
ロッカーイベントをこなしてフラグを立てるのが目的じゃない。
噂の真偽を確かめるのだ。
「行くぜメリー!! やぁってやるぜ!!」
ぴょーんと飛び出そうとした成海の服の裾を、クイ、とメリーが引いた。
「んお? なんだ、どうした?」
「あの、ね……」
メリーは目を伏せて、成海の方を見ない。
その表情は、どこと無く固い。
それを見て成海は、はっとする。
そりゃあさっき、ともすればピーーー(自主規制)な事に陥りかけた訳である。
怒られるのかしら?
軽蔑されるのかしら?
いやん。
「いや待てメリーさっきの一件は事故だ不可抗力だいやーまいったなだからつまりそのあれだうんエロい気持ちは一切無かった訳わけじゃなくて、あれ?」
勝手に機関銃見たく弁解を始めた成海は、勝手に墓穴に滑り落ちた。
「ここのトイレ……」
しかし、メリーはそんな事を気にしていない様だった。
「二人で分かれて、中を見るの?」
「へ?」
成海は思わず疑問符を漏らした。
それはさっきのアレがお咎め無し、という事もそうだが、何を当たり前の事言ってんだ、って意味もあった。
「分かれてって……だって、メリー」
二人個別に行動をとった方が効率が良い。それに、
「男の便所に入りたいのか?」
「そ、それは無いけど!!」
ぶるんぶるん、とメリーは首を横に振った。
「でも……」
そして、やはりそこで目を伏せてしまう。
「ふーん? まあ、俺は別に良いけどよ」
でも、何で一緒が良いんだ?
成海には見当がつかなかった。

「あのよ、メリー」
成海はちょっと困って、ぽりぽりと頬を掻いた。
「その手は、離してくれねーか?」
彼女の細い手は、彼の服の裾をちょこんと摘まんでいた。
「うん……」
こくん、とメリーは頷くのだが、成海が一歩前に踏み出す度、裾が引かれて襟が首に食い込んだ。
「あのさ、メリー。ちょーっと聞きにくいんだけど……」
振り向いて、じとぉーっ、とした目で自分の後ろにいる女の子を見た。
「もしかして、オバケが恐いなんて事は……」
「無い」
ぽつり、と。しかしピシャリとメリーが言った。
「……。まあ、別に行けどよ」
成海は一応頷いた。
が、その刹那メリーの後ろを指差し、
「あっ!! あんなところに三本足のリカちゃんが!!」
「……っ!! きゃあああ!!」
悲鳴を上げながら、メリーが成海に跳び付いた。
「……いないんだけど」
急に抱き付かれて、若干驚きながら成海が言った。
「あのさ、メリー。やっぱりオバケ苦手なんじゃ……」
「……そんな事無いー」
むぎゅ、と成海の背中に顔を押し付けたままメリーが答えた。
ぽりぽり、と成海は頬を掻いた。
「それじゃあよ」
成海は、自分の背後で抱きついている少女を、グルッと左脇に移動させた。
そして、その滑らかな金髪の輝く頭を、ゴシゴシと撫でた。
「メリーはオバケなんか苦手じゃないけど、でもこうやって行くか?」
この方が若干歩き易い。
「……うん」
こくり、と彼女は小さく頷いた。
ちなみに成海が「お前もオバケじゃん!!」と良いそうになったのは内緒だ。

一階、二階を見回り、とうとう三階。
三階建ての校舎のの一番上、一番最後の便所である。
ここまで何か妙なものが出ることも無く、それは当たり前なのだが、しかしその度に意気消沈としてしまう。
「ま、噂だしな……」
そう呟きながら、成海は男子側から出た。
ちなみに、男子トイレを見回る間、メリーはぎゅう、成海の脇腹に顔を押し付けて周りの光景を目に入れないようにしていた。
それでは二人で警戒する意味がまるで無いのだが、まあ、『しかと見よ!! 括目せよ!!』と言うのは女の子には酷と言うもの。
それ何プレイ、って話だ。
「さーてと。ここで最後だが」
二人は女子トイレの入り口前に立った。
夜闇が深みを増していく中、成海は一歩前に踏み出した。

「なんつーか、不気味だ、な……」
薄暗い。
天井二ヵ所に設けられた電灯の内、一つは完全に灯を落としている。
残る一つも、ずず、ずずず、と音を立てながら鈍く明滅している。
すると、頼りない明かりに照らされた鏡、その中の自分が瞳だけを妙に爛々と光らせて見詰め返してきた。
背筋に冷たい汗を浮かせながら、一歩、また一歩と踏み出していく。
もし、隣にメリーはいなかったら、逃げ出していたかもしれない。
成海は一瞬だけそう思った。
しかし、「メリーさん」と一緒にいて安心する、と言うのは少し妙な話かな、とも思った。
成海はまず、女子トイレの一番手前、用具庫の扉をゆっくりと開いた。
慎重に覗き込むとそこに、黴たスポンジや湿ったモップ、くたびれた手袋が置いてあるのが見えた。
擦り切れて灰色に変色した雑巾や、歪んだバケツ、零れた粉末洗剤が特有の不潔さを植え付けてくる。
しかし、その他には何も無い。
扉を閉めて、次に三つある個室の内、和式の備え付けられた二つを見た。そして一番奥の洋式便器の蓋を上げ。貯水槽の中まで覗きこんだ。
しかし、
「いない、か」
三本足のリカちゃん、というモノは見当たらなかった。
「ま、いなくて良かったぜ」
ガシガシとメリーの頭を撫でながら、成海は個室から出た。
「さーて、とっとと帰ろ……」
そこまで言った時、腰に回されていたメリーの手が、ぐいぐいと服の裾を引いた。
「ん、どした?」
成海が聞き返すと、
「あ、あれ……」
か細い声で応えながら、メリーは前方を指差した。
そこは洗面台。
そこに見える、全長三十センチ前後の人の形をした、モノ。
先程、ここに入ってくるときには確かに、それ無かった。
いや、いなかった、はずだ。
「メリー、入り口塞げ」
成海は用具庫の扉を開けて中から一本、モップを取り出し、その柄の先端を人形に向け、
「こいつが逃げねぇようにな!!」
突き放った。
ばしり、と音を立て、洗面台の鏡に蜘蛛の巣にも似た亀裂が走った。
しかし、それはつまり、その前に立っていたはずの人形には当たらなかった、と言う事だ。
どこだ――左右に振った視界の中に、その姿は捉える事が出来ない。
――とん、
その時、肩に僅かばかりの重みを感じた。そしてそれは、言った。
「私、リカちゃん。でも、三本足なの――」

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